通信教材でわからないところの答えを書き写して丸にしていました[教えて!親野先生]

【質問】

 

通信教材をやっているのですが、わからないところの答えをこっそり書き写して丸にしていたことが発覚しました。それで、「ずるはいけません」と叱ったところ、本人が「だってわからないんだもん」と言い訳したので、よけいに怒ってしまいました。(キッズXP さん:小学5年生男子)


通信教材でわからないところの答えを書き写して丸にしていました[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

キッズXPさん、拝読いたしました。
これは、まあよくあることですね。子どもには、さっさと終わらせて早く好きなことをしたいという気持ちが常にありますから。
これを防ぐには、親が答えの冊子を預かっておくようにすればよいわけです。そうすれば、答えを書き写すことはできません。
あるいは、親が発想を変えて、条件付きで「答えを見てやるのもOK」にする方法もあります。それについて詳しく紹介します。

私は、大学受験のときも教員採用試験のときも、問題集を使うときは次のような手順で勉強しました。皆さんもいろいろな試験勉強でそうしてきたはずです。

1.まず自力で問題集の問題を解きます。
2.わからないところは、テキストや教科書を見ながら考えて答えを書きます。
3.それがめんどうで、わからないままにしておくこともよくありました。
4.そして、丸つけをして合っていればそれで良し、間違えていれば直します。
5.直しながら考えたり頭に入れたりします。
6.わからないままだったところも、答えを見ながらあるいは書き写したりしながら考えます。そして、頭に入れます。

この中で特に大事なのが2.と5.と6.です。これらのところで力がつくのです。そして、これが自力学習の一般的なやり方です。

ところが、なぜか、小学生は6番目の手順が許されていません。学校の宿題でも通信教材でも、小学生がこれをやると叱られます。
これは、考えてみれば不思議なことです。勉強になって力がつくやり方をしてはいけないと言われているわけですから。
それに、そもそも勉強が苦痛に感じられるのはわからないことが出てくるときです。わからないことをずっと考えるのはたいへんなストレスです。そして、わからないところがそのまま残ってしまうのもストレスです。
6.の手順があれば、そのストレスが緩和されます。しかも、答えを見ながらあるいは書き写したりしながら考えたり記憶したりするのはとても良い勉強になるのです。
ですから、私は、この6番目の手順をもっと積極的に肯定したほうが良いと思います。つまり、正しい手順として採用するのです。

その際大事なのは、6.の手順の意義がわかるように話してあげることです。それでないと、ただやたらに丸写しするだけになってしまいます。ですから、子どもに次のようなことを話してあげてください。

どうしてもわからないときは、答えを見ながらやってもよいし、あるいは書き写してもよいです。
ただし、どうしてそうなるのか考えながらやりましょう。そして、大事なことを頭に入れましょう。
実は、これが一番良い勉強になります。なぜかというと、これによってわからなかったことがわかるようになるからです。
そして、答えを見ずに自力で解いた問題は赤い丸、答えを見てやった問題はピンクの丸、などのように丸つけで何らかの区別をしましょう。

このように話してあげて、子どもがその意義を納得することができれば意味のある自力学習ができるようになります。
ただ、いくら意義を話しても、子どもによっては結局ただの丸写しになってしまう子も多いと思います。最初に言ったように、小学生ではそれもよくあることです。
そういうとき、「ずる」などと決めつける必要はありません。そういう決めつけは百害あって一利なしです。まだ勉強へのモチベーションができていないということもありますし、遊びたい盛りということもあるのです。

その場合は、最初に書いたように親が答えの冊子を預かっておけばよいだけです。
あるいは、もっと割り切って、ただの丸写しも認める方法もあります。
なぜかというと、ただの丸写しでも書き写している間に何かしらの勉強にはなるからです。
すばらしい効果はないかもしれませんが、ほんのちょっとの効果はあります。
書き写している間に記憶がつながることもあります。書き写すワークと考えればよいわけです。
そして、丸写ししたところは丸つけで何らかの区別をするようにします。そうすれば、後ろめたい気持ちにならなくて済みます。これはとても大切なことです。「ずるいことをしている」という後ろめたい意識でやっていると、勉強へのマイナスイメージができてしまいます。
いろいろなやり方がありますが、すべて子どもの実態に合わせて選択してください。その子に合った方法が大切です。

念のために言いますが、私は丸写しをイチオシしているわけではありません。
子どもが勉強への意欲がなくて、さっさと終わらせて早く好きなことをしたいという気持ちが強い場合の方法です。何もやらないよりは、あるいは毎日がみがみ言ってやっとやらせるよりは、割り切ってこういうやり方をしたほうが良い場合もあるということを言いたいわけです。
そういう方法でも長く続ければ勉強の積み重ねになります。苦痛が多い勉強だと長続きしません。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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