入試相談の前とあと 第1回 私立高校との入試相談を控えて[高校合格言コラム]

私立高校との入試相談を控えて

 12月は中学校の先生と私立高校との間で入試相談がある月。その前とあとで気を付けたいことについてふれておきましょう。また、合格に向けて学力を高めることはもちろん本人の努力ですが、保護者の事務的な「し忘れ」で大変な結果になることがあります。年が明けるとどんどん忙しくなるので、年内にやれることはやっておきましょう。



 私立高校の推薦入試、一般入試の併願優遇については、多くの都道府県で12月中旬に在籍中学校の先生と私立高校側とで入試相談が行われます。事前に私立高校側から出願の条件として提示された内申基準、出席日数等をクリアしている受験生について、推薦入試の出願を認めるかどうか、条件に達していない場合には一般入試の併願優遇に回ってもらうかどうか、などが話し合われるのです。学校によっては、合格の可能性が示されるケースもあります。

 もう時間がありませんが、お子さまの第一志望校が推薦入試を行っているのであれば、まずは推薦入試にチャレンジするのが得策です。推薦入試は多くの都道府県では中学の校長の推薦が必要なので、急ぎ担任の先生に相談してください(埼玉県のように「自己推薦」のところもあります)。

 推薦入試は私立高校の多くが行っています。たとえば東京都では、高校募集を行っている184校中約92%の169校が推薦入試を実施しているほどです。実施していないのは、開成、学習院、城北、巣鴨、成城、桐朋、立教池袋といった男子校と、国際基督教大学、成蹊、青稜、帝京大学といった共学校だけで、女子校はすべて実施しています。

 推薦入試は、多くの高校では調査書(内申)の成績、試験当日の面接・作文で合否が決まります。が、上位校では、試験当日に「適性検査」を課し、この結果で合否が決まる学校が多くなっています。東京都でいうと、早慶、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)の付属校、豊島岡女子学園、本郷などの進学校がそうです。

 また、1つの高校が、A.推薦単願約束型、B.推薦併願適性検査型、C.推薦単願適性検査型 といくつもの方式をとっているケースもあり、非常に複雑になっています。
 内申基準の提示の仕方ですが、5科で20(オール4の場合)といったように5科をベースにしている学校が多いのですが、なかには3科12、9科38のように3科、9科の基準を定めている学校もあります。それも5科20かつ3科12とか、5科18または9科38とかいろいろで、さらにこれが年度により微妙に上下することが多いのです。
 出願の条件をクリアしていれば、出願者=合格者とするケースが多いので、高校側が内申基準を上げ下げすることで入学者数を調整しようとしているわけです。

 このように年度により上下するので、必ず2014年度入試での条件を確認してください。
条件をクリアできていない場合には、その学校の一般入試の併願優遇を希望するのか、それとも条件に当てはまる他校の推薦入試にするのか、急ぎ親子で意思を確認し合うことが大切です。

 次回は、推薦入試に出願可能となった場合の注意点についてお話しします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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