【2025年度共通テスト】文系・理系で平均点上昇、出願は「強気」傾向に?
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2025年度大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、1月18日(土)と19日(日)の2日にかけて実施されました。
新課程初年度である2025年度の共通テストの志願者数は495,171人となり、前年の共通テストから3,257人(0.7%)増加。この志願者増の背景には、今年度の18歳人口が昨年よりも約3万人増えていることもあります。
志願者数に占める現役生比率は86.0%と、昨年(85.3%)より上昇し、現役生中心の入試が続いていることも特徴です。
予想平均点や志望動向はどうだったのか、大学入学共通テスト自己採点集計サービスの集計結果をもとに、全体概況をお伝えします。
※本記事はデータネット実行委員会による2025年1月21日時点の大学入学共通テスト自己採点集計サービスの集計結果をもとに作成しています。
文系・理系ともに予想平均点はアップ
予想平均点は6教科文系が620点(得点率約62.0%)で前年+2.4%、6教科理系が633点(得点率約63.3%)で前年+1.2%と、文系理系ともに得点率比較でアップしました。
受験生心理からすれば、「目標点どおり!」または「目標点以上!」が多いと想定されるため、「安全志向にはなりにくい」「強気の出願を後押ししやすい」状況です。
国語、英語リーディングなどでアップ、理科ではダウンが目立つ
科目別では、前年得点が低かった数学ⅠAの予想平均点は+3点の54点、英語リーディングは+6点の58点と伸びました。
また、国語は2年連続で大きく得点が伸びており、2023年度は105.74点、2024年度は116.50点、そして今回の2025年度の予想平均点では127点となっています。
一方で、化学の予想平均点は前年から-9点の46点と厳しい結果に。
現時点で物理(60点)と化学(46点)との間に14点の差がある状況です。
また、既卒生が受験できる旧課程科目は、予想平均点が前年よりも軒並み上昇していますが、これは、既卒生しか受験していないため、学力集団として高いから、ということが主な要因として考えられます。
文系・理系ともに6教科の予想平均点はアップしていますが、全国平均が変動すれば、各大学の目標点も変動します。志望大の目標点に届いているかどうかは、今年の基準、今年の判定で冷静に判断するようにしましょう。
- ・文系・理系とも予想平均点は前年度よりもアップ
- ・特に数学Ⅰ・数学A、英語リーディング、国語で予想平均点がアップ
- ・一方で化学や地学などで予想平均点がダウン
- ・目標点どおり、もしくは目標点をやや上回る受験生が多いと推察されるため、全体的におちついた出願になると予想される
難関国立10大学や医学系統の志望者が増加し、強気の志望動向
旧帝大を中心とした難関国立10大学(北海道大、東北大、東京大、一橋大、東京科学大、名古屋大、京都大、大阪大、神戸大、九州大)の全体の志望者数は前年比111%*で、安全志向の傾向は見られていません。
医学系統は、国公立大で前年比112%、私立大で126%と増加しており、強気の志望動向が見受けられます。
模試動向でも難関大志望者は集まっていましたが、共通テストの6教科予想平均点の上昇も強気の志望を後押ししていると考えられています。
*志望動向の対前年指数は大学入学共通テスト自己採点集計サービスの集計件数の増加などに伴い「105」をおおむね前年並みの基準として増減を表現しています。
- ・難関国立大や医学系統では安全志向の傾向は見られない
- ・共通テストの平均点アップが難関大志望の後押しとなっている
語学系統、経済・経営・商学系統、国際関係学系統で人気回復
ここからは志望動向を国公立大、私立大別に見ていきます。
国公立大
2025年度の国公立大全体の志望者数は前年比107%で、前年をやや上回っています。
去年に続き、コロナ禍であった顕著な理高文低は見られません。
コロナ禍で敬遠されていたグローバル系統も、語学系統は前年比113%、国際関係学系統は112%、観光学系統も116%とアップ。データサイエンスに代表される総合情報学系統も118%と人気です。
理系では、理学系統はコロナ禍から変わらず人気で前年比111%。
歯学系統も模試動向段階から人気が継続しており前年比125%。近年の医学系統の人気継続から歯学系統に志望変更した志望者が年間を通じて一定数いたことが予想されます。
また、工学系統の中にある、航空・宇宙工学は近年注目されている分野でもあり前年比137%と大幅増加。
一方で、探究活動とのつながりから人気が継続していた農・水産学系統については102%とおちついています。
私立大
共通テスト利用私立大は前年から8大学減り522大学に。
志望者数は対前年120%と増加しています。
今年度より、志望校の記入可能数が6校から7校に増加した影響もあるかと思われますが、共通テスト利用方式を積極的に活用する受験生が増えていることも考えられます。
学部系統別に見ると法学系統、歯学系統で、特に志望者数の増加がめだちます。
また、総合科学系統の中の総合情報学系は募集人員増加の影響もあり、志望者が増加しています。
情報系統を中心とした定員増加の動きがある募集単位の動向
文部科学省の「大学・高専機能強化支援事業」(デジタル分野などの成長分野を担う高度専門人材の育成を助成金によって支援する施策)を受けて、各大学では情報系統学部新設や定員増員などの動きが見られています。
大学によっては定員の増加率>志望者指数となっている募集単位も多く、このままの出願となれば例年より受験生のチャンスが大きくなる可能性もあります。
- ・語学系統、経済・経営・商学系統、国際関係学系統では人気が回復傾向
- ・総合科学系統の中の総合情報学系の募集人員増加もあり、志望者が増加
まとめ & 実践 TIPS
2025年度共通テストの全体概況をお伝えしてきました。
受験生の学力は入試当日のギリギリまで伸びるといわれています。
共通テストの得点が志望大の目標点に届いているかどうかは冷静に見つつ、最後まで諦めないでがんばっていくことが大事です。
「データネット2025」では共通テストの自己採点集計結果から、得点状況、志望動向などを随時お伝えしています。
また、ベネッセ教育情報センターのYouTubeチャンネルでは受験生に役立つ動画も公開しています。
ぜひご覧いただきお役立てください。
【データネット2025】
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