お姉ちゃんらしく妹や弟に優しくなってほしい[教えて!親野先生]

【質問】

 

3年生の長女が年長の妹と年少の弟にキレることが多くて困っています。先日も、おやつの取り合いで下の2人を叩いて泣かせました。注意しても「いつも私ばっかり怒る」とふてくされるだけで、心に届いていないようです。私としては公平にしているつもりなのですが……。もっとお姉ちゃんらしく妹や弟に優しくなってほしいのですが、どう言えばいいのでしょうか? (お散歩ブーム さん:小学3年生 女子)


お姉ちゃんらしく妹や弟に優しくなってほしい[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

お散歩ブームさん、拝読しました。

保護者としては兄弟・姉妹が仲よくしている姿を見たいですよね。上の子には下の子を優しく面倒見てもらいたいし、下の子には上の子を慕ってもらいたいと、保護者ならみんな思っています。
そして、保護者の多くは子どもたちを差別しているつもりなどなく、みんな公平に接しているつもりでいます。

でも、実はこのことに関しては、保護者と子の間に大きな意識のギャップがあるのです。
保護者としては公平のつもりでも、実際には下の子に手がかかっていることが多いはずです。当然、上の子ががまんせざるを得ない場面が多くなります。また、知らず知らずのうちに下の子の肩を持っていることも多いはずです。
ところが、保護者としては、上の子より下の子に手がかかるのは当たり前と思っているので、差別しているつもりはありません。
でも、上の子にしてみれば、納得できないことが多いのです。
頭では「お姉ちゃん・お兄ちゃんなんだから……」とわかっていて、自分に言い聞かせたりもしてみるのです。でも、気持ちが付いていきません。
上の子は、「妹や弟ばかりかわいがられている」「自分はあまり大切にされていない」「自分はいつも損をしている」「自分ばかり怒られる」と感じていることが多いのです。

こういう状況ですから、「あなたはお姉ちゃんでしょ」「なんでお姉ちゃんらしくできないの」「お姉ちゃんなのに、なんでそんなに意地悪なの?」「なんで下の子に優しくできないの?」などの言葉は絶対に禁句です。
お姉ちゃん・お兄ちゃんらしくしてほしいという気持ちがあるので、それが言葉の端々に出てしまうのですが、こういう言葉はすべて逆効果です。

ここで大切なのは、お姉ちゃん・お兄ちゃんらしさを求めるのではなく、まずはお姉ちゃん・お兄ちゃんの気持ちを満たしてあげることです。自分の気持ちが満たされれば、自然に妹や弟にも優しくできます。
それがないうちは、いくら叱っても、あるいは丁寧に言い聞かせても、子どもの心に届くことはありません。

そのためには、ちょっとしたことでも当たり前と思わず、「がんばっているね」「しっかりできたね」とほめてあげましょう。
全体を漠然と見るのではなく、ほめられる部分を見つけ出してほめることがコツです。
あるいは、ことあるごとに「ありがとう」「○○してくれて助かるよ」「お姉ちゃんがやってくれて助かるよ」と感謝の気持ちを伝えましょう。
「お姉ちゃんでしょ!」ではなくて、「さすがお姉ちゃんだね」という言葉を増やすといいですね。

そのためには、できていないところは目をつぶって、できたところだけほめてあげることです。
繰り返しますが、「できていないところは目をつぶる」、これが非常に大切です。
お姉ちゃんにはできるけれど妹や弟にはまだできないことがある場合は、「お姉ちゃんのまねしてやるといいよ」「お姉ちゃんのようにやってみよう」というように、お姉ちゃんを立てる言い方もいいでしょう。

または、「たいへんだね」「忙しいね」「困っちゃうよね」など、共感の言葉も子どもの気持ちを安らかにしてくれます。「お姉ちゃんもたいへんだね」「お姉ちゃんて何かと損だよね」など、お姉ちゃんという立場への共感を示してあげましょう。

これに限らず、日頃から、どんな話も共感的に聞くようにしてあげてください。友達とケンカした、先生に叱られた、忘れ物をした、宿題やりたくない、○○が欲しいなど、保護者にとっては歓迎できない話も、まずは共感的に聞いてあげてください。
保護者が共感的に聞いてくれて、自分の気持ちをわかってくれたとき、子どもは親の愛情を実感します。
保護者として言いたいことがある場合は、たっぷり共感した次の次くらいに言いましょう。

ご質問にあるように、妹や弟とけんかして叩いてしまったという場合も、一方的に責めるのではなく、まずは本人の言い分をたっぷり共感的に聞いてあげてください。
言いたいことを十分に言えて、お母さん・お父さんが自分の気持ちをわかってくれたと感じれば気持ちが落ち着きます。
そうなったところで初めて、妹や弟の気持ちを考えたり、自分のいけなかったことを振り返ったりすることを促すこともできるようになります。
これについては以前、「お友達と玩具の取り合いになった際、相手を叩いてしまう」というケースを取り上げた際にも触れました。

これらのほかにも、お姉ちゃん自身が好きなことややりたがることを応援して、たっぷりやらせてあげることも大切です。
あるいは、食事の時などにお姉ちゃんの好きなものをたくさん食べさせてあげるのもいいですね。
お姉ちゃんの好きな遊びに付き合ってあげる、「行きたい、行きたい」と言っている○○ランドに連れて行ってあげる、欲しがる物を買ってあげる、こういったこともいいですね。
いつもダメ出しばかりしていないで、こういう部分を満たしてあげることも大切です。
子どもは、こういうことで親の愛情を実感するということもありますので。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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