家に遊びに来るよその子に、マナーを教えるには?【後編】[教えて!親野先生]

今週の相談

 

最近ある団地に引っ越したところ、息子に友達がたくさんできて、4、5人の子がよく遊びに来てくれます。息子もとても喜んでいて、私もありがたいことだと思っています。ですが、中にはマナーができていない子もいて困っています。靴が脱ぎっぱなし、勝手に冷蔵庫を開ける、デッキに録画してある番組を勝手に見る、お菓子を食べるときこぼしても平気、勝手に小鳥に餌をやる、などです。ティッシュを勝手に引き出して使うのも気になります。せっかくできた友達なので大切にしたいのですが、このままの状態ではいけないと思います。どうしたらうまく叱れるでしょうか?(ちょいな さん)


家に遊びに来るよその子に、マナーを教えるには?【後編】[教えて!親野先生]

 

【親野先生のアドバイス】

前回に引き続き、ちょいなさんへのアドバイスです。

このように、いい人間関係作りに心がけつつ、守ってもらいたいマナーについて伝えたいときは伝え方を工夫することも大切です。
ここでも、また、ほめるのが効果的です。

「トイレの使い方が上手だね」
「トイレットペーパーの切り方が上手だね」
「こぼしたところをちゃんと拭いてくれて、ありがとう」
「食べ方が上手だね」
「ちゃんと『ティッシュください』って言えて、えらいなあ」

ここで、大事なのは「取り敢えずほめる」という発想です。
つまり、守ってもらいたいマナーについて、叱るところから入るのではなくほめるところから入るのです。
決してほめられる段階でなくても、普通レベルならもうほめてしまえばいいのです。

私はいつも思うのですが、大人はみんな「できたらほめよう」と思っています。
だから、永久にほめられないのです。
そうではなく、取り敢えずほめてしまえばいいのです。
「できたらほめる」ではなく「ほめればできる」、これでいってください。

どんな場合でも、「○○しなきゃ、だめでしょ」などと否定的な言い方で叱られると、決していい気持ちはしません。
いつでも、誰でも、肯定的な言い方でほめられる方が気持ちがいいのです。
言う方も言われる方も、お互いに気持ちがいいのです。
ほめられたとき「心の中で本当かな?」と思うこともあるかも知れませんが、それでも「○○しなきゃ、だめでしょ」などの否定的な言い方をされるよりもいいのです。

ですから、守ってもらいたいマナーについては、ほめることで伝えるようにするといいと思います。

このほかにも、肯定的な言い方としては、「○○するといいよ」という言い方も効果的です。
たとえば、「こぼしやすいお菓子を食べるときは、ティッシュを敷いておくといいよ」などです。

もちろん、普通の言い方でも口調に気をつければだいじょうぶです。
たとえば、「小鳥に餌をやりたいときは、ひと言言ってね」という普通の言い方でも、明るく優しい口調で言えばだいじょうぶです。

この「口調」というものは、とても大切です。
たとえ「こぼしやすいお菓子を食べるときは、ティッシュを敷いておくといいよ」という肯定的な言い方でも、イライラして怒った口調で言ったのでは台無しです。

明るく優しい口調そのものに、肯定的なイメージがあるのです。

このように、言い方を気をつけることはとても大事です。
これによって、いい人間関係をつくりながら伝えたいことを伝えることができます。

次に、家で守ってもらいたいルールやマナーを、大きな紙に書いて目につくところに貼っておくのもいい方法です。

「しっかりあいさつしよう」「くつをそろえる」などのようにありきたりのものでなく、「あいさつ上手はつきあい上手」「くつをそろえるかしこい子」などのように少し工夫すると子どもは喜びます。

小鳥の餌や録画用デッキのリモコンなどは、あらかじめしまっておくのもいいでしょう。

そして、さらに、今は価値観が多様化しているということも頭に入れておくといいでしょう。
たとえば、あるひとが、「家に上がるとすぐ靴下を脱ぐ子がいて驚いた」と言っていました。
たしかに、人前で靴下を脱ぐのは不作法と感じるひとも多いと思います。
でも、その子の家では、「家の中では靴下を脱ぐ」というルールがあるのかも知れません。
そのように想像してみれば、つまり、その子の事情に思いをやってみれば、許せるようになります。

そして、さらに、小学3年生の男子はそんなものだと広い気持ちで開き直るのもいいかも知れません。
実際、この年代の男子はそんなものですから。
「小学3年生の男子でマナーがいい子はめずらしい」と思っていれば、諦めもつくというものです。

でも、もちろん、ずっとそれでいいということではなく、少しずつマナーは身につけてもらいたいものです。
そのためにも、ぜひ、ここまで書いたような方法をやってみてください。
そうすれば、ちょいなさんが、息子さんの友達みんなにいい影響を与えることができます。
そして、それによって息子さんにもいい影響が返ってくるはずです。

最後に、逆に息子さんがよその家に行くときに備えて、いい練習方法を紹介します。
それは、ロールプレイ(役割演技)というものです。

たとえば、親が「よその家に行ったらあいさつするんだよ」と口だけで教えるのではなく、「よその家訪問ごっこ」という形で練習をするのです。

次のように、親子で役割を決めて練習します。

お母さん「あら、○○君、いらっしゃい」
子ども「こんにちは。おじゃまします」
お母さん「しっかり言えたね。えらい、えらい」
子ども「えへへ」

ときには、役を入れ替えて、お母さんが子ども役をやり、子どもがよそのお母さん役をやってみるのもいいでしょう。

子ども「あら、○○さん、いらっしゃい」
お母さん「こんにちは。おじゃまします。おばさんいつもきれいだね」
子ども「え~。そんなの言えないよ」
お母さん「こういうお世辞をいえば、いいことがあるかもよ」

訪問時のあいさつ以外にも、いろいろな場面を設定してやってみるといいでしょう。

お母さん「○○君、羊羹(ようかん)食べてね」
子ども「ありがとうございます。いただきます。羊羹、大好きです」
お母さん「お~っ、お世辞も言えたね」
子ども「これで羊羹が増えるかも」

こんな感じで、親子で楽しみながらやるといいでしょう。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。



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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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