図形のような、発想が求められる問題が苦手で点が取れません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6女子のお母さま


質問

計算問題など基本的なことは、塾で繰り返しているうちにある程度できるようになりましたが、図形のような、発想が求められる問題が苦手で点が取れません。難しいと思われるものは娘も最初からあきらめてしまい、基本的な問題をしっかりやって点数を、という雰囲気になってしまいました。挑戦する気持ちがもう少し欲しいところです。


小泉先生のアドバイス

この問題の解き方」ではなく、「このような問題の解き方」ととらえる

FRISK(フリスク)というミント風味の清涼菓子をご存じでしょうか? 小さな白いタブレットで、眠気覚ましや気分転換に用いているかたもいらっしゃると思います。このフリスクのテレビCMがなかなかユニークでおもしろい。最近のものでは「良いアイデアに出会うには、いろんなコツがあります」ということで、楽しい画像とともに、そのコツを紹介していきます。いわく、「視点を変えてみる」「白紙に戻してみる」「掘り下げてみる」などなど……。仕事や実生活に役立ちそうなコツばかりですが、実は算数にも使えます。

算数や数学では、常に「応用力」や「発想力」という能力が話題になります。計算問題や3行問題などはできるのだが、それ以上に難しくなるとなかなか解けない。どうすれば「応用力・発想力」を身に付けることができるのかという悩みです。場合によっては、算数が得意な生徒にはその頭の中に「応用力の源」みたいなものが最初からあって、それによって応用問題をスラスラ解いているようにも思えてきます。しかし実際は、算数ができる生徒でも、問題量をこなすことで応用問題でも解ける力を身に付けてきたのです。一つひとつの問題の解き方を理解・定着することで、さまざまなタイプの問題に対応できる力が付くのです。そして、もしそこまでの力がないのであれば、残念ながら演習量がまだ足りないと言わざるを得ないでしょう。

しかし、800題解いて初めてあるレベルに到達できた生徒と、500題ですでにそのレベルに到達している生徒がいるのも事実です。いったいこの差はどこからくるのでしょうか。それはおそらく、解法のためのアイデアに出会う「コツ」を意識し、積極的に使っているかどうかの差だと思います。そのコツとは、フリスクのCMにおける「視点を変えてみる」……と似ていますがもう少し具体的です。
たとえば立体図形であれば、「断面図を考えてみる」「展開してみる」「組み立ててみる」……などです。これらのコツは、ひとつの問題を解いた時に使った方法論を、「この問題の解き方」ではなく、「このような問題の解き方」ととらえることによって意識できます。そして、新しい問題を解く時にこれらのコツが使えないかを考えられる生徒が、応用力がある生徒と言えるのだと思います。
それでは、「このような問題の解き方」ととらえるにはどうしたらよいのでしょうか? そのためには、「なぜ」を常に考えることでしょう。たとえばある問題で「展開してみる」というコツを使ったとしたら、「なぜ、展開したのか」を考えることです。展開することによって、「新しく何がわかったのか」を意識できれば、他の問題を解く時でもどのようなコツを使えば良いかがだんだん見えてくると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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