「詰め込み」「ゆとり」から脱却 〜中学受験で次に求められる「生きる力」

中学受験をするにあたって、学校案内の「教育方針」の項目を参考にする保護者も多いだろうが、その内容は当然学校ごとに異なり、さらには用語もまちまちで、自校の教育方針を明確に定義していない学校もある。つまり、学校案内に書かれている『教育方針』は他校と比較できないことがほとんどで、「教育方針はわかりにくい」と考える受験生や保護者が多いのだ。

 


「詰め込み」「ゆとり」から脱却 〜中学受験で次に求められる「生きる力」

 

森上教育研究所の森上展安氏は、「教育方針は『教科や学習に関する教育』と『人間性や能力に関する教育』に大きく分けられると主張。特に「教科や学習に関する教育」の受験指導を重視する保護者がほとんどとなっており、「また、大学合格実績で学校の偏差値が決まるので、受験生・保護者だけでなく学校も受験指導を重視する傾向がある」(森上氏)とのことだ。

 

一方、「人間性や能力に関する教育」は一般的に「人間教育」ともいわれ、伝統的な女子校や宗教系の学校では、従来は受験指導よりも重視されてきたが、最近では人間教育を強調しても受験生が増えないということもあり、受験教育のウエートを増やすケースも多いようだ。

 

「人間性や能力に関する人間教育は、学校では道徳の授業で指導するだけではなく生活指導などでも行われる。学習指導要領を見ると、道徳は人間性、つまり心に関する教育が主で、能力に関する教育は少ない。しかし、文部科学省は、新学習指導要領の全体を通じて、社会のニーズと子どもの現状に対応するため『生きる力』を育むという理念を掲げている。これは、学力や人間性ともに思考力・判断力・表現力などの『能力』の育成を重視することを意味する」

 

人間性の「ゆとり」から脱却し、学力の「詰め込み」でもない、次世代を担う子どもたちが、これからの社会において必要となる能力を、文科省は「生きる力」という言葉で表現しているのだ。森上氏は、ある学校(仮にK校とする)での「能力」に対する取り組みに注目する。

 

「K校では文科省が奨励する以前から『能力』の育成に注目し、学校行事を教材として取り組んでいる。グラフを見ると、中1から高3で各能力が着実に向上していることがわかる。しかも、行事で身につけた『能力』を活用し、高校の最後の課題として志望大学合格を目標とし、それを達成するため、生徒自身が主体的に取り組んでいる。大学合格実績が急上昇していることから考えると、人間教育で受験指導ができることを示している」

 

出典:教育方針とは何か[中学受験] -ベネッセ教育情報サイト

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