読書感想文の書き方 コツをおさえればスラスラ書ける!

読書感想文に苦手意識を持つ子どもは多いものです。。本の選び方や文章のまとめ方、原稿用紙の使い方など、子どもが難しいと感じる点も多種多様。学校で書き方の手順を学ぶことも少ないため、不安も覚えがちです。でも、実は読書感想文は、簡単なコツや構成の手順を知ることで、グッと書きやすくなります。

ベネッセ教育情報サイトでも、小学生、中学生向けの読書感想文が書けるようになる方法をくわしく解説しています。この記事と合わせてぜひ参考にしてください。

(目次一覧)

1.読書感想文はなぜ課題や宿題に出されるの?

長期休みの課題として定番の読書感想文。苦手意識を持つ子どもも多い中で、なぜ課されることが多いのでしょうか。

1-1.読書感想文に苦手意識を抱く理由

読書感想文は、宿題・課題の中でも特に抵抗感を覚える子どもが多いものです。その理由としては、次のようなことが挙げられます。

・読書感想文で読む本の選び方がわからない
・何を書けばいいのかわからない
・書く内容を整理できない
・文章の構成を作れない
・文章量の調整ができない
・原稿用紙の使い方がわからない
・良い感想文がどのようなものかわからない

読書感想文に取りかかるところから書き終えるまでのあらゆるプロセスで、子どもたちを悩ませる壁が存在していることがわかります。それにもかかわらず、学校で読書感想文の書き方を学ぶ機会は少ないもの。そのため、「何から手をつければいいのかわからない」と苦手意識を強めてしまうことも少なくないようです。

1-2.読書感想文の2つの目的

読書感想文という課題の目的は、まず「読書の楽しさに触れる」こと、次に「考える力や書く力を育てる」ことです。

さまざまな本を読むことは、感受性や想像力、情緒を育て、文章を読み解く練習や、語彙(ごい)を増やすことにもつながります。あまり本を読まないというお子さんにも、読書感想文を通して読書の楽しさに気づいてもらえるのが理想的ですね。あるいは、ふだんは読まないジャンルの本に挑戦してみるのも、読書の世界を広げることに役立ちます。

そして、自分の感想を人に伝えるために文章にすることは、考えること、書くことのよい練習になります。考える力や書く力、文章力は、学年を問わず、さらに大学や社会でも必要になる力です。

書くことに苦手意識を感じているお子さんには、まず書き方のポイントを学んでから書くことに挑戦してみるよう促してみてください。読書感想文はいくつかのコツを知っているだけで、すらすら書けるようになります。読書感想文が得意になれば、考える力や書く力を身につけるよいトレーニングになるでしょう。

また、自分の考えを人に伝えることができたという経験は、素晴らしい体験になります。自分の考えを人に伝える楽しさを知ってほしいということも、読書感想文の目的のひとつです。

このように読書感想文を書く目的を考えてみると、本を読む楽しさや人に伝える喜びを知ることが大切だとわかります。

初めて取り組む小学1年生と何度も書いている小学6年生では、本人の苦手意識も保護者のかたの取り組ませ方も違いがあります。しかし、以下に紹介する読書感想文のコツやポイントは、小学生から中高生まで学年を問わずおさえてほしい基本の内容になっています。読書感想文の書き方を学んで、楽しく取り組んでもらいましょう。

2.書き方のポイントをおさえれば、読書感想文はスラスラ書けるようになる!

読書感想文に苦労している場合、次のように感じることが多いのではないでしょうか。

・どんな本や作品を選んだらよいかわからない
・そもそも何を書けばよいかわからない
・あらすじばかりの文章になってしまう
・文章のまとめ方がわからない
・書き始めや、終わり方がわからない

このような状態から抜け出すためには、まず感想文を書くまでのプロセスを3つに分解することが必要です。

2-1.「本を選ぶ」「本を読む」「感想文を書く」という、3つの作業が必要

読書感想文を完成させるためには、おおまかに分けて「本を選ぶ」「本を読む」「感想文を書く」という、3つの作業が必要です。

本選びで迷ってしまうこともあれば、本は読んだものの感想文に書くことを思いつかないということもあります。こうした場合は、本の選び方や読み方のポイントを意識できていないことがつまずきの原因になっていると考えられます。

また、何を書けばよいのかわからない、あらすじばかりの文章になってしまうというときは、「読書感想文に書くべきこと」や、「感じたことを文章にまとめるステップ」を予習しておくのがおすすめです。

このあと、読書感想文を書くときにおさえておきたいポイントや、感じたことを文章にまとめるステップを詳しく解説していきます。読書感想文に苦手意識のある人は、まずは自分がどこでつまずいているのかを考えてみてください。つまずいているポイントをおさえて対策を立てることで、読書感想文の苦手意識を克服しましょう!

3.読書感想文に書くべきことは、たった3つ! おさえておきたい基本の内容

「読書感想文で何を書けばいいかわからない」と悩む子どもも多いですが、実は書くべき内容は3つに絞ることができます。他の内容に気を取られて、収拾がつかなくなることのないように、それら3つの内容を意識していきましょう。

3-1.読書感想文に書くべき3つの内容

「本は読んだけれど、何を書けばよいかわからない」「あらすじばかりになってしまう」と悩むことも多いですよね。しかし、読書感想文でおさえておくべきポイントは意外にシンプルです。
読書感想文で書くべきことは「どんな本を読んだか」「その本を読んでどんなことを感じたか」「本を読んでみて考えた自分の意見」の3つです。

つまり「(1)本の紹介→(2)心を動かされたこと→(3)心を動かされたことから考えた自分の意見」という基本の流れに沿って書くことができれば、まとまりのある文章を作ることができるのです。

さらに「それは△△だからです」という理由や、「たとえば~~の部分では」という具体的な例を加えることで、説得力のある、人に伝わりやすい文章になります。

3-2.読書感想文の内容を充実させるコツ

つぎに、基本の3つの内容をふくらませるコツを紹介します。もっと深い内容を書きたいというときの参考にしましょう。

・本のあらすじや、選んだ理由などの紹介

あらすじだけでなく、選んだ本に興味を持ったきっかけや理由を書けると内容に広がりを出すことができます。選んだ理由については「おすすめされたから」「面白そうだったから」という表面的な面だけに止まらず、「なぜ面白そうだと感じたか」を自分の関心や経験に引きつけてかけると深みが増します。

・本を読んで感動したこと、もしくは疑問に思ったこと

感動した場面や印象に残った場面、本を読んで新しく知ったことなどを引用したり、要約したりしたうえで、感動した気持ちや疑問に思ったことを書きます。「はじめは○○だった主人公が、様々な苦難を乗り越えることで△△となっていったことに心を動かされた。なぜなら……」といった形で掘り下げていけると良いでしょう。

・心を動かされた場面から、自分なりに考えたこと

主人公の気持ちや物語の中で起こった出来事を、自分の心情や実際の体験と照らし合わせることができると深い内容にすることができます。
心を動かされた場面から、「主人公が○○と考えて行動したことが、自分と似ている」「主人公は○○したけれど、私だったらどうしただろう」というふうに考えてみましょう。

・本を読む前と読んだあとの本に対する印象の変化

「読む前は○○だと思っていたけれど、読んでみたら△△だった」というポイントがあれば、読書感想文の内容がよりオリジナリティーのあるものになります。

・本を読んで考えたことや自分の意見

本を読んだ結果、気づいたことや考えたことを整理して書きます。「この本を読んで、私は○○と考えました」のほかに、「そこで、これからは△△したいと思います」のように自分の生活に引き寄せて書けると、きれいにまとめることができます。

4.【本の選び方】本選びに迷ったら…「共感できる」ものを選べばOK!

「そもそもどんな本を選んだらよいのかわからない」と迷ってしまっている人のために、読書感想文の本を選ぶポイントを紹介します。

4-1.本を選ぶときの2つのポイント

まず、本の選び方で最も大切なことは、「発達段階に合っていること」「興味を持って楽しく読めるものであること」の2つです。
読書感想文を書くことにこだわりすぎてしまって、本の内容自体が難しすぎたり、本を読むこと自体がつまらなくなってしまったりしては、本末転倒です。年齢や学年に合わせて、興味を持って読める内容かどうか、しっかりと読み切れるボリュームかどうかということに注目しましょう。

よく選ばれるジャンルは児童文学や小説などです。お子さんが素直に「読んでいて楽しい」と思えることを基本に選びましょう。特に、児童文学では対象年齢やあらすじが記載されていることがほとんどですから、何冊か目を通してみて選ぶのが理想的です。

学年や年齢に合ったものの中から、さらに絞りこむためには「登場人物や舞台などが興味を持てそうな設定になっているか」「家族、友達、学校、スポーツなど、テーマが本人の興味・関心に近いものかどうか」と考えていくと、本を選びやすくなります。

お子さんの興味・関心によっては、偉人の伝記や理科や社会のノンフィクションを選ぶのも選択肢のひとつです。その場合も、小学生や中学生を対象とした書籍の中から選んであげられると読みやすくなるでしょう。

つまり、本を選ぶときには、楽しく読めるように「共感できる」「関心が持てる」内容の本を選ぶのが、最大のポイントになります。

4−2.本選びに迷ったら課題図書を参考に

それでも、やはり本を選ぶのに迷ってしまうというときには、課題図書の中から選ぶのもおすすめです。
たとえば、毎年開催されている青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の、主な選定基準には以下のようなものがあります。

・児童生徒の発達段階に適合しており、楽しい読書体験が得られるものであるか。
・現代の児童生徒の思考や心情に適合し、多くの児童生徒に興味や関心を持たせることができるものであるか。
・児童生徒に深い感動や新たな認識をあたえ、豊かな心の成長が図れるものであるか。
(引用元:全国学校図書館協議会|青少年読書感想文全国コンクール|課題図書選定基準)

こうした課題図書は、時期になると学校の図書室や地域の図書館でも紹介されるようになりますから、ぜひチェックしておきましょう。

5.【読書感想文の書き方】4つのステップで読書感想文をマスターしよう!

読書感想文で苦労する理由のひとつが、読書感想文に書くべきことと、文章構成の組み立て方をよく理解できていないことです。ここでは、読書感想文がすらすら書けるようになる、4つのステップを解説します。

5−1.【ステップ1】読書感想文に書くことを意識して、本を読む

「本を読んだけれど、何を書けばよいのかわからない」ということが起こらないようにするためには、本を読むときから、上の「3-1.読書感想文に書くべき3つの内容」で紹介したような読書感想文で書くべきポイントを意識して読み進めることが大切です。
読書を始める前に、以下のようなリストを準備してみましょう。すべての項目を用意する必要はありませんが、下のようなポイントを意識しながら読むことで、理解を深めることができ、読書感想文を書くことに大いに役立ちます。

<本に関する情報>
・この本を選んだ理由
・本を読む前の印象
・本の内容

<心を動かされた内容>
・本を読んで新しく知ったこと、気づいたこと
・感動したところや印象に残った場面とその理由
・疑問に思ったところとその理由
・好きな登場人物や場面とその理由
・嫌いな登場人物や場面とその理由

<本を読んだあとの感想や意見>
・本を読んだあと、どう思ったか
・本を読んで、自分の考えが変わったと思うところ

<さらに深く掘り下げるために>
・同じような経験をしたことがあると感じたところはあるか。それはどんな経験だったか。
・もし自分が主人公だったら、どうしたと思うか。それはなぜ?
・作者が言いたかったことはどんなことだと思うか。それに対して自分はどう思うか。

小学校中学年くらいまでは、「どんな内容か」「感動したところ」「本を読んだあと、どう思ったか」の項目をおさえるだけでも十分です。

あとから振り返りやすいように、新しく知ったところや、感動したところにマーカーや付箋でチェックをしておきましょう。1度目は読書に集中して、2度目にチェックしながら読むのもおすすめです。

5−2.【ステップ2】書きたい内容を整理する「構想メモ」を作る

読書感想文は、いきなり原稿用紙に書き始めてもうまくはいきません。まずは、どんな内容を書くべきか「構想メモ」を作成して計画しましょう。その際、ステップ1で紹介したリストに書いた内容を参考に、次の例のようにまとめていくのが良いでしょう。

・主人公が挫折を乗り越えてたくましく成長した姿に感動したことを書きたい。
・そのとき、私自身もスイミングでなかなか記録を出せずに苦しんだ経験を重ね合わせたい。
・主人公が一度逃げ出したとき、自分も同じような経験があるため胸が苦しくなった。
・主人公がもう一度チャレンジしようと思えたのは〜〜だと思う。

といった形で、一番言いたいことを決めたうえで、自分の考えや感じたこと、照らし合わせた経験などを掘り下げていけるとオリジナルの内容ができあがっていくはずです。
ここでさまざまな感想を引き出すことができると、読書感想文の内容をふくらませることができますし、考える練習にもなります。

また、保護者のかたが「感動した場面はある? どうして感動したのかな?」「本を読んでみて、いまどんなことを考えている?」というふうに問いかけをしながら、考えを引き出してあげるのも効果的です。

5−3.【ステップ3】「はじめ・なか・まとめ」の形で文章の構成を考える

ステップ2の構想メモをもとに、文章の構成を考えましょう。
読書感想文を書くときに「何をどのように書けばよいのかわからない」と悩んでしまうのは、文章の組み立て方がよく理解できていないことが原因となっていることがほとんどです。文章の構成は、一般的な作文と同じように「はじめ」「なか」「まとめ」の3パートに分けて考えていくと、書きやすくなります。

・はじめ

本のあらすじや本を選んだ理由を書いて、本の内容を紹介します。

・なか

読書感想文のメインになる部分です。心を動かされた部分を具体的に引用しながら、どのように感じたか書きます。どうしてそのように感じたのかという理由や、本のエピソードに似た経験をしたことなどを加えて、内容をふくらませていきましょう。

・まとめ

本を読んで感じたことや考えたことをまとめます。「本を読んでどんなことを考えたか」「自分が主人公だったらどうしたいか」といったことを素直な言葉で書くことができると、オリジナリティーのある文章になるでしょう。
また、「本を読んで感じたことを、自分の生活にどう生かしたいか」「本を読んで感じたことから、自分の中で起きた変化」などをまとめられると、読み手の印象に残る文章にすることができます。

5−4.【ステップ4】原稿用紙に書いた文章を読み返す

原稿用紙に書き終わったら、一度、読み返してみることも大切です。「てにをは」や句読点、漢字、改行の仕方などに間違いがないか確認して、別の原稿用紙に清書できるとよいですね。
また、自分の文章を読み返すことで理解が深まり、新しい考えを思いついたり、足りない部分に気づいたりすることもあります。考えたり、書いたりする練習をするためにも、なるべく読み返すようにしましょう。

6.原稿用紙に清書するときの注意点

読書感想文の清書は、400字詰めの縦書きの原稿用紙に書くことが一般的です。原稿用紙の使い方、表記のルールについて、次の注意点を押さえておきましょう。

6-1.題名と名前の書き方

・読書感想文の題名は、原稿用紙の最初の行を2〜3マスあけて書く。
・名前は2行目に書く。1番下を1マス空けた下詰めで書く。
・苗字と名前の間は1マス空ける。

6−2.段落の書き方

・段落の始めは、一字下げる。
・段落が変わる際は、改行する。

6−3.会話文の書き方と、かぎかっこの使い方

・会話文は、かぎかっこ(「 」)を使い、改行して書く。
・会話のはじめのかぎがっこ(「)は、改行した1マス目に書く。1マス空けなくてもよい。
・会話文の終わりは、1つのマス目に句点(。)とかぎがっこ(」)を一緒に書く。
・会話文が次の行にも続く際は、行頭を1マスあけてもあけなくてもどちらでも良い。
・会話文が終わったら、改行する。
・会話文の次に続く文章は、同じ段落内であれば行頭を1マス空けなくて良い。

6−4.行頭にきてはいけない文字

・句点(。)、読点(、)、受けのかぎかっこ(」)は行頭に書かない。前の行の最後のマスに他の字と一緒に入れるか、欄外に書く。
・小さな「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は行頭に書いても良い。ただし、気になる場合は、前の行の最後のマスか欄外に書いても良い。

7.【学年別】読書感想文を書くときのコツと保護者のアドバイス法

ここでは読書感想文を書くときのコツを学年別にみていきましょう。合わせて保護者のかたがアドバイスするときにおすすめの声のかけ方も紹介します。

7−1.小学生

特に小学校低学年では、読書と作文に親しむことが読書感想文の大きな目的です。保護者のかたは、「どんなところが面白かった?」「ここでびっくりしたよね!」「主人公のどんなところが好き?」と問いかけてお子さんと対話しながら、楽しく取り組むことができるようにサポートしてあげましょう。

高学年になると、自分の感じたことだけでなく、考えたことや意見をより論理的な文章で表現できるように練習する必要があります。読書感想文を書くときは、本を読んだ感想から、該当する部分の引用や自分の似た体験などの具体例を示したり、自分の考えや意見の理由を挙げたりして、説得力のある文章にまとめるのがコツです。

7−2.中学生

中学生にとっても、読書感想文は自分の意見を論理的な説得力ある文章にまとめる練習になります。「作品のテーマはどんなことか」「作者が言いたいことは何か」「本を読んで自分はどんなことを考え、どんな意見を持ったか。またその理由は」というふうに考えを深めながら、読書感想文に取り組みましょう。

保護者のかたは「読書感想文で困ったことはない?」とときどき様子を聞いて、つまずいているポイントがあれば「こんな本を選んでみたら?」「こんなリストを作って、メモに書いてみるといいよ」などとアドバイスをしてあげられるとよいでしょう。
また「そんなふうに感じたのはなぜ?」と理由を掘り下げる問いかけをしてあげると、考えを深める助けになります。

7−3.高校生

高校生ではより論理的で、本の感想に止まらない奥行きのある文章を書く力が求められます。読書感想文に選んだ本の内容だけでなく、新聞などの資料や映像作品から実社会の事例や課題とリンクさせたり、学校の先生や友人の意見を聞いたりして、自分の意見を掘り下げることに取り組んでみましょう。

8.読書感想文を通して、読書の世界を広げよう!

読書の効果は、多くの調査からも明らかになっています。それは、語彙力や読解力といった国語力だけに止まらず、学力や心の安定といった精神面にまで及びます。

8−1.調査結果から明らかになった読書の様々な効果

「多くの本を読んでいる子どもほど学力が向上」しているという調査結果(※1)や、「幅広い読書が『思考力』や『創造性』にプラス効果」があるという調査結果(※2)があります。

(※1) 【小学生の読書に関する実態調査】ベネッセホールディングス|ニュースレター|2018年10月26日
https://berd.benesse.jp/up_images/textarea/bigdata/1026releasenewsletter.pdf
(※2) 【小学生の読書に関する実態調査】ベネッセホールディングス|ニュースレター|2019年10月25日
https://berd.benesse.jp/up_images/textarea/bigdata/20191025manabilnewsletter.pdf

これらの調査では、読書が国語の学力や表現力だけでなく算数や社会の学力向上にも影響していることがわかっています。また、いろいろなジャンルの本を読んでいる子どもほど、「わからないことを自分で調べるようになった」「難しいことを考える力がついた」「新しいアイデアが浮かぶようになった」といった読書の効果を感じており、読書のさまざまなメリットがデータとして示されています。

また、「成績上位の子は、読み方を工夫しているため思考力がつく」という調査結果(※3)もあります。

(※3)成績が上位の子どもたちは、本の読み方を工夫していた! 「自己決定力」を養うために家庭でできること
https://benesse.jp/kyouiku/202103/20210315-4.html

この調査では、成績上位の子どもたちは「登場人物の気持ちになりながら読む」「だれが?なぜ?を考えながら読む」「どこが大切か考えながら読む」といった読み方の工夫を行う傾向にあること、その結果「人の気持ちがわかるようになった」「長い文章が読めるようになった」「新しいことをすでに知っていることと結び付けて考えるようになった」という効果を感じていることが明らかになりました。
また、読書の効果は上記のような読解力や思考力の向上といった面だけにとどまらないことも明らかになっています。「読書量が多いほど『心が落ち着く』傾向がある」という精神面へのプラスの影響を示す調査結果(※4)もあがっています。

(※4)小学生の読書量と国語の学力、どれくらい関係する? 学力を伸ばすだけでなく、心の安定にも効果あり?!
https://benesse.jp/kyouiku/202103/20210315-3.html

コロナ禍においては、子どもの心も不安定になりがちで、学習意欲が下がるケースも多いことが指摘されています。そのような中、読書による夢中体験が子どもの心を安定させることに効果を発揮するものと思われます。ぜひ、ご家庭でも積極的に読書時間を設けるようにしてみてください。

まずは時間を上手に活用して、お子さんが読書の楽しさを実感できるように促してあげましょう。自宅で過ごす時間が多い時期には、本を読んだあと感想を書きとめることを習慣にするのもおすすめです。本を読み、考え、書く練習をすることで、読書感想文を「得意」に変えていくことができるでしょう。

8−2.読書感想文を書くときの本の読み方のコツ

読書感想文を作成する際はもちろん、本を読んだ感想を簡単にまとめる際にも、ちょっとした読み方のコツを知っておくは有効です。ただ漫然と読むのではなく、次のような点を意識していくようにしましょう。

心が動いた箇所に付箋をはっていく

驚いた点、感心した点、嬉しかったり悲しくなった点など、自分の心が動いた点に付箋やマーカーで印をつけていくようにしましょう。そうすれば、感想をまとめていく際に自分の心の動きやプロセスが把握しやすくなるはずです。

賛成と反対、共感と疑問など自分の意見別に付箋やマーカーの色を変える

登場人物に共感したり、反対にその言動に疑問を感じたり・・・と、感想にはプラス面とマイナス面があるものです。そのため、自分の意見別に付箋やマーカーの色を変えて整理しておくと、自分の感情を整理しやすくなるでしょう。このとき、あまり細かく色を分けすぎると混乱してしまうため、2〜3色におさえておくことがポイントです。

印象に残ったセリフに印をつける

読書感想文では登場人物のセリフを効果的に引用することで、読み手を惹きつけることができます。そのため「このセリフ、かっこいい」「このセリフは、感動する」といったものが出てきたら、印をつけて後から見返すことができるようにしておくと良いでしょう。

目的別に2回読む

読書感想文で大切なのは、自分の心の動きや意見をきちんと盛り込むこと。でも、それを意識するあまり読むこと自体に集中できなければ本末転倒です。そのためにおすすめなのが、2回読むという方法。最初は、読書感想文のことはあまり考えず、読むことに集中し、2回目は、自分の心が動いた箇所に付箋などを用いて書き込みをしながら読むといいでしょう。それが感想を整理する材料となっていきます。

まとめ & 実践 TIPS

読書感想文は、読書の楽しさを知ったり、語彙力を豊かにしたり、「考える力」や「書く力」「表現力」を伸ばしたりする効果が期待できるものです。苦手意識を覚える子どもも多いですが、コツと手順を知ればすらすら書けるようになっていくもの。保護者も感想や意見の掘り下げを行うなど、積極的にサポートしていけると良いでしょう。

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