不本意入学にならない併願校を選定する[中学受験]

併願で受験し入学する生徒が多いことがわかっている学校の中には、生徒が入学直後から不本意入学にならないように努力している学校もある。上位ランク校で第1志望の割合が19%と低く、併願校として受験する受験生が多い学校の例だが、在籍生保護者に、「我が子に合った学校」かどうかをアンケートで尋ねた。「我が子に合った学校」だと思った保護者は、入学前は55%だったが、入学3か月後には86%に増えていた。学校では、併願校として受験する受験生が多いことを理解したうえで、不本意入学者が多くならないように「入学後のフォロー」を行っていたようで、その結果が数字となって現れていた。

併願校に進学が決まった時点で、不本意入学にならないように、学校だけではなく保護者も努力すべきだ。それまでは、第1志望校だけを目標として受験勉強してきた受験生にとって、第1志望校に不合格となった結果の不本意な入学と思うことは仕方がないかもしれない。しかし、ここで第1志望校から進学先の併願校に頭を切り替えなければ、学校生活になじめなくなることもある。そうならないためには、保護者が話し相手となって、併願校の良さを理解させるところから始めなければならない。

併願校の選定時点から、併願校に進学することも考えて慎重に選定を行うべきであろう。第1志望校が不合格になることは考えたくない気持ちもわかるが、特に難関校・上位校では高倍率のため不合格となる確率は高い。併願校にしか合格できないほうが多いと考えて、保護者の責任として「我が子に合った学校」を併願校に選定してあげるべきだ。
アンケートのデータでも第1志望校は受験生本人が、そして併願校は保護者(母親)が選定するご家庭が多かった。しかし、現実は、第1志望校は、学校説明会に何度も参加し、文化祭や体育祭にまで参加したが、併願校においては、学校に入ったこともないというケースも少なくない。つまり、偏差値と入試日程だけで決めている例が多いのだ。

不本意入学にならないようにするためには、入学前の志望校選定時に、併願校についても第1志望校と同様に、「我が子に合った学校」かどうかを確認すべきだ。お子さまの偏差値や第1志望校の試験日程だけで安易に併願校を選んではいけない。学校説明会が終わってしまっていても、学校を訪問する機会はまだあると思う。少なくとも、学校を訪問して、在籍生のモチベーションが高いか、学校に活気はあるかだけでも確認してもらいたい。
第1志望校と併願校を比べたとき、第1志望校のほうが「我が子に合った」部分がやや多いという程度であれば、併願校に進学してもさほど不本意な入学にはならないはずだ。さらに、入学後は、進学した学校の良いところを見つけるなど親子で努力するべきで、併願校でも良いところがたくさん見つかれば満足度が高い学校生活が送れる可能性が高くなる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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