新型コロナウイルス感染拡大の影響で約15億人が学校に行けず

新型コロナウイルス感染症は、世界の子どもたちにも大きな影響を与えています。学校に通えない、給食が食べられないなど、日本の子どもと同じように、生活に制限がかかっています。国際連合(国連)は、外出制限下の生活が与える影響を懸念し、警告を発しています。学校再開のガイドラインも示しました。

栄養面の悪化や虐待、ネット犯罪も心配

国連は4月16日、新型コロナウイルス感染症が子どもに与える影響について、報告書を公表しました。世界188か国で休校措置が取られ、約15億人の子どもや若者が通学できなくなっています。3分の2以上の国では、インターネットを使った遠隔学習が導入されているものの、すべての子どもが利用できるわけではなく、多くの子どもがデジタルから排除されているとしています。
栄養面の影響も深刻です。世界143か国の3億6,850万人の子どもが、学校給食で日々の栄養を満たしている現状です。休校が長引き、ロックダウンで食料の入手が困難になれば、子どもたちの健康状態は悪化するとしています。
さらにロックダウン中は、子どもたちが家庭にとどまることになるため、家族のストレスが高まり、家庭内暴力や虐待が増える恐れがあります。インターネット利用が増え、子どもが不適切なコンテンツを目にしたり、ネット上で犯罪に遭ったりするリスクも高まるとしています。
新型コロナウイルスの子どもへの感染率は低いと言われていますが、病院で通常通りの医療を受けられない状況が起きています。報告書を発表したアントニオ・グテーレス事務総長は「すべての子どもたちの教育を優先し、子どもたちの幸せを守りましょう」と強く訴えました。

「最善の利益」の視点で再開を

学習面だけでなく、安全や健康の面からも、学校再開は各国の課題です。中国やドイツ、フランスなどでは学校再開が徐々に行われていますが、感染が深刻な米ニューヨーク州では、再開が9月以降になるとの報道もあります。
国連児童基金 (ユニセフ)や国連教育科学文化機関 (ユネスコ)など4機関は、共同で「学校再開のガイドライン」を発表しました。教育や公衆衛生、社会や経済などの要因から、その効果やリスクを評価したうえで、子どもの最善の利益と公衆衛生を中心に決定されるべきだとしています。
「学習目標を達成するのに、教室で直接教える必要があるのはどの程度か」「遠隔学習がどのぐらい可能か」「教員や教育委員会の感染防止対策は」などを指標として、▽教育への資金投入▽安全な学校運営▽学習の遅れを取り戻すこと▽福祉と保護▽置き去りにされがちな子どもの支援……の側面から、再開前、一部再開、再開後の3段階に分けて、自治体や学校が取り組む項目を列挙しています。
文部科学省も学校再開に向け、分散登校や教室配置の工夫などを示していますが、最終判断は各自治体に委ねられています。学力保障とリスク管理を両立させ、子どもの幸せを軸にした学校再開が望まれます。

(筆者:長尾康子)

※新型コロナウイルスの子どもへの影響 国連による新報告書
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0088.html

※学校の再開に向けた新ガイドライン
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0107.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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