専門家に聞く! ゲームはいつから? どんなルールを決めるといい? 【後編】

 お子さまをゲームで遊ばせる上では、適切なルールを定めるのが欠かせないことを前編で説明しました。それでは、具体的には、どのようなルールを設けると良いのでしょうか。引き続き、お茶の水女子大学の坂元教授にお聞きします。

幼児期にルール化を徹底することが大事!

 ゲームの低年齢化に伴い、早いうちからゲームとの付き合い方を教育する必要性が高まっています。幼児期は比較的、保護者の言うことに素直に従ってくれますから、この時期にルール化を徹底しましょう。成長するにつれてルールを徹底するのは難しくなり、「依存」の状態に陥る危険性が高まります。昨今、オンラインゲームにのめり込んで「廃人」のようになるケースが報道されているように、ゲームの依存性の高さを軽視してはいけません。

それでは家庭で心がけたいルールを説明しましょう。これらは小学校以降も適用できる内容です。

◆できるだけ親の都合で遊ばせない

静かに待っていてほしいときなどにゲームを与えることがあるかもしれません。そのことを完全に否定するつもりはありませんが、保護者の都合のみでゲームを許可すると、お子さまにルールを教え込むのは難しくなります。

◆お子さまの部屋にゲーム機を置かない

お子さまが自室でゲームをできる環境下では、保護者によるコントロールが難しくなります。幼児期はまだ自分の部屋はないかもしれませんが、小学校以降も心がけてください。

◆ゲームで遊ぶ時間を制限する

いつまでも遊びたくなるのが、ゲームの特性です。長時間使用しないように、必ず「1日○分」などと時間を設定しましょう。視力に対する悪影響への対策にもなります。

◆ゲームをしない日を作る

長時間の使用を避ける意味に加え、「ゲームの代わりにこれをして遊ぼう」などと、他の活動に目を向けてもらう狙いもあります。

◆ゲームをお手伝いなどのご褒美にする

ゲームは、お手伝いの後など、決められたときにするものだという意識を持たせます。小学校以降は、宿題の後などにしてもいいでしょう。

◆多様な遊びや活動を促す

ゲームだけに没頭すると、心身の発達がアンバランスになるおそれがあります。多様な遊びや活動の一部としてゲームをするようにします。

◆他のスケジュールを入れて、そちらに関心が向くようにする

長時間使用を避け、多様な遊びや活動を促すのが狙いです。

◆年齢にふさわしいゲームを選ぶ

一般的なゲームは、「レーティング」によって「12歳以上対象」などと年齢が指定されています。保護者はその内容を知って適切なゲームを選んでください。

◆購入前にゲームの内容を確認する

購入後に不適切な内容のゲームとわかる場合もあります。事前にインターネットなどでゲームの内容を確認しましょう。

◆保護者が一緒にゲームで遊ぶ

お子さまが遊ぶゲームの問題性をチェックするとともに、ゲームについて会話をする材料を得るのが目的です。

◆ゲームの内容について子どもと会話する

ゲームをコミュニケーションのきっかけの一つにしましょう。また小学校以降は、ゲームの問題性などについても話し合い、メディアリテラシーを高めましょう。

◆きょうだいがいる場合は、特に下のお子さまに配慮する

上のお子さまのゲームを見たら、当然、自分も遊びたくなるでしょう。下のお子さまが在宅しない時間帯にゲームをするようにしたり、初めから「このゲームは○歳から」とはっきりと伝えたりすることが必要です。

◆保護者はお子さまの前で、遊ばせたくないゲームをしない

ゲームが趣味の保護者もいると思いますが、お子さまに遊ばせたくないゲームを見せるのは控えましょう。お子さまは遊びたくなりますし、自分だけ禁止されることに不満を抱いてしまいます。

◆できるだけ教育的な内容のゲームを選ぼう

学習目的のゲーム、複雑な環境で戦略を練ったり思考したりするゲームなどを選び、知的活動の機会としましょう。

ルールは親子で一緒に決めよう

こうしたルールの前提として、保護者のかたがゲームに関心をもつことも欠かせません。「子どもの世界だから」とほうっておくと、保護者が知らぬ間に、どんどんのめり込んでしまう危険性もあります。お子さまが遊ぶゲームの内容を理解しようと努めるからこそ、問題があったらストップしたり、コミュニケーションのきっかけにしたりすることもできます。上記のルールについても、一方的に押し付けるのではなく、なぜ制限する必要があるのかをしっかりと話し合い、親子で一緒にルールを決める進め方にしましょう。

プロフィール


坂元章

1963年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学文学部社会心理学研究室助手などを経て、2004年からお茶の水女子大学教授。専門は社会心理学、情報教育。特に、メディアが人の認知的、社会的な発達に及ぼす影響を研究している。著書に『テレビゲームと子どもの心』(メタモル出版)など。

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