スキンシップがもたらす効果とは? 身体心理学を学ぶ大学研究室
大学が大きく変わりつつある今、大学や学部をどう選び、何を学べば、子どもたちの将来が明るく照らされるのか。その答えを求めて大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は、身体心理学の研究が専門の、桜美林大学リベラルアーツ学群、山口創(はじめ)氏の研究室を訪ねた。
私の研究室では、人に触れられる、あるいは触れることで得られる癒やしの効果について研究しています。なぜ、人は触れられると癒やされるのか。それはスキンシップをとると、脳の下垂体から”愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌されるからです。
オキシトシンは出産の時に子宮を収縮させて分娩(ぶんべん)を促したり、母乳を出したりするホルモンとして知られています。最近の研究では、このオキシトシンは、人と人とが触れ合うことで盛んに分泌され、信頼や安心感を生んだり、きずなを深めたり、記憶力を高めたりすることがわかってきました。私が行った調査でも、保護者と密なスキンシップをとっていた子どもは、キレにくく穏やかで優しい性格に成長することが明らかになっています。
身体心理学は、時代に求められている学問だと思います。現在、情報化の進展により、顔を合わせなくてもメールなどでコミュニケーションが簡単にできるようになり、人と人とが触れ合うことが以前より少なくなっています。
ゼミのワークでは、学生どうしがペアになり相手に触れるだけで、メッセージが伝えられるかを試してもらいます。メッセージは、慰める、励ますなど4つの中から1つを選んでもらい、触れられたほうは、どの意味が込められていたのかを感じとります。わかりやすいもの、判断しにくいものがあることがわかります。
言葉ほど正確に伝えられないところが、スキンシップのよいところではないでしょうか。人に触れることでしか伝わらないメッセージもあると思います。体の感覚を伴った関係があれば、多少の行き違いも修復できるはずです。
出典:桜美林大学リベラルアーツ学群 心理学専攻プログラム スキンシップが脳を育む -ベネッセ教育情報サイト