併願校のみ合格だった時、進学先の選定要素は?[中学受験]

第1志望が不合格で、複数の併願校が合格となる場合の対応について、保護者から次のような質問がありました。

(質問)
第1志望校には落ちてしまったのですが、ほかに2校合格を取りました。どちらにしようかと親子会議中なのですが、主人とわたしは難易度も上で自宅に近くきれいな学校が良いとの意見です。ですが、娘は難易度が少し低く自宅から遠い学校が良いと言います。何か理由があるのか聞くと、クラスでいじわるな子がわたしたち親の気に入っている学校に行くからだと言います。その子のことが本当に嫌いだからと言い張ります。難易度が高いほうに行かせたい親心ですが、娘に選択させたほうが良いのでしょうか?

(回答)
進学する学校の選定要素は、「仲の悪い子」のほかにもいろいろあると思いますが、子どもにとっては「仲の悪い子」がいる学校は大きなデメリットと感じられるかもしれません。しかし、「仲の悪い子」は、どこにでもいるはずで、子どもは人生経験が少ないため、目に見えるデメリットだけで進学先を判断しようとしています。中学校に進学して、「仲の悪い子」よりも大きな問題に遭遇して初めて、大した問題ではなかったと思うことでしょう。しかし、考えてみれば進学先を難易度だけで選定しようとしている多くの親も、同じように目に見える一つの要素だけで選定していることになります。

第1志望校に合格した場合は、このような問題は起こりません。また、第2志望以降の併願校に優先順位が決まっていれば起こり得ないことですが、実際には、併願校としてひとくくりにしている場合が多いようです。第1志望校が難関・上位校であれば、合格倍率が2~3倍であることから不合格になる可能性が高くなります。つまり、併願校だけに合格する可能性のほうが高くなります。その場合、結局は難易度の高いほうの学校へ進学することが多いようです。つまり、第1志望は、教育方針や校風が「我が子に合った学校」かどうか、徹底的に調べますが、第2志望以下の併願校はそれほど熱心に調べないので、進学先を決定したくとも選定するためのデータが十分ではないのです。

おすすめしたいのは、改めて併願校のパンフレットや入手したデータを見ながら、学校のメリットとデメリットを探すことから始め、家族で一から検討することです。少ないデータからでも多くのメリットやデメリットが見つかるはずです。子どもが希望する学校にもたくさんのデメリットが見つかれば、「仲の悪い子」のデメリットも比重が低くなるでしょう。限られた時間と選定要素のデータしかなかったとしても、徹底的に検討することが重要です。将来のことは誰も予想できませんが、だからこそ、子どもも参加させて家族で考え抜いた結論は、あとで進学先で嫌なことや大問題が起こったとしても「あれだけ考えて出した結論なのだから」と、進学先の選択を後悔することなく、乗り越えていけると思います。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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