生理を子どもにどう説明すればいい? 産婦人科医が回答!

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女の子のママなら誰しも気になる「子どもの生理」について。いつかその時は来ると知りつつも、話をするタイミングが分からないという親御さんが多いのではないでしょうか。実は、早い子では10歳で生理がくる子もいると知っていましたか? 生理の前兆を見逃さず、その時が来たらどう対処すべきか。さらに、親子で正しく理解して、わが子に分かりやすく伝えるコツを、産婦人科医の宋美玄先生にお聞きしました。先生が娘さんに生理のことをわかりやすく伝えるために書かれたという著書『生理だいじょうぶブック』(小学館)も必見です!

この記事のポイント

教えてくれた宋美玄先生。ご自身も女の子を持つ親でもあります。

ポイント1 子どもの生理は何歳から?

大人になる体の準備が進んできたら、はじめての生理がくる頃。ユニ・チャーム調べによると、10~14歳頃と個人差あり、早い子では3年生で初潮を迎える子もいると言います。
まずは、精神的にマセている子や背が高い子から順番に生理になるわけではなく、人それぞれであるということを教えてあげましょう。「同じ年でも身長や体重、性格だってバラバラ。だから生理も人それぞれなんだよ」という風に。ただし、高校生になっても生理がこない場合は、病気の可能性もあるので一度婦人科を受診しましょう。

発達が早い子の場合は、8歳以前に第二次性徴が始まる「早発思春期」に当てはまれば専門医に相談!が得策です。なぜなら低身長のまま発育が終わる心配があるからです。

8歳以降であれば、乳房発育などの第二次性徴が始まった頃から成長を肯定的に捉え、下着を選んだり、異性の同居家族などからよりプライバシーを守るように配慮してあげましょう。体が早めに女性らしくなっていくことに対して、母親が否定的でなければ、子どもは安心できることが多いんです。
アドバイスというよりは、大切なのは、体の成長を肯定した態度を取り続けること

反対に、15歳になっても月経が来ないようなら専門医へ。初潮は遅い方が身長も伸びるし、月経にわずらわされない。また子宮内膜症や婦人科がんのリスクも下がるんですよ。思春期に妊娠を望んでいる人はほとんどいないので、早く来るメリットは別にないと、私は思います。「ラッキー!」くらいのニュアンスでいいと思います。

「生理が遅いのはラッキー!」くらいの気持ちでポジティブに考えましょう。

ポイント2 生理の前にはサインがある

体脂肪が増え体形がふっくらしてきたり、胸がふくらみアンダーヘアが生えてきたりすると、生理が近づいているという体のサイン。他には、胸にしこりのようなものができて痛くなったり、オリモノが出たりすることもあります。

中でも、オリモノの知識がないと、
「お漏らしじゃないのに下着が濡れて気持ち悪い」
「乾くと黄色っぽいし、甘い酸っぱい匂いがして友達に気づかれないか心配」
と不安がる子もいるので、オリモノの性質を理解しておくことは重要です。

オリモノは膣や子宮の分泌物が流れ出てくるもので、細菌感染を防いで膣の中を清浄に保つという役割があるということ。白っぽいものや黄色っぽいもの、茶色っぽいもの、サラサラ、透明でトロっとしているなど、酸っぱい匂いがするなどさまざまありますが、どれも正常であることを伝えておきましょう。気になる場合はオリモノシートを活用して、いつもと違うなど感じた場合は婦人科へ。

と言っても、これらのサインが出てすぐに生理が来るとは限らず、1年くらいサインが続いてから始まる人も。そろそろかもと思ったらナプキンを持ち歩くようにすると安心です。持ち歩き方ですが、「ポケット付きのハンカチケース」にしのばせておくのがおすすめですよ。

ポイント3 あいまいにせずきちんと伝える

生理が始まる前にしておきたいのが、親が「生理のメカニズム」を隠さずわが子にきちんと伝えること。
親が見ていないときにスマホやパソコンで調べて間違った情報を鵜呑(うの)みにしてしまうのは大変危険です。

まずは、生理(月経)は、女性の体が毎月赤ちゃんのためのベッドを子宮で作ることで、妊娠のための準備であるということを伝えましょう。卵巣で卵子が育って精子と出会い、その受精卵が子宮のふかふかベッドで育つのが妊娠だということも。ただし、実際に妊娠するには心も体ももっと大人になってからなので、妊娠しなかった場合は自然とはがれてそのベッドをお片付けするのが生理であると話すとイメージしやすいかもしれません。
他に、
・生理は女性ホルモンの働きで毎月だいたい決まった日にくる
・女の人は月経周期で体温が変化し、生理の1週間前くらいに体温が高くなる
・場所はおしっことうんちの穴の間にあって、処女膜というひだの穴から出ている
ということも伝えられるといいですね。

__「そもそも、子どもに性の話をする切り出し方がわからない……」という方も多いと思いますが、私は切り出すというか、子どもの方が興味を持った時点で話しました。先日『NHK NEWS おはよう日本』(NHK系列)という番組で、性教育や痴漢などについてのコーナーに興味を示していたので、痴漢という性犯罪についてそのまま話しました。性と言っても切り口はたくさんあるので、生活の中で探してみるといいと思います。うちでは性に関する思春期向けの書籍を子どもの手の届くところに置いてあるので、勝手に読んでいますよ。些細なことでも、性について質問してきた時がチャンス!

また、生理が始まったら、パパ(もしくは兄弟)とのお風呂は、絶対にというわけではないですが、やめたほうが無難だと思います。基本的に第二次性徴とともに近親の異性を嫌悪する人が多いので……。お子さんの意志を尊重しつつ、親からは遠慮がちにしていく方が多いと思います

話すチャンスは子どもが興味を持ったタイミング。お年頃になったら、子どもの成長に少し敏感になりましょう。

ポイント4 こんな生理には注意!

次に、注意しておきたい生理についてご紹介。最初のうちは1カ月以上こないこともありますが、3カ月以上こなかったらうまくホルモンが出ていない「無月経」の場合も。また、生理が2週間おきにきたり、10日くらい続く「たびたび生理」「ダラダラ生理」はホルモン以上や卵巣機能不全などが考えられるので、どちらも気になる場合は婦人科で相談してください。
無理なダイエットで血の量が極端に減って、病気を併発してしまうことがあるということも伝えておくといいですね。

さらに、血のかたまりはよくあることですが、親指の先くらいのかたまりが出るときは病気が潜んでいる場合もあるので、この場合も婦人科で相談をしましょう。
ナプキンを交換するときに、血やかたまりをチェックする習慣をつけておくといいですね。

ポイント5 生理のトラブルと対処法を知っておく

最後に、「学校で漏れてしまったら」「生理痛がツライときは」など、生理で起こりうるトラブルやあるあるも知っておく必要があります。以下、私が考えるよく起きるトラブルの例です。

・量が多いときは、タンポン&夜用ナプキン、パンツ型のナプキンを使うと寝返りで漏れる心配が減る
・気になる場合はシーツが汚れないようバスタオルを敷いて寝るといい
・血がついた衣類はすばやく水で落とすと落ちる(他の洗濯物と一緒にしない)
・頭や腰が痛くなったり、吐き気や下痢になる生理痛もある(ツライときは我慢しない!)
・ひどい生理痛は薬を飲んだり婦人科で相談したりする
・生理の3~10日前くらいに心と体の調整が悪くなる「PMS(月経前症候群)」になることがある

生理やPMSでツライときは、お友だちや、先生に伝えてよいということも話しておきましょう。男の子には分かりにくいかもしれないし、恥ずかしいかもしれないけれど、男女問わず、生理のことを理解できて思いやりのある行動をとれる環境が大事だなと思います。

学校側への生理の伝え方ですが、PMSや生理痛が重くなければ担任に知らせる必要はありません。。お子さんにとってはとてもデリケートな問題です。母親には通常知らせると思いますが、父親には知られたくないという子も多いところ。月経は子どものプライバシーです。開示には気をつけてください。

まとめ & 実践 TIPS

生理は、赤ちゃんを産むための準備。わが子に生理のことを話すのはちょっと戸惑うところもあるかもしれませんが、体も大人への変化が始まる10歳頃がベストタイミング。ポイントはあいまいに伝えないことと、体の成長を肯定的にとらえることです。正しい知識は将来のわが子を守る武器になります。これからずっと付き合っていく生理や婦人科について、親子で少しずつ勉強していきましょう。

文:加藤朋美

出典:産婦人科医宋美玄先生の『生理だいじょうぶブック』(小学館)
URL https://www.shogakukan.co.jp/books/09227219

プロフィール


宋美玄

産婦人科女医、医学博士、性科学者。丸の内の森レディースクリニックにて院長を務める。大阪大学医学部卒業後、イギリス・ロンドン大学に留学するなど産婦人科医として研鑽を積む。2012年に長女、2015年に長男を出産。

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