塾の読解の記述の問題で正確に捉えている時とそうでないときの差が激しい[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5男子(性格:大ざっぱ・論理的)のお母さま


質問

塾の読解の記述の問題で正確に捉えている時とそうでないときの差が激しいです。子どもに読解力があるのかないのか、よくわからず困っています。


小泉先生のアドバイス

ひとつの流れの中で苦手の原因を探る

記述問題を中心に考えて、その出来・不出来が激しい場合は、読む力に原因があるのか、あるいは解く力に原因があるのかを考えると良いでしょう。もちろん、その両方が原因の場合もありますが、解決するためには一つひとつの問題点を克服しなければなりませんから、細分化してその原因を探ることが大切です。


記述問題の細分化


まず読む力のほうに原因を考えた場合、物語文や論説文などの「文種」による得意・不得意が考えられます(上図参照)。「物語文はできるが、論説文になると点数がとれない」などです。一般的に、男の子は物語文が弱く、女の子は論説文が嫌いなようです。また、随筆文で難しい比喩などを使った表現が多い場合は、苦戦する生徒さんも少なくないでしょう。
一定の文種が苦手な場合は、慣れるためにとにかく問題文にふれること。特に入試の論説文は、通常の読書ではまず読まないような難解な文章が多いので、6年生になったら問題演習をとおして少しずつ慣れていくことが必要です。

読む力に関係してくるものとして、その文章の「テーマ」についてもチェックする必要があります。頻出テーマとしては「自然・環境」「動植物」「文化・文明」「言語・コミュニケーション」「文芸論」(以上、説明文や論説文)、あるいは「友人・友情」「父母子」「兄弟姉妹」「祖父母」(以上、物語文)があります。このうち、「文化・文明」や「言語・コミュニケーション」「文芸論」などは抽象的で読み難いと悩む生徒さんが多いようです。また、「友人・友情」でよく出てくる「恋」の話は、特に男の子が苦手でしょう。これらのテーマについては「読み慣れていない」「経験したことがない」などの理由で、どうしても読みづらい、書きづらいとは思います。苦手をなくす方法としては、やはり「慣れる」ことやそれらに関する「知識」を事前に持っておくことが対策として考えられます。

次は、解く力、特に記述力について考えてみます。まず大切なのは、記述問題には書き方があり、問われ方によって次の4つに大きく分かれるということです。4つとは、「なぜ問題」「気持ち問題」「こと問題」「表現の問題」ですが、その中で物語文の「気持ち問題」で得点を落とす生徒さんは、そもそも心情表現のとらえ方が苦手な可能性があります。
また、論説文の「こと問題」が苦手な生徒さんは、記述の書き方だけではなく、問題文の内容を十分に理解していない可能性もあり得ます。そんな生徒さんは、選択肢問題でも間違いが目立つはずですから、そんな場合は、まずは問題文の読解からチェックしたほうが良いと思います。
さらに物語の「なぜ問題」では、登場人物の言動を、その裏にある気持ちによって説明することが必要です。このあたりも、大ざっぱな生徒さんにはなかなか上手に対処できない点かもしれません。

一般的に、物語文は「読みやすいが記述問題は書きにくい」、論説文は「読み難いが内容がわかれば書きやすい」ようです。「読解力」とはまさに「読み」「解く」力ですが、まとめて考えていると、何か漠然としていて解決の手がかりがなかなかつかめません。たとえば記述問題が苦手であれば、記述問題を中心にした「読む力」と「解く力」というひとつの流れの中で苦手の原因を探ることが効果的だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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