中学受験の専門家「算数の場合はやり残しがあったほうがいい」
受験生といえば、夜遅くまで勉強をして、時には徹夜をすることも珍しくないと思われるが、そのような勉強法はいったい正しいのだろうか。特に、中学受験の小学生ともなれば、健康や成長のためにも、しっかり睡眠をとることが必要のはず。そこで、4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本算数教室・宮本哲也氏の講演の中から、勉強と睡眠についてのお話を紹介する。
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寝る時刻、起きる時刻、睡眠時間は必ず固定してください。日によってばらつきがあってはいけません。これは心身の健全な成長には必要不可欠なことです。「この問題が解けるまで寝たくない」というお子さまもいますが、9時に寝るくせをつけているのであれば、9時になったら強制終了して、布団の中に入れて、電気を消す。そうすればお子さまはたいてい寝てしまいます。そして、中断した勉強がたとえば算数だとしたら、どういうことが起こるのでしょうか。
「どうしてもこれが解けない」という状態で寝た場合、実は寝ながら解いているのです。朝起きてからもう一度その解けなかった問題を見ると、「あれ? できた!」ということがあります。仮に答えが出なくても、考えが進んでいるということに気が付くかもしれません。そうなれば算数がおもしろくなって、どんどんのめり込んでいくはずです。
大人の仕事にも当てはまることですが、学習の最大の動機付けは何だと思われますか? 褒めてもらえるとうれしい、そんなことではありません。「自らの成長を自分で実感すること」です。昨日までできなかったことができた! これは大人でもお子さまでもうれしいことです。そういう学習をすべきなのです。
一般的にはやり残しをつくらないことがよいことだと思われていますが、算数の学習に関しては大きなまちがいです。やり残しはあったほうがよいのです。解けない問題を常に頭の未解決ポケットに何題か入れておく、そうすれば24時間、ものを考え続けられる頭になります。算数ができるお子さまは、みんなそういう生活をしています。