親野先生に聞いた!冬休みや年末年始は子どもにとってどんな時期? 新しい年へ意欲を高める過ごし方とは?
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冬休みは短いし、やることも多くて、なんだかバタバタ。でも、新しい年の始まりは、やっぱり新鮮でわくわくします。そんな年末年始を子どもたちはどんなふうに感じているのでしょう。「実は年の変わり目は子どもの意欲を高めるよい機会」と話す教育評論家の親野智可等先生に、やる気を引き出し、次の1年を前向きに迎えるための過ごし方を伺いました。
この記事のポイント
子どもが節目を意識できるタイミング
子どもにとって、年末年始と学年末は年の変わり目を意識する大きな節目です。冬休みの間には、カレンダーが変わり、帰省をしたり、大掃除をしたり、普段とは違う出来事がたくさん起こります。そんな節目の時期には、子どもの気持ちは自然と高揚し、やる気がわいたり、前向きな気持ちになりやすくなっています。
この貴重なタイミングを生かし、ぜひお子さまの意欲を後押ししてあげてください。そのためには、いきなり「来年はこれをがんばろう」「これを目標にしよう」と先の話をするのではなく、まず今年1年でがんばったこと、達成したこと、成長したこと、楽しかったことなどを振り返ってほしいのです。算数テスト、漢字検定、縄跳び、趣味や生活習慣……どんなことでもかまいません。
努力や成果を確認すると、「自分は今年1年がんばった。家族にもほめてもらえてうれしい。来年はもっとできるかもしれない」と、プラス思考になります。反対に苦手なことや、できなかったことを引き合いに「今年はダメだったから、来年はがんばりなさい」と言われると、気が重くなって、やる気もしぼんでしまいます。
喜びの記憶が自己肯定感をはぐくむ
楽しかったことを思い出す時間も、前向きな気持ちにつながります。家族のイベントやお祝い事、友達との思い出など、楽しかった記憶を呼び戻し「今年1年楽しく生活できたね」と家族で語り合えば、子どもは「生きているって楽しいな」と実感し、家族の愛情や友情をかみしめることができます。大げさなようですが、こうした喜びや幸せの実感が、子どもの自己肯定感を高めていくのです。
子どもの成長を振り返り、喜びを共有するために家族で写真を見返すのもおすすめです。イベントや日常の楽しい時間、スポーツや習い事などでがんばっている時間の写真は、見るだけでその時のうれしい気持ちやがんばり、楽しさなどが沸き上がってきます。スマホで気軽に写真が撮れるようになっていますが、改めて見返す機会は意外と少ないというご家庭も多いようです。ぜひ年末年始の家族の時間を利用して、一緒に写真を見ながら会話をしてみてください。
気に入った写真はプリントアウトして玄関やトイレなど目にしやすい場所に貼っておくと、見るたびにそのときの気持ちを味わうことができます。そして、そのたびに「自分は家族に大事にされている。自分も家族を大事に思っている」「自分はがんばれるんだ」と、自分を肯定する感情が芽生えるのです。親子でそれぞれに写真を選んでみるのも楽しいでしょう。たくさん選んで、時々貼り替えてもいいですね。
日本の文化を家族で味わおう
行事の多い日本の年末年始は、家族の思い出を増やし、文化的な知識を深めるのにも絶好の機会です。会話の中で「年越しそばって、どんな意味があるか知ってる?」「いつ食べるのかな」「除夜の鐘って何回鳴らすと思う?」「門松ってなんだろう」「お年玉は、どうしてもらえるの?」などと問いかけたり、一緒に調べたりしてみてください。
かるたや凧揚げ、こま回しなどの伝統的な遊びも盛り上がります。遊びを通して自然に会話が弾み、笑い合う。その時間もまた家族の絆を深め、思い出になります。子どものほうが上手にできることがあれば、ますます得意になって、夢中になるかもしれません。
年末年始には、こうした家族の愛情を感じ、自分の存在を肯定し、今が楽しくて幸せだと思える時間をたくさんつくってあげましょう。すると、子どもは自信を持って自分から「来年はこれをがんばる」と目標を立てるかもしれません。その時は、おうちのかたは「きっとできるよ!」と、やる気を受け止め、応援してくださいね。
まとめ & 実践 TIPS
年始を前に、心機一転来年は……と期待が膨らみますが、まずは今年のがんばりや喜びを振り返り、じっくり味わうことが大切。子どもだけでなく、家族全員のがんばりをみんなで思い返してみて。一緒に過ごす時間がつくりやすい年末年始、温かい家族の時間が絆を深め、新たな年も心の支えになっていくでしょう。
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