高校受験の学校選び、「いい大学に進める」だけでは不十分と専門家
高校受験シーズンが本番に突入し、受験意識が高まりつつある中学1・2年生も多いのではないだろうか? 目標とする学校が思い描ければ、受験勉強にもさらに実感が湧くというもの。そこで、学校選びの心得を安田教育研究所の安田理氏に伺った。
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高校は「学力を伸ばし、いい大学に入れてくれることが最大の使命」ととらえている保護者もいるでしょう。確かにいい大学に進むことは、「土俵に上がれる」条件を手に入れられるという点で意味があります。ですから否定はしませんが、それだけでは不十分だということです。
社会に出てさまざまな人間関係を作っていく時に、芸術科や家庭科で学んだこと、得意なスポーツがあること、人より少しだけでも詳しいことがあること……そうしたものが役立った経験は、保護者の方にもあるはずです。あるいは、人生には孤独を強いられる時期もあります。そうした時、自分を支えてくれるものは、続けてきた趣味などではないでしょうか。
自分を支えるものを見つける、自分の心の内側に旅をする、自分の人生を豊かにしてくれるものを見つける、そうした時間をぜひ、精神がやわらかな高校時代に持ってほしいのです。部活の厳しい練習、なかなか意見がまとまらない委員会活動、夜遅くまでがんばった文化祭の準備、グループで一つのことを成し遂げた経験……そうしたことの一つひとつが自然と人間関係の持ち方、社会生活を送るうえでのスキルを身に付けさせるのです。
高校生活ではこのような面も重要であると意識したうえでの「学校選び」が、本当の「学校選び」だと思うのです。