漢字が使えなくて困っています[教えて!親野先生]

今週の相談

 

習った漢字が使えなくて困っています。
作文や日記を見てみると、簡単な(画数の少ない)漢字は使っているのですが、せっかく教わってきた漢字がひらがなで書いてあるものがとても多いのです。
算数や理科、社会でも漢字で書けるはずの言葉がひらがなで書いてあり、漢字を使うことがめんどうなのか、注意してもその時だけで、自分で気を付けて漢字を使うことをしません。
どのようにすれば進んで漢字を使うようになるのでしょうか。(よっちゃんままさん)

 

【親野先生のアドバイス】

よっちゃんままさん、拝読いたしました。

これは、なかなか難しい問題です。
まず、その子の性格的なことが大きく影響していると思います。
几帳面な子や字を丁寧に書く子は、習った字は使おうと努力するようです。

では、どうしたら子どもをその気にさせることができるのでしょうか?
まず、ほめることから始めるといいと思います。
子どもの作文や日記を見たら、まず良いところを見つけてほめてやることです。

・ここは様子が目に浮かぶようだ
・自分の気持ちが素直に書けたね
・この発見がすばらしいよ
・この書き方は工夫していて面白い
・会話がいきいき書けているね

もちろん、がんばって書いたこと自体もほめてやってください。

ほめられれば、誰でも心がひらきます。
そうなったところで、漢字のことに触れるようにするのです。
そうでなく、いきなり「なんでこんなにひらがなばかりなの?」「習った漢字はしっかり書きなさい」などとやっても、子どもがその気になるはずがありません。

では、作文や日記の漢字を増やす方法を考えてみましょう。
私がよくやったのは、使った漢字に赤丸をつけてやることです。
難しい漢字を使っていたら、その漢字に花丸をつけてやるのもいいでしょう。
これを続けると、だんだん使う漢字が増えます。

そして、もう少し使わせたいときは、「かなりたくさん漢字を使えたね。では、もうひとがんばりで、あと三つ漢字に直してみよう」などと言うのです。
そして、直したものにも赤丸をつけてやるのです。
でも、あまり完璧を目指さないようにしたほうがいいでしょう。
これはかなり有効な方法ですから、ぜひやってみてください。

また、「今日は漢字が65個使ってあるね。中身90点、漢字65点」と言って、名前の横に2種類の点数を書いてやったこともあります。
または、表を作ってそこに記録していくのでもいいでしょう。
そうすると、がんばる目標を数字として意識することができるようになります。
書く前に、「今日は漢字80点を目指そう」などという話をすることもできます。

また、ある先生は、同じ内容の作文でひらがなばかりのものと漢字をたくさん使ったものを見せて、比べさせる授業をやったそうです。
「どう思う?」と聞くと、子どもたちは次のように言いました。

・ひらがなばかりのものは1年生の作文みたい
・漢字がたくさん使ってあるほうが読みやすい
・漢字がたくさん使ってあるほうが頭が良さそう

この授業をしたあと、しばらくは、子どもたちが漢字を使う率は格段に上がったそうです。


このような直接的なことと同時に、漢字自体に興味をもたせて好きにさせることも大事です。
一見遠回りのようですが、子どもが漢字自体に興味をもって好きになれば、漢字を使う回数は絶対に増えます。

そのためには、楽しみながら漢字に親しむ機会を増やすのが一番です。
漢字カルタで遊ぶ、「漢字の秘密」をテーマにした学習漫画を読む、漢字クイズを楽しむ、博物館で甲骨文字の刻まれた亀の甲を見る、ゲーム機で漢字ゲームをする……などです。

また、小学生新聞や学習漫画などのように、漢字にふりがながついているものをたくさん読むようにするのも効果的です。
さらには、漢字検定のような公の実力テストにチャレンジするのもいいでしょう。

とりあえず、できることから始めるといいと思います。
そして、ほんの少しでも漢字を使う率が増えれば御の字です。
あまり完璧を目指さないほうがいいと思います。
というのも、最初に言ったように、性格的なものが大きいからです。
それと、あまり漢字のことを言い過ぎると、作文や日記などの文章表現自体が嫌いになってしまうからです。

はっきり言って、文章のなかで漢字を使えるようにすることよりも、文章を書くことが楽しいと感じるようにすることのほうがはるかに大事なのです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
よっちゃんままさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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