幼稚園では何を教育する? カリキュラムや勉強内容を紹介!

子どもがだんだん成長してきて「そろそろコミュニケーション能力や社会性を身につけさせたいなぁ」と親が思い始めたら、幼稚園や保育園への入園を考える時期になったと言えるでしょう。各家庭、親によって子どもへの教育方針や学ばせ方はさまざまです。保育園にするのか幼稚園なのか、幼稚園を選ぶにしてもどんな指導方針をもつ幼稚園に入れたらいいのか、いろいろと悩み、考えてしまうおうちのかたも多いでしょう。

ちなみに保育園と幼稚園の違いは、前者が厚労省、後者が文部科学省の管轄であることからわかるように、前者は福利厚生を目的に運営されており、後者は教育に主眼をおいて運営されており、おうちのかたをサポートするためにお子さまを預かって基本的な生活習慣の教育や指導をするのが保育園、それぞれ独自のカラーを出して子どもに実践的な教育を施すのが幼稚園と考えればいいでしょう。ここでは主に幼稚園ではどんなことを学ぶのか、その意味について考えてみたいと思います。

幼稚園教育の目的とは?

幼稚園は、文部科学省の管轄にある教育施設です。3歳から小学校入学前までの子どもを対象とし、学校教育法に基づいて運営されています。

幼稚園の目的は、学校教育法第22条に次のように記載されています(※1)

幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。

ここから見てもわかる通り、幼稚園は生活面だけでなく、小学校以降の義務教育の土台となる学習面も重視しています。

幼稚園の種類や特徴は?

幼稚園は、大きく分けて自治体が運営する「公立幼稚園」と学校法人や社会福祉法人が運営する「私立幼稚園」の2種類があります。また、幼稚園と保育園の機能と特徴を併せ持つ「認定こども園」の幼稚園枠もあります。

幼稚園の教育は、特に私立幼稚園では独自のカリキュラムに特徴があるところも多くあります。また、オプションで英語や体操といった習い事を行っている園もあります。

「お勉強系」と「のびのび系」の違いは?

幼稚園は教育方針の違いで「お勉強系」「のびのび系」にわかれます。このふたつの違いですが、わかりやすく言うと、前者は小学校入学を意識したいわゆる「お勉強」に主眼を置いた運営がなされている幼稚園で、後者が個性を伸ばして、自由に育てようという方針で運営されている幼稚園の総称と考えてください。

「お勉強系」のメリットは、小学校に進学してから学ぶことを先に身につけられるので、同級生にアドバンテージをもてることが最大のメリットです。後者の「のびのび系」は、社会性やコミュニケーション能力が育まれるので、柔軟で強い子どもに育つと言われています。人気は二分されますが、マスコミなどの論調等では都心部を中心に近年「お勉強系幼稚園」への希望者が増えている傾向があるようです。

幼稚園のカリキュラムや勉強内容・教材

幼稚園の教育課程(カリキュラム)については、「幼稚園教育要領」に次のように記載されています(※2)

・教育課程に係る教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならないこと。

・自我が芽生え、他者の存在を意識し、自己を抑制しようとする気持ちが生まれる幼児期の発達の特性を踏まえ、入園から修了に至るまでの長期的な視野をもって充実した生活が展開できるように配慮しなければならないこと。

そこで、年齢ごとにどのようなカリキュラムが組まれているのかを紹介します。

3歳

3歳の目標と目安は「生活力」として規則正しい生活ができ、服の着脱がひとりでできること。片付けや自分のことは自分でやろうとする姿勢があって、オムツが取れ、洗顔や歯みがき、手洗いができることを目標とします。「言葉」は自分の名前、年齢を自覚して、日常的な挨拶、返事ができること。「学び」は1から5まで数えることができて、簡単な折り紙、はさみ使いができ、丸や四角がクレヨンで書ける、色が理解できるなどが目標です。

4歳

4歳になると「生活力」では、箸が使えるようになり、脱いだ衣服がたため、自分で排尿、排便ができるようにします。「言葉」は、名前や年齢、誕生日を正確に答えられ、自分の意思を言葉で表現でき、相手の目を見て話し、聞くことができるようになるのが目標です。「学び」は物語に興味をもち、集中することができて、話の内容やものの順番などを記憶することができることを目安にします。数は10まで数えられ、はさみでは曲線が切れるようになり、糊やセロテープも使えるよう努力します。

5歳

5歳になるとどうでしょう。「生活力」では箸を使って食事ができ、決められた時間内は席を立たずに食事ができることも重要です。雑巾やタオルが正しく使え、そうじなども積極的にお手伝いすることが目標です。「言葉」は名前、年齢、誕生日、住所、電話番号などを記憶して、「はい」や「いいえ」、「です」がしっかり使えること。自分の意思を文章になった言葉で表現でき、しりとりなどもある程度自在にできるように努力します。「学び」では正確に数が数えられ、10までの簡単な足し引きができ、文房具が問題なく使え、折り紙や図形の構成も推測できるようにします。

幼稚園で使う教材

幼稚園では、上で紹介した年齢ごとの勉強内容を指導するためにさまざまな教材が用いられています。たとえば、「なぞり書きプリント」や「あいうえお塗り絵」等、国語では「ひらがなカード」や「ひらがなあいうえお表」、算数では「数字表」や「物の数え方表」といったものを一般的に使います。

家庭での教育方針を考える

家庭での教育方針も、基本的なところでは幼稚園の指導とリンクしている必要があります。幼稚園で厳しく指導されることが、家庭では放ったらかしというわけにはいきませんよね。ですから、園や担当の先生と指導方針や指導箇所などをしっかり確認し合って、家でも幼稚園と同じ教育をするように心がけてください。特にまだ不十分な部分は、家でもくり返し指導して徹底させることが重要です。

お母さんの中には「幼稚園で毎日厳しくされているのだから、家では息抜きさせたい」と考える人や、「子どもにそこまで厳しく指導できない」という人もいるかもしれません。そういう場合も家庭で勝手に判断せず、その考えを幼稚園側に伝えて相談してみることをおすすめします。

もちろん遊びとの両立も大事です。特に幼児期は遊びと学びをはっきり分けないで、遊びながら学ぶという柔軟な指導が大事です。例えば数を数えるとか、自分の意思を相手に伝えるといった勉強は、日々の生活の中、遊びの中でも十分に訓練することが可能です。そしてはさみや折り紙といった机上での学びは、机に向かう最初の勉強の経験です。「机に向かって勉強する」ということに抵抗感をもたないように、上手に勉強の習慣を身につけさせるチャンスだと思ってください。

「幼児期の勉強」などと言うと、何やら幼児期から無理やり詰め込みの勉強をさせるというイメージがありますが、それは大きな間違いです。「正しい生活習慣を身につける」ことや、「正しいコミュニケーション能力を身につけさせる」ことを基本に、さらに「はさみなどの簡単な生活用品を正しく使える」といったことや「数を数えることや簡単な計算ができて、物語や会話を正しく理解すること」といった生活をしていくうえで基本的なことを身につけさせるというふうに理解するといいでしょう。幼稚園を卒園して小学校に進学したときに、身についていると助かる能力や習慣、学校で最初に学ぶ基本的な知識を前もって知っておくと、本人もおうちのかたも安心なはずです。

それぞれの幼稚園で年齢ごとの目標と指導内容がおおよそ決まっています。子どもの個性はもちろん、自分の指導方針と合致している幼稚園をしっかり選んで、入園後もしっかり園とコミュニケーションを取っていき、幼稚園だけでなく、家庭でも同じ方針でしっかり指導していくことが何より大切です。

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