上の子が下の子をいじめる。赤ちゃん返りもある [教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】

4歳の姉が1歳の弟をいじめて困ります。すれ違いざまにたたいたり、持ってる玩具を取り上げたりします。身支度など今までできていたことができなくなり、妙にベタベタしてくるようにもなりました。「お姉ちゃんなんだからしっかりして。弟にもっと優しくして」と叱ると「うん」と答えるのですが、返事だけです。先日は、寝ている弟をたたいていたので、こちらもつい感情的になって叱りつけてしまいました。

スノボーさん(年少女子)

【親野先生のアドバイス】

拝読しました。

親としては、下の子ができたら上の子には自立してもらいたいと思いますよね。
また、上の子が下の子を優しく面倒見てくれればうれしいし、ありがたいです。

ところが、スノボーさんのご相談のように、親の思うのと反対になることが多いです。
これはいわゆる赤ちゃん返りであり、上の子は不安と欲求不満でいっぱいになっているのです。

以前は、親の愛情がすべて自分一人に注がれていました。
ところが、下の子が生まれてからというもの、親の関心がそちらに向かいがちで、自分はかまってもらう回数が減ってしまいました。
親の愛情が減ったように感じてしまうのもやむを得ないことです。

子どもとしては不安でたまらない状態です。
子どもは無力な存在であり、万事親に頼って生きています。
その一番頼るべき相手の関心が、自分以外の所に向いているのです。
子どもにとっては、生まれて初めて感じる最大の危機です。

なんとかして、自分にもっと関心を寄せてもらいたいと思うのは当然です。
もっとかまってもらいたいし、愛してもらいたいのです。
それで、今まで以上にスキンシップを求めてくるのです。

そして、自分でできることでも親にやってもらいたいと思います。
やってもらうことで、やっぱり親は自分のことを大切に思ってくれていると感じたいのです。
それができなくなったわけでもありませんし、親を困らせたいわけでもありません。
ただ、親の愛情を確認したいのです。

このように不安でいっぱいなところに、親が追い打ちを掛けるようなことを言ってきます。
「弟ができたんだからね!」「もうあなたはお姉ちゃんなんだから、いつまでも甘えてないで!」「もっとしっかりしなきゃダメ。」「自分のことは自分でやらなきゃダメ」

親のこのような態度は全て逆効果であり、子どもはますます不安になってしまいます。
こういう場合、まず一番にやるべきことは、子どもの不安を取り除いてあげることです。

ですから、お姉ちゃんがよからぬことをしても、叱るのではなく、とりあえず見て見ぬふりをしてあげることも必要です。
スキンシップを求めてベタベタしてきたら応じてあげてください。
1日に何度もハグしたり、くすぐりっこしたり、じゃれつき遊びをしたり、絵本を読み聞かせたり、とにかくかまってあげてください。

身支度についても手伝ってあげたり、やってあげたりしてください。
それでよけいにできなくなるのでは、などと心配する必要はありません。
今は、気持ちを満たしてあげることが大事なのです。

これをしばらく続けているうちに、お姉ちゃんも弟がいるという新しい状況に慣れてきます。
そして、そういう状況でも自分は以前のように親に愛されているとわかってくれば、だんだん落ち着いてきます。

ときには、お姉ちゃんがママやパパを独り占めできる日を設定して、たっぷり甘えさせてあげるのもいいですね。

都内在住の池田さん(仮名)のお宅では、次男が生まれて長男が赤ちゃん返りしていたそうです。
スノボーさんの娘さんとほぼ同じような状態になっていたのです。

それで、思い切ってある日パパと祖母に次男を預けて、ママ(池田さん)と長男の2人きりで、長男が好きな電車などの乗り物がたくさんある遊園地で遊びまくりました。
ママにたっぷり甘えられて気持ちが満たされたのか、その後は赤ちゃん返りも軽減し、弟にも優しくなったそうです。

池田さんはこういう特別な日を「一人っ子タイム」と呼んで、ときどき取るようにしているそうです。

こういう例も参考にしつつ、とにかく子どもの気持ちを満たしてあげることを最優先にしてください。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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