思春期の娘と微妙な関係になってきたら気をつけたいこと【後編】

思春期を迎えた娘と良好な関係を築くには、適度な距離をとることが必要です。その際のヒントを、母娘問題に詳しい臨床心理士の信田さよ子先生に聞きました。

保護者の心配や不安を子どもにぶつけないで

子どもが思春期を迎えると、「反発する」「何も話してくれない」などの変化が見られ、今まで以上に子どものことが心配になることがあります。子どもを心配すること自体は、決して悪いことではなく、保護者なら当たり前のことです。しかし、子どもに関する自分の心配や不安を、そのまま子どもにぶつけるのは避けてほしいのです。

例えば、最近子どもの成績が思わしくなく、「部活を続けていたら、A高校に合格できないかもしれない」と保護者のかたが不安を感じているとします。保護者のかたがそうした自分の不安をそのまま口に出してしまったり、「テストの点が上がるまでは、部活は休みなさい」と言って、子どもの行動に制限をしたりしてしまうことがあります。

側面的なサポートを心がけて

子ども自身も成績低下について悩んでいるはずですから、子どもの不安をさらにかきたてるような言動は避けましょう。また、子どもが悩んでいるなら自分が助けなくてはと思い、一緒に勉強をするなど世話を焼きすぎるのも逆効果です。こんなときは、側面的なサポートを心がけてほしいと思います。側面的というのは、気がかりなことに直接的に働きかけるのではなく、子どもが悩みを自分自身で解決できるよう外側からサポートすることです。上記の例でしたら、勉強に悩んでいるときは気分転換に散歩に誘う、部活で体が疲れているときは子どもの好きな料理を作る、「つらいときは言ってね」と声かけするなどです。

そうした態度で接していると、子どもが保護者のかたに不安や悩みをポロリとこぼすことがあります。その際は、子どもの悩みを「そんなこと気にしすぎよ」などと批判したり、笑い飛ばしたりせずに、とにかくじっくり聞いてあげましょう。特に「批判しないで聞く」というのは簡単そうですが、意外に難しいものです。往々にして、子どもが保護者のかたに話をしないという場合は、子どもの考えや気持ちに対して保護者のかたが批判的な態度をとってしまい、結果的に保護者のかたばかりがお説教のような話をしている可能性があります。子どもと話すときは、一定時間、子どもの話を黙って聞くことを意識してみましょう。子どもはそうした保護者のかたの変化をすぐに感じます。反抗的だった保護者のかたへの態度にも変化が見られるはずです。

第三者に相談して不安を吐き出して

もし、子どものことで思い悩んでしまったら、子どもに自分の不安をぶつけるのではなく、家族に相談するのがよいでしょう。「あの子、実は友だちとケンカして悩んでいるみたいなの」と、具体的に子どもに関する不安を聞いてもらうのです。例えば、お母さんがお父さんに子どものことを相談したとき、たとえ具体的な解決策をアドバイスしてもらえなくても、「心配だよね。でも大丈夫だよ」と言ってもらうだけで、ずいぶん気持ちが楽になると思います。

ご主人が子どものことにあまり関心を向けていない場合、あるいは「きみの教育が悪いんだ」などと反論されケンカになりそうな場合は、友だちに相談するのもよいと思います。ただし、自分と境遇が似ているママ友だと、気が楽になるどころか、神経をさかなでするようなことを言われたり、子どものプライベートな悩みについてうわさを流されてしまったり、余計なストレスがたまってしまう可能性があります。自分とは全く状況が違う友だち、例えば独身の同級生、学生時代や会社の後輩などに相談する方が、自分の心の内を聞いてもらうという点ではよいかもしれません。

その他、インターネットの掲示版などを使って広く意見を求めたり、心の専門家のカウンセリングを受けるのもよいでしょう。大切なのは子どもに自分の不安や心配をぶつけないこと。自分自身で不安を解消するトレーニングをしてほしいですね。「大人として成熟する」ということは、自分の不安を自分で抱えられるようになることだと、保護者のかた自身の姿を通して子どもに伝えることが理想です。子どもの不安な気持ちを理解しつつも、保護者のかたはどんと構え、側面的なサポートで子どもを応援してあげたいですね。

プロフィール

信田さよ子

臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。家族や対人関係の悩みの相談にあたる。著書に『依存症』『DVと虐待』『加害者は変われるか?』『母が重くてたまらない-墓守娘の嘆き』『さよなら、お母さんー墓守娘が決断する時』『共依存』『カウンセラーは何を見ているか』『依存症臨床論』『アディクション臨床入門』などがある。

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