子どもが下唇を噛む癖は何のサイン? 対応はどうする?
幼児には大人にはないさまざまなしぐさがあります。すべて意味があるもの…というとちょっと大げさですが、なかには何かしらのサインが隠れていて、保護者のかたの対応が必要なものもあります。「下唇を噛む」というしぐさはそれほど珍しいものではありませんが、癖になってしまうとなかなかやめられなくなります。子どもが下唇を噛む癖にはどのように対応したらいいのでしょうか。
下唇を噛む癖が続くことのデメリット
どうして唇を噛む癖がつくのか、ということについてはさまざまな憶測があります。「チック」*の症状の一つとも言われており、何かしらの精神的なストレスがある可能性もあります。しかし、ただ単純に柔らかい下唇を噛む気持ちよさから「ついやってしまう」だけのこともあります。おっぱいを飲むしぐさにも似ていますね。
下唇を噛む癖が困るのは、下唇やその下の肌が赤くなってしまったり、前歯で傷ついたりするためです。また、ずっとこの癖が続けば上の前歯が「出っ歯」になってしまい、歯並びや顔つきにも大きく影響してしまいます。できればやめさせたほうがいいしぐさといえますね。
見るたびに注意するというやめさせ方では子どもにとってストレスに…
ただし、下唇を噛んでいるところを見るたびに「だめだよ」と注意し、やめさせることはおすすめできません。「癖は悪いこと=自分は悪いことをしている」という考えに結び付き、別のストレスを感じてしまうからです。自分を肯定するということが大切なこの時期、心理的に悪い影響が出ることもあります。
まずは、このしぐさに集中しないよう、気を反らすようなことをしてみましょう。もっともおすすめなのはおしゃべり。子どもが話すときに、できるだけ楽しくしっかりと聞いてあげることで、ストレスがあっても気持ちが楽になるというよい副作用もあるので、楽しい会話をしてあげれば、癖も出にくくなるはず。
下唇を噛むしぐさは、しゃべっている間にはできないことです。また、食べている間にもできないので、甘くない、そして噛むのに少し時間がかかるようなおやつを用意してみてもいいですね。徐々に同じしぐさを繰り返す回数を減らしていけるのではないでしょうか。
すぐにやめさせることができなくても大丈夫
癖は心理が大きく作用していると言われます。改めて日々の生活を顧みて、なにか子どもにとってのストレスがないかどうか考えてみることも重要です。ですが、どうしてもそういったことが見当たらないのであれば、しばらく様子を見るだけでもかまいません。子ども時代の癖の多くは、自然に消えるからです。どんな癖でも言えることですが、身についてしまったものは一日や二日でやめられるものではありません。焦りは禁物です。
歯並びについては、確かに子どもの場合には短い期間でも変化はおきますが、このくらいの年齢の子どもであれば成長に従って元に戻ることも多いようです。できれば歯医者にも通い、歯の生え方のチェックなどができるといいですね。
たくさんおしゃべりしたり、遊んだり、しっかり食べさせたりすることで癖を忘れさせるよう努力してみましょう。
*チックは、本人の意志と関係なく身体の一部が動いてしまうこと。突発的であり、反復性もあります。