私立大学付属中学校1年生 お母さまの日高のり子さん

■「わかった! できた!」がやる気の源。落ち込んでいるときこそ、親はプロデューサーとして、できるだけ子どもの気持ちを乗せるように心がけ、勉強することを楽しめるようにバックアップ

塾に通うようになってからはいかがでしたか?


冬期講習はそれまでの塾のカリキュラムの総復習なのですよね。それまで勉強していないことばかりが出てくるので、宿題がこなせなくて苦労しました。家で一緒に問題を解いていても、親もよくわからなくて、冬休み中は勉強に時間をとられて他のことが全くできませんでした。最初からわかっていたら、5年生のカリキュラムになってから入ったのにと思いました。5年生のカリキュラムになって、「お母さん、最初から教えてもらうとよくわかるよ」と言っていましたから(笑)。

それからは、知的好奇心が刺激されたのでしょう。塾が楽しいと言って喜んで通っていました。お子さんによっては、親の言うことに素直に従うけれど、自分から意欲をもち続けることが難しいこともありますが、うちの場合は一度自分で決めたことはやり通そうとするのでそういう面では楽だったかもしれません。


では、その後はずっと順調でしたか?


いいえ、そんなことはありません。最初はとにかく新しいことを学ぶのが楽しくてしかたなかったのですが、四谷大塚YTテストでいちばん上のクラスに上がってからが大変でした。
特に算数が難問になって、頭打ちの状態が続きました。5年生の11月頃から6年生の夏前までそんな状態でした。それまでは成績優秀者で表彰されたりしていたのが、「載っているわけがない」とちょっと自信をなくしてしまい、やる気も出なくなりました。皆そうだと思いますが、「できた!」とか「わかった!」ということがやる気の源だと思うのです。いい成績がとれれば励みにもなりますが、できないとモチベーションも下がってしまいますからね。


スランプをどうやって乗り越えたのでしょうか?


三者面談をお願いして、一緒に塾の先生に相談しました。「算数が苦手だ」というと、先生は「苦手だと思ったことは一度もないよ」と励ます方向で対応してくださいました。しかし、親としてはやる気をなくしていることがなによりいやでした。あるときプリントやノートの裏に落書きをしているのを見つけて、これは集中力をなくしている証拠だと思い、「成績が伸びないことには怒らないけれど、せっかく先生も一生懸命教えてくださっているのに、こんな落書きをしていることにがっかりする」としかりました。そのときは泣いて謝っていましたね。

また、その時期は本人が希望して「漢検」や「文検」を受けていました。そちらでいい成績がとれたり、合格するのが心の支えだったようです。国語は入塾した頃から得意で、社会も点数がとれていたので、算数で伸び悩んでいた時期でも、得意科目をもてたことも救いでした。
あとは、塾で算数の復習コースというのを受けていました。内容的には物足りない感じだったのですが、塾の先生は伸び悩んだときに基本問題を解くのは意味があることだとおっしゃっていました。6年生の2学期から、YTテストが選択制になって志望校別特訓に代わり、テストを受けなくてもよくなったので助かりました。
でも、四谷大塚のテストには最後まで苦手意識ができてしまいましたね。最後の合不合判定テストでも第一志望校の合格可能性が60%から40%まで下がってしまいました。


結果が悪かったとき、親としてどのようにフォローしていらっしゃいましたか?


内容をチェックしてみると簡単な計算ミスで点を落としていたりすることが多かったですね。これはメンタルの影響が大きいと思いました。だから、模試の成績はあまり気にしないようにして、もっぱら過去問を解いていました。その際も、第一志望校は途中点も見てくださるということだったので、「答えが合っていなくても、途中式や図などをかいてあれば評価してくれるから、丁寧にかいてごらん」というように具体的な方法を指示して、なるべくやる気が出るような声かけをするようにしていました。

中学受験の親の役割は、プロデューサーになることだと思います。「目標に向かってどうやって子どもを動かすか」ということを考えて、いろいろ工夫をしました。
テストの点を上げるには計算ミスをなくすことが大切だと思って、簡単な計算問題ドリルを買ってきて、「一緒にやろう!」とゲーム感覚で親子で競ったり、子どもが寝てからその日に勉強したことをチェックして、まちがえたところを抜き出して「やってみよう!! 書いてみよう!!」というようなタイトルをつけた手作りの教材を朝、机の上に出しておいたりしました。
スランプに陥っている子どもの姿を見て、情けなくなったこともありましたが、基本的には子どもを乗せて、気持ちが前向きになるようにいろいろしかけましたね。

また、スケジュール管理も親の仕事でした。塾の宿題も負担が大きくなって、だんだんこなせないようになってきたので、1週間の予定表を作って、しっかりと親が時間管理をしていました。
予定表には、朝学校に行く前に漢字や計算の一行問題を解く時間、塾の宿題をやる時間、過去問を解く時間などすべて書き入れて、机の横の見えるところにはっておき、こなせたら線で消していきました。うちの場合は、意欲はあるのに時間の使い方が下手なので、具体的に目に見える形にすることが効果的でした。


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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