春休み、高校入学までにしておきたいこと 【将来編】視野を広げる [高校受験]
中学卒業から高校入学までの春休みは、子どもたちが思いきり解放感に浸れると共に、ゆったりと将来を考えることができる時期です。そこで、将来を見据え「視野を広げる」ことについてお話しします。
■「好き」「得意」から視野を広げるきっかけづくりを
「視野を広げる」--漠然として聞こえるかもしれませんが、大学入試改革の方向性も見据えると、この時期、非常に大切なことです。
国立大学の集まりである国立大学協会(国大協)は、2021年までに、入学者全体の3割を、推薦入学やAO入試によって選抜するという目標を掲げています。また、大学入試改革において、正解のない問題と向き合う思考力や主体性が求められていることは周知のとおりです。つまり、今後は好きなことや得意な分野を持ち、そこから視野を広げ、主体的に学ぶことがますます大切になってきます。
ですから、この春はぜひ、子どもの「好き」や「得意」を伸ばすきっかけづくりをしてあげてください。「入学祝い」の代わりに、映画、観劇、スポーツ観戦、コンサート、美術館や博物館、動物園や水族館など、子どもの興味のあるイベントや文化施設に連れて行ってあげてはいかがでしょうか。また、書店で好きな本を買ってあげるのもよいと思います。一緒に書棚を見て歩くだけでも、興味は広がります。
また、図書館で心ゆくまで好きな本を読むのもよい経験です。保護者のかたが図書館を利用する際「一緒に行かない?」と誘うのもよいですし、「高校生になると、調べ物をする機会も多くなるだろうから、今のうちに図書館の使い方に慣れておくといいよ」などと声をかけておくのもよいですね。なお、漫画作品にも内容が深く非常に優れたものがありますから、読むのはもちろん漫画でもかまいません。
■社会と自分の関わりを意識させるため「大人扱い」を
ここへきて、高校でも急速にアクティブ・ラーニングが導入され、社会で現実に起きている問題について討論するような機会が増えています。しかし、社会問題を自分の問題としてとらえる習慣がなければ、自分の考えを述べることはできません。
ニュースや社会問題を話題にし、「あなたはどう思う?」と一緒に考える機会を持つのはよいことです。ぜひ子どもを「大人扱い」し、子どもの意見に真剣に耳を傾けてみてください。その際、保護者のかたは自分の考えを押し付けず、対等の立場で自分の考えを述べることが大切です。あらかじめレールを敷いて「正解」を用意しておかないことです。子どもは、親に向かってはなかなか話をしないことが多いものですが、自分の意見が尊重されるとわかれば、だんだんよくしゃべるようになります。
■知識と現実の接点を見つける機会を
これまで、子どもたちは、志望校に合格するため、一生懸命受験勉強をしてきたと思います。しかし、そこで得たものの多くが、まだ紙の上の知識にとどまっているのではないでしょうか。思いきり「好きなこと」「得意なこと」をしたり、社会問題について身をもって考えたりすると、単なる知識が現実と結び付いて、より生きたものになります。この春には、ぜひそのようなきっかけづくりをしてあげてください。
4月から始まる高校での学びが、実り多いものになることを願っています。
(筆者:安田 理)