
小学校入学準備「冬から始める学習環境づくり」
小学校での学習に備えて、今から家庭でできることとは? 小学生に必要な学習態度を育む環境づくりについて、和田信行先生にアドバイスをいただきました。
家庭学習は親子の会話ができる場所で
低学年はまだ、親にくっついていたい時期。小学校でがんばってきたぶん、帰宅後はくつろぎながら親子の会話を楽しめる時間が必要です。「ママ、あのね……」「今日、学校でね」と、学校であったことを話すことは学習的にも大切なこと。出来事を言葉で伝えることで、国語力が養われるからです。
家庭学習も親子の会話の延長上。子ども部屋に入って一人で勉強できるのは、もう少し成長してから。低学年の学習は親が見てあげないと、なかなか身に付きません。子どもの学習スペースは、親の目や声が届く場所にしましょう。ダイニングテーブルでも十分です。
物語の世界にじっくり浸る経験を
語彙を増やし、理解力や豊かな表現力を身に付けるためには、本の読み聞かせがとても効果的です。集中して人の話を聞く練習にもなります。
普段から本に親しんでいないと、小学生になっても読むのは図鑑やマンガばかりで、物語を読むことができなくなります。じっくりと物語の世界に浸る経験は、心の発育にも良い影響を与えるでしょう。親子で図書館などを利用して、本が身近にある環境づくりをしましょう。

親子で調べる習慣が、考える力を育む!
子どもが「これは何?」「どうして?」と聞いてきたら、親はきちんと応対しましょう。その際、簡単に答えられることでも、一緒に考えたり、調べたりすると、学習効果が上がります。一つの疑問をきっかけにして考えを深め、知識を広げる経験が、小学校での学習にも役立ちます。
時間や曜日感覚を身に付けさせよう
小学生になったら、決められた授業時間や休み時間の中で行動することが求められますし、曜日によって時間割は異なります。今のうちから時間や曜日感覚を養っておきましょう。そのためには、「3時になったらおやつにしようね。今、何時かな?」「今日は月曜日だから明日は火曜日だね」など、時間や曜日を意識できる言葉かけが有効です。
また、「今日」だけではなく「昨日、おととい、あさって」といった表現も、意識的に使ってみましょう。
親子の会話が語彙を増やすきっかけになる!
入学前は机に向かっての学習よりも、体験をとおして学習することが重要です。日常生活での場面に応じた言葉かけも、そのひとつ。子どもが新しい言葉にたくさん出会えるように、意識してみましょう。
たとえば……
八百屋で 「このりんご、なんていうりんごかな? 『ふじ』だね」…子どもはりんごにはいろいろな品種があることを理解し、そのひとつに「ふじ」という名前のりんごがあることを学びます。
家庭で 「しゃもじを、取ってくれる?」
…普段目にしていても「しゃもじ」という言葉は知らないという子どもも。身の回りにあるものでも、名前を知らないものは意外とあるようです。
プロフィール
- 和田信行
- 東京成徳短期大学教授。小学校教諭を経て、1988年から都立教育研究所統括指導主事など教育行政に携わる。小学校長、幼稚園長などを経て2008年より現職。著書『小学1年生「わくわくドキドキ」カリキュラム』(学陽書房)、『「生活科」「総合」の授業づくり』(小学館)
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