「やせ過ぎ」中1女子で3.6% 文科省学校保健統計

やせ過ぎと判定される子ども(痩身傾向児)が中1女子で3.6%いることが、文部科学省が先ごろ発表した2006(平成18)年度学校保健統計調査速報でわかりました。

肥満傾向児や痩身傾向児については、これまでも身長別の平均体重から求めていたのですが、今回からは性別・年齢別に定められた計算式から身長別の標準体重を定め、「肥満度」を算出する、という方法に変えました。ここでは、肥満度が20%以上の子を肥満傾向児、20%以下の子を痩身傾向児と定義しています。

まず女子の痩身傾向児について見ると、幼稚園児(5歳児)では0.4%に過ぎませんが、小学3年生(8歳児)ごろから目立って上昇し出し、同6年生(11歳児)では2.7%、中学1年生(12歳児)で3.6%と最も高くなります。その後は年々減少して高校3年生(17歳児)では1.2%となるのですが、体の基礎ができるころの年齢にやせ過ぎが多いというのは、その後の発育を考えても気にかかる数値といえるでしょう。
一方、男子は幼稚園児の0.4%から始まって、最も高い小学6年生で2.5%となっています。

また、肥満傾向児について見ると、女子は幼稚園児で3.0%ですが、その後は徐々に上昇し、中学1年生で10.2%と最も高くなりますが、その後も高率を保ち、高校3年生でも9.7%となっています。男子は幼稚園児の2.6%から始まって小学4年生で10%を超え、最も高い高校1年生では13.5%に上っています。

では、ここで保健統計の平均数値から、肥満度を表すBMI指数(体重[kg]÷(身長[m]×身長[m])を算出してみましょう。30年前である1976(昭和51)年の数値を「親の世代」とすると、中1女子の場合、平均体重は41.9kg、平均身長は149.9cm[1.499m]でした。ここから計算すると、BMI指数は18.65となります。一方、今の中1女子はそれぞれ44.4kg、152.0cm[1.520m]で19.22となります。同様に、中1男子では親世代が各40.4kg、148.9cm[1.489m]で18.22、現在が各44.9kg、152.6cm[1.526m]で19.28となっており、男女ともに上昇しています。親の時代に比べれば今の子のほうが少しふっくらしている、ということでしょうか。

もちろん発育には個人差がありますし、時代による変化もありますから、細かい平均値をあまり気にするべきではないかもしれません。しかし、太り過ぎによる「小児成人病」や、過剰なダイエットによる健康被害などの問題も指摘されています。体調が優れなければ、勉強にも身が入るわけがありません。生活習慣の問題と併せて、子どもの健やかな成長に注意を向けていきたいものです。

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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