知らない人を信用して会ってしまう。子どものスマホトラブル注意点【犯罪リスク編】
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スマホを持つ年齢は少しずつ早まっていますが、子どものスマホデビューにあたって、気を付けるポイントは何でしょうか? 『しくじりから学ぶ 13歳からのスマホルール』の著者であり、スマートフォンアドバイザーの「モバイルプリンス」こと島袋コウさんに、子どものトラブル例と対策を解説していただきます。前回に続いて、今回は保護者としていちばん避けたい、子どもが犯罪に巻き込まれるリスクのあるトラブルを伺いました。
犯罪に巻き込まれるリスクがあるトラブル
【実例①】オンラインゲームで仲良くなった子と会う約束をして行ったら、大人の男の人だった。
【実例②】SNSで知り合った人が、なぜか自分の学校を知っている……。
実例①のように、見知らぬ人と知り合うきっかけとして、オンラインゲームは最近増えています。『フォートナイト』のように、同じチームを組んで敵を倒すゲームが人気ですが、チームの一体感があり、ゲームの中で優しくされると、子どもは簡単に信用してしまいます。ゲームで仲良くなり、会いに行って事件やトラブルに巻き込まれることも報じられています。ゲームというと男の子のイメージが強いかもしれませんが、今は女の子がプレイしているゲームも多いですし、そもそも男の子も性犯罪の対象になることはあります。性別問わず注意すべきでしょう。
実例②ですが、実は子どもたちが思っている以上に、SNSには個人情報が載っています。私は「ジグソーパズル理論」と呼んでいますが、ジグソーパズルの1ピース1ピースを見て何の絵かわからなくても、組み立てると壮大な絵が仕上がって細部までわかるのと同じように、1つのSNS投稿だけではどこの誰かわかりませんが、過去の投稿や画像を照らし合わせると、多くのことがわかります。また本人が気を付けていても、よくやり取りしている友人がプロフィールに○○中学校、と書いていれば、容易に学校が推測できてしまいます。
子どもを狙う大人の、子どもを手なずける手口を「グルーミング」と呼びます。投稿をかたっぱしから見てその子の趣味などを把握し、話を合わせて信頼を勝ち取ります。その後、画像を送らせる、会って脅迫や性暴力、詐欺グループへの勧誘など、実際に事件が起こっています。
対策:危険な人から身を守るために、親子で気を付けること
「会わない」ルール、守るには親子関係が大事
まず、ネットで知らない人とやり取りしない、またはネットで知り合いになった人とは会わない、とルールを決めることが大事です。ネットではなりすましが可能なこともあり、特に未成年は、絶対に会ってはいけません。
ですが、どれだけルールを決めたとしても、親子の関係が悪いと子どもは守りません。「危険な人かもしれない」と頭ではわかっていても、家庭や学校で居場所がなく、この人だけが話を聞いてくれるという状態であれば、会いに行ってしまうでしょう。
逆にそこを突いて、親子の関係が悪そう、精神的にまいっていそう、という子を狙う人もいます。SNSの裏アカ(裏アカウント)などで、家族や友達の愚痴を書いている子も多いので、いろいろ検索して、付け込めそうな子どもを探すのです。
そのため、最終的には親子関係、安心できる居場所、本人の自己肯定感といったものが大切になります。スマホの世界を知ろう、ルールを決めよう、ペアレンタルコントロールやフィルタリングをしよう、も大事ですが、それだけで子どもを守ることはできません。
ゲームやアプリ、子どもと同じものをやってみよう
たとえば『フォートナイト』は推奨年齢に満たない小学生にも人気で、コロコロコミックとタイアップしていたりもするのですが、あくまでも推奨年齢外であること、そしてバトルロイヤル系のゲームは非常に刺激的であることは、保護者のかたも認識しておきたい点です。
また個人的に、ゲームは親子で一緒にやるとよいと思います。一緒にプレイすることで、そのゲームがはらむリスクや問題点を保護者のかたが実感できますし、プレイ時間などルールを決めるときの説得力も増します。ゲームやアプリなど共通の話題をもつことで、会話が生まれ、親子の関係性が良くなることにもつながるでしょう。禁止するのではなく、同じものを使ってコミュニケーションを取りながら、子どもが今どんな景色を見ているのか知ることが大切です。
まとめ & 実践 TIPS
親子でスマホのルールを決めることも大事ですが、そもそも良好な親子関係が土台ということを心に刻み、子どもがスマホとうまく付き合っていけるようサポートしていきましょう。
(取材・文/荻原幸恵)
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