子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき どう対応する? 不登校に悩んでいる保護者のかたへ [やる気を引き出すコーチング]

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予想外の事態や環境変化に対応していくのが大人でも難しい昨今、不安やストレスから、学校に行けなくなる子どもも増えていると聞きます。実際に、子どもから「学校に行きたくない」と言われたらどう対応したらよいのでしょうか。
これまで、お子さんが不登校で悩んでいるという方々のお話を聴き、アドバイスをしてきたコーチングの専門家 石川尚子さんに教えていただきました。

この記事のポイント

気持ちを伝えてくれたことに感謝する

突然、「学校に行きたくない」と言われたら、つい動揺して、感情的な言葉をかけてしまいがちです。「なぜ行きたくないの?何が嫌なの?いじめられているの?」と質問責めにする。「なまけたいだけでしょう。ずる休みはダメだよ」と子どもの気持ちを聞かずに決めつけ、否定する。「一回休んだら休み癖がつくよ。よけいに行けなくなってしまうよ」と不安を煽り、脅す。「とにかく行きなさい!子どもは学校に行くものなんだから」と正論とともに指示命令をする。これらの対応はより悪化を招くだけです。

「学校に行きたくない」と自分の気持ちを口に出して言えることは、実はとても大切なことだと思います。そんなことを言ったら叱られる、心配されると思ったら、とても言えません。一人で抱えて鬱々としてしまいます。

ちゃんとSOSを出せることはすばらしい力です。まずは、子どもが自分の気持ちを伝えてくれたことに対して感謝で受けとめます。「伝えてくれてよかった。言ってくれてありがとう」と受けとめることで、「弱音を吐いてもいいんだ」、「受けとめてもらえるんだ」と子どもは安心感を覚えます。安心感が得られないと、前に向かうエネルギーは湧いてこないのです。

子どものペースに合わせ、解決を急がない

小学生の頃は、しょっちゅう「今日は行きたくない」と言って学校を休んでいた息子さんを持つAさん。その都度、「そうか、行きたくないんだね」と気持ちを受けとめ、「気分はどう?」と健康状態を確認していました。それでも、はっきり答えないことも多く、行きたくない理由がわからないことも多かったそうです。

Aさんは無理強いすることなく、理由も深く追及せず休ませていました。学校を休んでいるにも関わらず、好きなサッカーの練習や塾には行くことがありました。それに対して、Aさんは「学校を休んでいるのに、なぜサッカーには行くの?」とも言いません。「サッカーができるくらい元気でよかった」と送り出します。

その後、お子さんは中学生になりました。中学校には休まずに行っているようです。親のほうからは「勉強しなさい」とは一言も言いませんが、好きなサッカーの練習と両立するために、自分で計画を立て、朝、自分で起きて勉強してから学校に行っています。ある時、お子さんがこう言っていたそうです。「お母さんの良いところは、『学校に行きたくない』と行った時、いつも何も聞かずに休ませてくれたこと」。

子どもには、各々のペースやタイミングがあります。解決を急かされず、自分のペースを尊重してもらえると、安心して自分で考え動くことができるようになっていくものです。

子どもが安心して話せる環境を作る

「学校に行きたくない」と言っているお子さんにとっては、今、どんなことが心地よいのでしょうか。学校に行かなかったら、何をしてみたいと思っているのでしょうか。一度ゆっくり気持ちを聞いてみるのも良いでしょう。聞いてもすぐには答えられないかもしれません。「わからない」と言われるかもしれません。それでも焦る必要はまったくありません。「そうか、わからないんだね」と受けとめて、お子さんが話したい時に何でも話せる環境を作っておきます。どんな答えも否定せず、「そうか、そんなことを考えているんだね」と受けとめる姿勢こそ、最も安心して話せる環境と言えるのではないでしょうか。

まとめ & 実践 TIPS

これまで、お子さんが不登校で悩んでいるという方のお話を聴いてきて感じることは、「子どもは学校に行かなくてはならない」、「勉強はしなくてはならない」、「生活態度もきちんとしなくてはならない」という想いが強い保護者の方ほど悩まれているということです。
学ぶ気持ちさえあれば、学ぶ場所、方法、機会の選択肢は今いくらでもあります。学校に行くことだけが唯一絶対の道ではありません。答えは一つではない、世界はもっと広いのだということを私たち大人が理解し、子どもたちに示してあげられたらと思います。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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