思春期の女の子に対する接し方

 思春期の女の子にとっての「お母さん」と「お父さん」は、ただ「親」というだけではありません。「お母さん」は家族であり「同性」、「お父さん」は家族であり「異性」という意味合いも強くなります。

 

 

母親は鏡。目標になる母、弱音を吐ける母でありたい

 同性である母親に対し、思春期の女の子は矛盾する考えをいくつも持っています。たとえば、同じ女性であっても、母親と自分は違うのだという考え。そして、同じ女性だからこそ、自分がなりたい目標とする女性でいてほしいとも考えるでしょう。または「好き」だけれど「尊敬できるかといえば別」というような反面教師になってしまうこともあるかもしれません。

 

母親としても、この難しい時期をうまく切り抜けなければなりません。自分の子どもであっても「別の女性」であることを忘れず、「自分はこうだったから」という価値観を押し付けないようにしましょう。こちらからの要望を伝えることも重要ですが、子どもからの要望や意見もしっかり聴くことが大切です。

 

また、生活の中では見本を見せることも重要です。家事や仕事で疲れていて、不満でいっぱいの態度や言葉遣いであれば、敏感な思春期の子どものこころに、ちくちくと刺さります。心を込めた笑顔を忘れず、でも時にはお互いに弱音を吐けるとよいですね。二人でショッピングやランチに出かけたりして「お互いの悩みを話す」ことができれば、子どもにとって「対等な立場」であり、子どもからもたくさんの話をしてくれるのではないでしょうか。

 

 

父親は「ひとりの“女性”」として接するべき

 思春期の女の子は、父親に対し、「自分を一人の大人として認めてほしい」、さらには「ひとりの“女性”として考えてほしい」という願いを持っています。「家族だから別にいいだろう」というような態度や行動は、やめましょう。

 

家庭内での役割も重要です。時間をみつけて積極的に家事をしたり、家族の話題にきちんと参加したりしましょう。そんなふうに自然に家族に関わることのできる父親は、子どもにとって「自慢のお父さん」であり続けます。

 

「何を考えているのかわからない」ではなく、「何に関心があるのか」を意識し、常にアンテナを広げて情報を集めるようにしましょう。子どもだって「お父さんも知っているんだ!」という驚きは、好印象のはずです。

プロフィール



平岡亜紀:公認心理師、産業カウンセラー、研修講師
NPO法人ひさし総合教育研究所 理事
特定非営利活動法人自立支援ネット我孫子 心理師
スクールカウンセラーとして長きに渡り学生・親・教員の相談に従事。心療内科、福祉施設のほか、企業でのキャリア開発、メンタルヘルス対策など多様な人たちが抱える問題にも応じている。

倉持鎮子:自身も7歳、11歳の子どもを育て、育児・食育・親子問題についての執筆を行うライター。医療・健康・体の不思議、子育て中にもできる美容などにも触れ、さまざまな面から「子どもとの生活」についてのライティング実績がある。講師業では、「脳と体を考える食育」についての情報を提供。

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