大人とのかかわりから学べること 親子関係、うまくいっていますか?[高校受験]

■身近な大人に協力してもらう

親子は、長年ひとつ屋根の下で暮らしてきて、でき上がってしまった関係というものがどうしてもあります。今になってお互いの口の利き方を変える、習慣を変えるといっても、お互いが同時にそのような心境になるのは実際のところ無理な面があります。
そうした時、保護者のかたに弟や妹がいれば、案外有効なことがあります。親よりも若くて少しでも子ども本人に近いだけに、本人も心を開きやすいということがあるようです。事情を話して、お子さまに言いたいことを代わりに言ってもらう、それだけでなく、気付いたことを遠慮なく本人に言ってもらうようにしてはどうでしょうか。社会性を養ううえでもとても有効ですし、自分に関心を持ってくれる人がいることを普段からわかっていれば、注意された時などでも素直に聞けるようになります。

普段から、さまざまな大人と接することに慣れていれば、大人からいろいろなことを学べます。大人に心を開いている子どもには、大人のほうも力を貸してくれるはずです。
ところが、そのような人間関係を持ったことのない子どもは、見も知らぬ大人から注意されたりすると、とたんにパニックに陥って、聞くどころか逆に攻撃的になってしまいます。そして、模試などで不本意な結果が出たり、勉強が思うようにはかどらなかったりすると、受験を投げ出したりしがちです。
そのようなことにならないよう、今のうちから精神的にも大人にさせたいものです。



■受験のモチベーションが落ちているようなら……

最後に、少し受験の話に戻しましょう。受験生としての自覚はあったのに、最近それがなくなっている、という場合にはどうすればいいのでしょうか。

自覚があったのに、最近勉強に消極的になっているとしたら、どこかでつまずいている可能性があります。成績表・答案などをチェックして、原因を探ってください。どの教科に原因があるかわかったら、相談できるところがあれば、そのように判断した材料を提示して、対策法や勉強法などを聞いてみましょう。そうしてまた理解できるようになって点が取れるようになれば、自信を取り戻してがんばれるはずです。

受験生の親は、どうしても焦って叱咤(しった)しがちです。緩めたり、楽しくさせたり、うまくリードするところに腕の見せどころがあります。熱心すぎる保護者より、大ざっぱなほうが案外うまくいくのは、こうした点に理由があるのかもしれません。

家族中が緊張する期間に入る前に、保護者のかたは「我が子にどのような人間になってほしいのか」「それにはどのような学校が望ましいのか」……そのようなことも話し合っておくといいでしょう。
そうした根っこの部分をきちんと押さえておかないと、秋以降、いろいろとやることが出てきた時に、どんどん流されてしまいます。ご自分の考えをしっかり持って、またお子さまの意志を尊重しながら、受験対策を進めていただきたいと思います。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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