11月の時点では、併願校を決めている[中学受験合格言コラム]

第1志望校と併願校について調べてみると、2008(平成20)年入試用の四谷大塚の2007(平成19)年第3回合不合判定テストのデータに第1志望者数の割合があったので、そのデータを使って第1志望校・併願校の分析をしてみた。
難易度(=偏差値)が表記されているすべての入試の第1志望者数割合をグループごとに集計すると、A(36%)・B(19%)・C(14%)・D(14%)・E(9%)・F(12%)・G(13%)とかなり低い(A群偏差値65以上、B群60以上65未満……G群40未満)。A群の学校は入試が1回の学校が多いが、B群以下の学校では複数回行う学校が多く、中下位校では5回以上行う学校も珍しくないので、第1志望者数割合は低くなる。そこで、各学校とも最初の入試だけで集計すると、A(47%)・B(33%)・C(34%)・D(31%)・E(27%)・F(26%)・G(27%)と高くなる。
ちなみに第1志望校以外は併願校なので、併願校志望者数の割合は、100%から第1志望者数の割合を差し引いた数値となる。

たとえば、A群でも早稲田、聖光学院、渋谷教育渋谷、渋谷教育幕張が複数回入試を行っており、2回目以降の入試の第1志望者数割合は極端に低いため、最初の入試だけを集計した第1志望者数割合は、36%から47%に増加した。ここで注目すべきことは、A群の第1志望者数割合は別格の47%だが、B~G群を見ると、B~Dが31%~34%、E~G群が26~27%と2つのグループに分かれる。緩やかではあるが学校難易度が高ければ高いほど、第1志望者の割合は高くなる傾向が見られる。
しかし、A群校の突出ぶりに比べるとB~G群校は26%~34%に収まっていて、それほど差がないのはなぜだろう。第1志望校はあこがれの学校なので、受験生本人の学力が届かなくとも第1志望としたい学校と考えれば、偏差値の高い学校にあこがれている受験生・保護者が多いことになる。特に、A群校は受験生本人の学力に関係なく第1志望校にする受験生・保護者が多い傾向があり、B~G群校では受験生の学力に合わせて第1志望校としていることが考えられる。

上記の2007年第3回合不合判定テストは2007(平成19)年11月に行われたが、2007年4月に行われた第1回合不合判定予備テストの第1志望者数の割合との違いを見てみよう。各学校とも最初の入試だけを集計すると、A(40%)・B(29%)・C(22%)・D(18%)・E(16%)・F(14%)・G(10%)であった。A群校の第1志望者数割合は40%と高く、G群校はわずか10%で、学校難易度が高ければ高いほど「第1志望校として受験する受験生が多い」傾向が強いことがわかる。そのG群校の第1志望者数割合は11月には27%まで高くなる。
これらのことから4月の時点では高い難易度の学校を第1志望校としていた受験生・保護者が、11月の時点では受験生の学力に見合った第1志望校に変更していることになる。少なくとも11月の時点では、併願校を決め、第1志望校を最終決定していると考えられる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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