塾に通うといくらかかる?

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1学期も終わりに近づき、夏休みに塾に行くかどうかと気になる保護者のかたもいらっしゃるでしょう。どんな塾を選ぶかによって塾代は大きく変わります。今回は小学校・中学校・高校を通して、どんな塾に通うといくらかかるのかを見てみたいと思います。

この記事のポイント

年間40万円(約3万3,000円/月)の塾代は高い?安い?

(表1)

出典:文部科学省「子どもの学習費調査(表6)学年別補助学習費より」(平成30年度)

(表1)のグラフを見ると、学年が進むにつれて、右肩上がりで塾代は高くなっています。なかでも小学6年生、中学3年生、高校3年生の最終学年は、受験直前なので最も高くなっています。

さらに公立と私立を比べると、小学校は私立のほうが高いものの、中学校は公立のほうが高くなっています。これは高校受験に備える公立中学生が多いためでしょう。しかし高校になると平均額が低くなっています。これは高校卒業後に就職する人も含めた平均額だからです。実際の大学受験に向けて支払っている塾代は、もっと高いことが推測されます。

(表2)

出典:文部科学省「子どもの学習費調査(表8-2)学習塾費の金額分布より」(平成30年度)

(表2)の「塾代無し」、つまり塾に行かない人の割合を見ると、公立小学校では60.9%です。しかし中学校になるとその割合は30.7%に減っています。この数値から、中学生になると塾に行く人が多くなっていることがわかります。高校では公立・私立ともに塾代無しが約60%以上と増えているのは、高校卒業後に就職する選択肢もあるためでしょう。

このように全員が塾に行くわけではありません。各家庭の方針や本人の将来設計により、「塾に通う・通わない」の選択は異なるのです。

一方、年間40万円以上の塾代を支出する家庭も多くあります。なかでも私立高校の支出平均額は年間33.8万円と最も高くなっています。この表は全国平均ですから、東京や大阪などの都市部や、そのなかでも教育熱心な地域では、塾に行く割合や塾代がさらに高いことは言うまでもありません。

では、具体的に塾代はいくらかかるのでしょうか。小学校・高校受験・大学受験と順番に見てみましょう。

小学生の公文や補習塾はいくらかかる?

はじめに、「東大生の3人に1人が小学生時に公文式に通っていた」といわれている公文教室から見てみましょう。小学生では1教科(週2回)月額7,700円、年間9万2,400円です(消費税・教材費込み。東京都・神奈川県の教室、小学生の場合)。算数・英語・国語など複数の科目を選ぶと、それだけ金額が多くなります。たとえば算数と国語などの2科目は年間18万4,800円(=7,700円×12か月×2科目)。3科目は年間27万7,200円(=7,700円×12か月×3科目)です。

複数の科目を選ぶと、こなす枚数が増えます。しかし先生と相談しながら本人の性格やペース、習熟度によって科目数やレベルを決められるので、毎日の学習習慣をつけたい人、無理なく始めたい人に適した教材といえるでしょう。

小学校の授業は学年が進むと難しくなります。特に小学高学年になると授業についていけなくなったり、成績が上がらなくなったりする子どももいるでしょう。そんなとき補習塾に通うと、学校の授業の理解をメインとして補習してくれます。ここでは中学受験ではなく、補習塾の塾代を見てみましょう。

補習塾には個別型と集団型があります。個別型は1人の先生に1~3人と少人数です。たとえば週2回で塾代月2万円の場合、年間24万円。週3回3万円の場合、年間36万円です。その他、入会金、教材費、テスト代、諸経費が必要です。補習塾は「苦手科目の克服」「成績が下がった」「前の学年に戻ってもう一度学び直したい」など、本人の状況やレベルに応じて先生と相談しながらカリキュラムを決めるなどの個別指導が受けられるため、本人が無理なく学ぶことができるでしょう。

高校受験塾や大学受験予備校はいくらかかる?

では、高校受験の塾代はいくらかかるのでしょうか。
小学6年生の中学受験は、算国社理の4科目が主流です。一方、中学3年生の高校受験は、志望校により3科目なのか5科目なのか異なります。一般的に公立は5科目、私立は3科目ですが、私立の難関校のなかには5科目もあります。5科目から3科目に減らすことは簡単ですが、3科目から5科目に増やすことは容易ではありません。志望校を念頭に置きながら、塾のコースを選びましょう。それにより塾代も異なってきます。さらに塾代を検討するときには、毎月の授業料のみでなく、季節講習も加味した年間の塾代で比較しましょう。

たとえば、早稲田アカデミーの中1(レギュラーコース、週3回、3科目)の場合、授業料25万8,720円(=月2万1,560円×12か月)+春期1万3,500円+夏期4万2,300円+冬期3万1,800円=34万6,320円/年です。中2の同コースは、29万7,000円(月24,750円×12か月)+春期3万1,800円+夏期5万3,700円+冬期3万1,800円=41万4,300円/年と、学年が上がるにつれて高くなります。

SAPIX中学部(月4週、テキスト代・テスト代含む)の場合、中1の授業料26万5,320円(=月2万2,110円×12か月)+春期2万1,120円+夏期8万4,480円+冬期2万1,120円=39万2,040円/年です。中2の同コースは49万6,320円(月4万1,360円×12か月)+春期2万1,120円+夏期8万4,480円+冬期2万1,120円=62万3,040円/年です。(いずれも詳細は地域や教室によって異なることがあるので、各塾にお問い合わせください)。

このようにコースや塾によっては、年間塾代が(表2)で見てきた40万円を超えている塾もあります。中3コースや特訓コースになると、40万円を大幅に超えるでしょう。

大学受験になると、高校受験よりさらにコースが分かれます。たとえば文系と理系、文系でも国立と私立、また受験する学校によっても受験科目数が異なります。それらに応じて塾で受講する講座数が異なります。その選択によって塾代はさまざまに変わってきます。お子さんには年間どのくらいの塾代が必要なのかを聞いておきましょう。

このように小学校→中学校→高校、そして各高学年になるほど塾代は高くなり、また受講するコースによっても大きく塾代が異なってきます。

子どもに合った塾選び8つのチェックポイント

子どもに合わないからと途中で塾を変えると、子どもの負担になりかねません。塾を決める前に、下記の8つのチェックポイントを見ておきましょう。

□ 1.個別指導(先生1人に生徒1~3人)と集団指導(先生1人と生徒10数人):一般的に個別指導のほうが高いが、補習型の場合はリーズナブルな場合がある
□ 2.対面講習とオンライン講習:対面授業のほうが高くなる
□ 3.コース内容:3科目や5科目などの科目数、週1や週2などの回数、授業1コマが60分や90分などの講習時間、補習コースと受験コース・受験コースでも志望校によってレギュラーコース・難関コース、最難関コースで塾代は異なるので、志望校やコース内容を子どもや先生と相談しながら慎重に決める
□ 4.春期・夏期・冬期の季節講習や直前講習の受講有無:どのコースを選択するかをあらかじめ考慮して年間の塾代を把握する
□ 5.入学金・教材費・テスト代・諸経費は、塾代と別なのか込みなのかを確認する
□ 6.自宅からの交通手段とその費用はいくら?
□ 7.その塾は子どもに合っているかどうか?
□ 8.塾に最大どのくらいお金をかけられるのか?

まとめ & 実践 TIPS

中学受験は、親子で話し合いながら志望校や塾を選ぶご家庭がほとんどでしょう。しかし高校受験や大学受験になると、子ども自身が将来設計を考えながら志望校や塾を選ぶことが多くなります。お子さんが複数人いる場合は、各人の塾代にどの程度お金がかけられるのかの年間での資金計画が必要です。そのため、将来の進路、何のために塾に通うのか、お金は年間いくら必要なのかなど、少しずつお子さんと将来のことを話し合っておくとよいですね。

出典:文部科学省「子どもの学習費調査」(平成30年度)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf

山本節子

山本節子

ファイナンシャル・プランナー。専業主婦の時代、15回の不動産売買の経験をキッカケに、FPや日本証券アナリスト検定会員補の資格を取得。現在は買い手の立場に立った相談業務、セミナー講師、雑誌や書籍の執筆などを行う。(株)リスタート代表。2男1女の母でもある。

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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