国語の抽象的な文章や算数の単位について、勉強のしかたがわからない[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小4男子(性格:大ざっぱなタイプ)のお母さま
質問
国語では、教科書の問題はできるのですが、抽象的な文章だと意味がわかりません。小学4年生ですが、どのような勉強をして慣らしていけばよいのでしょうか。
算数では、単位(L[リットル]、dL[デシリットル]、m² [平方メートル]など)がごちゃごちゃになります。絵で描いて説明しますが、わかりにくいようです。説明のしかたを知りたいです。
小泉先生のアドバイス
やさしい意味にしたり、具体的なものに置き換えたりすることで理解が深まる。
「抽象的な文章だと意味がわかりません」とか「単位(L[リットル]、dL[デシリットル]、m² [平方メートル]など)がごちゃごちゃになります」とあるのは、「具体化」⇔「抽象化」の作業が上手にできていないことに原因があると思います。
国語の文章を読んで意味を理解するという作業は、言葉をイメージ化する作業であり、その内容が抽象的であればあるほど難しくなると思います。具体的な文章であれば、言葉をそのままイメージ化して置き換えていけばよいのですが、抽象的な文章では抽象的な概念の単語を理解する、すなわちイメージ化することが難しいからです。理解できずに、読み飛ばしてしまう場合も多いでしょう。当然、それ以降の文章がわかりづらくなります。そして、そのような理解できない言葉が重なると、最後には文章全体が理解できなくなるというわけです。
それでは、そのような抽象的な文章を理解するにはどうすればよいのでしょうか? そのためには、抽象的な言葉を手触りのある実感できる言葉に言い換えたり、絵や図にしたりして理解しやすいようにすることでしょう。しっかりと理解できる具体的な言葉や表現に置き換えることができれば、安心して文章を読み進めることが可能になります。とはいっても、抽象的な言葉をわかりやすい言葉に直すのはなかなか難しいものです。解決方法としては、難しい言葉を丁寧に説明してくれる国語辞典を用意しておくことだと思います。そして、わからない言葉が出てきたら、こまめに意味を調べる習慣をつけるとよいでしょう。
さて、算数の場合はどうでしょうか。「絵で描いて説明」しているということですが、それでもまだ具体性が足りないのでしょう。
単位を覚える時など、基本になる実感できるものがあると、単位の世界は非常に身近なものになります。たとえば1L(リットル)ですが、これはちょうど大きな牛乳パック1本分の量です。実物がご自宅の冷蔵庫にあれば、「これが1L」と手に持たせてあげれば、一度でその量を実感できます。
そして、それは1000cm³です。あの牛乳パックを変形させて立方体にすると、一辺が10cmの立方体くらいになると実感できると思います。すなわち、10cm×10cm×10cm=1000cm³=1Lが直感的に理解できます。さらに1ccという量を具体的に目で見れば、どのくらいの量であるか実感でき、1cm×1cm×1cm=1cm³であると理解できます。あるいは、ccとは「立方センチメートル」(cubic centimetre)のことであることを示すこともよいと思います。すなわち1cm³=1ccであり、1000cc=1L=1000mlです。
1dLについてですが、「デシ」という表現は「1/10を表す」ことを示せば、1L=10dLということを忘れることは少なくなると思います。ついでに、1dM(デシメートル)=10cmという表現のしかたもあることを教えてあげるとさらに印象が深くなるかもしれません(ただし、この表現はあまり使うことはないと思いますが……)。
国語の難しい言葉や文章、あるいは算数の単位などは、子どもたちにとっては抽象的でつかみにくい事柄です。そういった事柄は、単に丸暗記するのではなく、なるべくやさしい意味にしたり、具体的なものに置き換えたりすることで理解が深まります。
難しい抽象的な概念であればあるほど、手触りのある具体的なものに置き換えることが、理解の大いなる助けになると思います。