お友達を叩いてしまう。やめさせるには?[教えて!親野先生]

今週の相談

 

幼稚園年中の息子のことです。入園して半年以上が経ちましたが、お友達は何もしていないのに、叩いたり押したりしてケガをさせるということがずっと続いています。仲のいいお友達もいません。家庭で毎日注意していますが、繰り返してしまいます。(m.yさん)

 

【親野先生のアドバイス】

m.yさん、拝読いたしました。

子どもが友達を叩くという場合、次のことが考えられます。

一つ目は、自分が誰かに叩かれているか、もしくは、すぐに人を叩く人が身近にいてそれを見ている場合です。

もしこのような状況ならば、すぐに改善する必要があります。


二つ目は、ストレスや緊張が内面にある場合です。

家庭、または、幼稚園でのストレスでイライラしているのかもしれません。
もしかしたら、年中からの入園ということで、いま一つ馴染めないでいるのが原因かもしれません。
この場合、叩くことで注意され、またストレスがたまるという繰り返しになりがちです。
体を使った遊び、特に外遊びをたくさんさせてやるといいと思います。
親子でくすぐりっこをして笑わせてやるのも効果があります。
また、子どもの話を受容的にたっぷり聞いてやることも大切です。
また、叱らなくてすむような生活上の工夫をして、子どもが穏やかな気持ちで過ごせるようにしてやってください。

三つ目は、友達と関わりたい気持ちをうまく表現できないため、叩いてしまうという場合です。
その子と関わりたいのにそれを言葉で言えないので、叩いてしまうのです。
「何も叩かなくても」と大人は思うのですが、その子にとってはほかに方法が思い浮かばないのです。

こういう子は小学生でもいます。
「その子に興味がある」「一緒に遊びたい」「おしゃべりしたい」「気を引きたい」「ちょっかい出したい」などなど、とにかく関わりをもちたいのです。
ですから、こういう子は、実はそれほど心配しなくていいとも言えるのです。
「関わりを持ちたい」という気持ちがあるということは、大きな安心材料です。
あとは、その方法を身に付けられるように手助けをしていけばいいのです。

まず、友達を叩いてはいけないと言葉で教えることは当然のことながら大事です。
もうすでにやっていらっしゃることと思いますが、根気よくやってください。

それと同時に、友達との関わり方を具体的に教えてやることも必要です。
叩く代わりに、「いい子いい子」をするように友達の頭を撫でてやることを教えてやるといいと思います。

しかも、口だけで教えるのではなく、実際に親子でやってみたり、友達や兄弟でやってみたりするのです。口だけでなく、実際にやってみることがとても大事です。

一種のロールプレイ(役割演技)であり、シミュレーションでもあります。
「いい子いい子」のほかにも、「ジャーンケン」と言いながらジャンケンに誘うというのもあります。
それでジャンケンすれば、もう遊んでいることになります。
とにかく、最初のきっかけをもつ方法を教えればいいのです。

それと、言葉できっかけをもつ方法も教えたいものです。
「何してるの?」「楽しそうだね」「ぼくも入れて」「一緒に遊ぼう」などが言えるようになると、ずいぶん違います。

これもロールプレイでできます。お父さんとお母さんと子どもで、一種の劇をやるのです。
最初に、A君とB君が遊んでいるところにC君が入りたい場合という状況設定をします。

まず、お母さんがA君役、子どもがB君役、お父さんC君役になります。

A君(お母さん):「粘土で象ができた」
B君(子ども) :「すごいね」
C君(お父さん):「楽しそうだね。ぼくも入れてくれる」
B君(子ども) :「いいよ」

このような見本を見せてから、今度は子どもにC君の役をやらせるのです。

そして、そのあとで大いにほめることです。
声が小さいなと思ってもそのことは触れずに、「ちゃんと言えたね」とほめてやってください。

そして、何度か繰り返してやってください。
まったく同じでもいいですし、少し変えてもいいのです。
とにかく自信をもって言えるようにしてやってください。
上手になったら、断られたときの対応の仕方もやってみるといいと思います。
「今度やるときは入れてね」などの言葉です。
この親子ロールプレイは、とても実践的でいい方法です。
親子で楽しみながら、このほかにもいろいろなことを子どもに身に付けさせることができます。

けんかの仲直りの仕方やいやなことに誘われたときの断り方なども身に付けられます。
いじめや不審者からの身の守り方を身につける方法としても大変有効です。

このようにして、子どもに関わり方を身に付けさせてやってください。
だいじょうぶ、きっとうまくいきます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
m.yさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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