子どもが苦手な算数の「割合」、どう教える?

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お子さまに算数の内容で質問をされてドキッとされたことはありませんか? 今回は、お子さまがつまずきやすい「割合」での式の立て方について、教え方のポイントをお伝えします。

この記事のポイント

そもそも「割合」って何? ⇒ 用語の意味を考えよう!

割合では、「▲%」「■割」の前に出てくる「比べられる量」「もとにする量」「割合」でつまずくお子さまが見受けられます。つまずく要因としては、「比べられる量」と「もとにする量」の区別がつかないことがあげられます。
そもそも「割合」って何でしょうか? 「割合」という用語が最初に登場するのは小学校4年生で、教科書では、次のように表現されます。

  • 「もとにする量(大きさ)を1とみたとき、比べられる量(大きさ)がどれだけにあたるかを表した数を割合という。」

算数や数学では、「~~を**という。」というように用語の定義がされます。たとえば「2つの辺が等しい三角形を二等辺三角形という。」のようにイメージしやすいものはよいのですが、割合の場合はイメージがしにくいですね。ただ、この用語の意味をもとにして、計算のしかたや求め方があるのです。ですから、言葉の意味をいかに理解するのかがポイントとなります。

用語の意味がわからない ⇒ 最初の簡単な例を確実に理解しよう!

「もとにする量(大きさ)を1とみたとき、比べられる量(大きさ)がどれだけにあたるかを表した数を割合という。」
では、割合の定義について、具体的な例で考えてみましょう。

  • 「2cmを1つ分とすると8cmはいくつ分ですか?」

こちらの例は、割合の説明で、よく最初に出てくるものですが、答えは4つ分ですね。2cmが4つあれば8cmになります。では、この例ではどれが「比べられる量」「もとにする量」「割合」にそれぞれあたるのでしょうか?
「2cmを1つ分」だから,もとにする量は2cm、「2cmをもとにして比べられているのが8cm」だから、比べられる量は8cm、「2cmを1つ分としたときに8cmは4つ分」だから、割合は4つ分となります。
これは、例の中に「1つ分」とあるから、わかりやすいですね。では、こちらはどうでしょう。

  • 「8cmは2cmの何倍ですか?」

2cmを4倍したら8cmになりますから、答えは4倍ですね。表現は変わっていますが、「2cmをもとにして(1として)比べると、8cmは4倍」という意味です。割合の定義にならうと、「もとにする量は2cm、比べられる量は8cm、割合は4倍」となります。
問題としてよく出てくるのは、最初の例にある「1つ分」ではなく「何倍ですか?」の例ですね。この「▲は■の●倍」という表現で、どれがどれにあたるかをまず覚えるとよいでしょう。
実際の問題文ではいろいろな情報がつけ加えられたり、表現が変わったりしているので、どれが「比べられる量」でどれが「もとにする量」かが読み取りにくくなります。しかし、基本となることをイメージすることで、読み取りやすくなります。

  • どんな内容でも、最初は簡単な例から始めていますから、まずは簡単な例できちんと理解するのが大切なポイントです。

式の立て方を間違えてしまう ⇒ 簡単な例をもとにして考えよう!

「割合」の求め方として次の式があります。

  • 「割合=比べられる量÷もとにする量」

この式が覚えられないことや、「比べられる量」と「もとにする量」を逆にしてしまうといったことがよくあるつまずきとしてあげられます。これも、先ほどの簡単な例をもとにして考えてみましょう。
「8cmは2cmの4倍」で4倍を求めるには「8÷2=4」と計算をしますね。「比べられる量は、もとにする量のいくつ分であるか」を求めるので、もとにする量でわるのです。ですから、「割合=比べられる量÷もとにする量」で求めることができます。
では、ここで問題です。

  • 「5cmは10cmの何倍ですか?」

10÷5? それとも 5÷10?
先ほどの「8cmは2cmの4倍」で考えれば、5cmが比べられる量で、10cmがもとにする量ですから、5÷10=0.5(倍)が正解ですね。数の大きさにまどわされるのではなく、「どちらがもとにする量なのか」を考えることが大切です。
このことを意識することで、文章が長くなったり表現が変わったりしても対応できるようになっていきます。

  • ただやみくもに用語や式を覚えさせるのではなく、まずは、簡単な例で基本的なことをしっかりと身につけさせることが大切です。

まとめ & 実践 TIPS

いかがでしたか? 今回は「割合」をテーマにお話をしましたが、「用語の意味を考えること」「簡単な例とともに覚えること」は算数・数学を学ぶうえで大切なことです。計算のしかたや求め方を暗記するだけでは、「思考力」が重視される今後の学習についていくことは難しいです。計算のしかたや求め方の根底となる考え方をきちんと身につけることが大切です。簡単な例から始めて、1つずつ積み重ねていくよう、お子さまにアドバイスしてください。

株式会社プランディット 数学課 山田
編集プロダクションの株式会社プランディットで、塾講師の経験も活かし、小学校から高校向けの算数・数学の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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