桜美林大学 リベラルアーツ学群 心理学専攻プログラム(2) 体験を重視し、主体的な学びの力を育む[大学研究室訪問]

日本が転換期を迎えた今、大学や学部でどう選び、そこで何を学べば、お子さまの将来が明るく照らされるのでしょうか。桜美林大学リベラルアーツ学群の山口創教授の研究室をご紹介します。前回は、山口先生の研究内容について伺いましたが、今回は先生が身体心理学に興味を持ったきっかけ、そしてゼミでの学びについてお聞きしました。



■自分の生き方にマッチした学問

私が身体心理学の研究を志したのは、早稲田大学在学中に春木豊先生の研究室で学んだことがきっかけになりました。春木先生に出会う以前は、心理学とは心を扱う学問で、研究対象として目に見えるものがなく、実体のないものを研究するということになじめませんでした。また、当時の私は、人とのコミュニケーションが苦手で、自分から行動するのが苦手でした。「どうしたら積極的な人間に変われるか」と思い、思いきってアメリカに一人旅に行きました。アメリカに行けば自分が変われると思ったからです。
そんな折に、春木先生に出会い、「人というのは行動する存在。行動することで心が変わる」という考えにふれ、実体のあるものを研究したいという自分の考え方、行動することで人は変われるという自分の生き方と一致する学問だと思い、身体心理学の研究にのめり込んでいったのです。



■ゼミでは理論だけでなく、体験を重視

私のゼミでは、「体」がいかに大事なのか理論で学ぶだけでなく、ヨガや太極拳などで体を動かす、プロのマッサージ師を呼んで施術してもらうなどして、体験後にどんな感覚になるのか体験してもらいます。学生自身に体で感じてもらうことで、体とはどんなものなのか、心とどうつながっているのか感じ取ってもらうことを重視しています。
私自身も学生時代にアロママッサージを受けた経験から、人に触れられると心がリラックスし、癒やされたと実感した経験があったからです。また、アメリカに旅した時に、触れることによって親密な人間関係が築けることのすばらしさを味わいました。学生にも、実際に触れることの重要性を感じてもらい、後期以降の学びに生かしてほしいと思っています。



■3年次後期はグループで研究発表を行う

ゼミでの発表の様子

ゼミでは、主体的な活動を重視しているため、3年次後期にはゼミ論に取り組んでもらいます。ゼミ論とは、少人数のグループで興味のあるテーマについて調査や実験を行い、その結果を研究発表するものです。たとえば、近年の学生は、「家族関係と現在の性格の関係について」や「SNSの利用頻度と心の健康について」などのテーマに取り組んでいます。


ゼミ合宿での一コマ

自分たちが考えた仮説を立証するには、どのような実験や調査を計画すればよいのか、具体的に考えることが重要です。実験、調査などの研究方法の基本を身に付け、自分で疑問を持った事柄に対し、実証的な研究を行うことは、卒業研究はもちろん、社会に出た際にも必ず役に立つはずです。また、自分の考えを仲間に伝える、仲間の意見を受け入れ共に結論を導いていくという経験をし、社会に出た時に必要なコミュニケーション能力を磨いてほしいと考えています。ゼミ生の中には、心理系の大学院に進んで臨床心理士をめざす学生もいますが、多くはさまざまな業種に就職し、活躍しています。



■心理学を学びたいならさまざまな体験を

心理学を学びたいのであれば、勉強、スポーツだけでなく、さまざまな体験をしてほしいですね。特に、心理系で人気分野、臨床心理学を学ぶのであれば、他の人がどんな悩みを持っているのか理解する必要があります。そのためにはさまざまな人と触れ合うことが大事です。読書だけではなく、ボランティアや海外旅行などで、さまざまな人と出会い、相手を知るきっかけにしてほしいと思います。また、自分はどんなことに興味を持っているかについても考えを深め、ご自身の進路選択に生かしてほしいと思います。


プロフィール


山口 創

1967年生まれ。専門は、健康心理学・身体心理学。子どもに触れることの影響や、タッチングの心理・生理的影響について研究。主な著書に、『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『皮膚感覚の不思議』(講談社)、など多数。

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