国語の記述問題で頭では書きたいことが決まっているのに文章にできず、よく書き直しをしています[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

国語の記述問題が苦手です。頭の中では書きたいことがまとまっているのに、いざ文章にしようとするとうまくいかないようです。それが原因で何度も書き直しをしています。どのようにしたら上手に文章にすることができるでしょうか?

相談者:小5男子(大ざっぱで弱気なタイプ)のお母さま



【回答】

「記述の型」をさらなるヒントと共に使う


■なぜ、なかなか書き上げられないのか

頭の中でまとまっているのに、いざ文章にしようとするとなかなか書き上げられないのはなぜでしょう。たとえば、遠足に行った時の話を書こうとします。楽しかったという思いが浮かんできて書き始めますが、途中で楽しかった理由を新たに思いつきます。友達のA君と遊んだことを書きたくなり、書き直さずにはいられなくなってきます。そこで消してまた書き始めますが、しばらくするとまた別の思いが浮かんでくる……といった具合ではないでしょうか。あるいは、途中まで調子よく書いたのですが、とても制限字数内では書き終わらないことに気付き、また書き直すということかもしれません。このように、書いては消してのくり返しで時間ばかり過ぎてしまうことになるのです。

■書く前に文章の構成を決める

問題は、書くことは確かに決まっているのでしょうが、きっちりとは決まっていないということなのです。“きっちり決まっている”とは、「何を」「どこに」「どの程度」書くかという構成が書く前に決まっているということです。もちろん、書くことをだいたい決めるだけで書きながらうまくつなげていき、制限字数内に収められる皆さんはいると思います。しかし、そうしたお子さまは書くことにかなり慣れている人でしょう。すべての人がそのように書けるわけではありませんから、少なくとも書き慣れないうちは文章の構成をしっかり決めてから書き始めるべきなのです。

■本は目次から、記述問題は型から

たとえば、初めて1冊の本を書こうとする著者に対して、編集者はまず目次を書くことをすすめることが多いようです。目次を書くことで何をどのくらい、どこに書くということが決まります。つまり、本の構成が決まるのです。それが決まれば、あとはその内容を埋めていけばよいだけになります。ある箇所で語りすぎてあとで話すことがなくなったり、話が重複したりすることなく、あるいは内容的に矛盾することなく最後まですんなりと話を進めることができるのです。

それでは、中学受験の記述問題で「目次」にあたるものは何でしょう。それは以前お話ししたことがあると思いますが、「記述の型」と呼ばれるもので、具体的には「理由+相手+キーワード+文末」というものです。既に何回か説明しましたからここではくり返しませんが、こうした「型」を使うことではるかに書きやすくなると思います。しかし、こうした手順を学んでも、なかなか最初のうちは上手にできないお子さまもいます。

■さらなるヒントを示す。

そこで今回は、さらにヒントを示す方法を説明します。私の授業でも時々使っている方法です。たとえば「この時のA君の気持ちを30字以内で説明しなさい。」という問いがあったとしましょう。書くべきことはわかるがなかなか書き出せない、あるいは仕上げられない場合は、おうちのかたが模範解答を先にチェックします。そして、たとえば「カンニングをしたと誤解されて先生に叱られ腹立たしい気持ち。」というのが模範解答としてあったとしたら、これを「型」に分解してみます。すると、以下のようになりました。

カンニングをしたと誤解されて先生に叱られ腹立たしい気持ち。
理由相手キーワード文末

さて、次はこれをもとに「何を」「どこに」「どのくらい」書くかをヒントとして示してあげるのです。たとえば、以下のようになるでしょう。なお、字数はだいたい見当とします。

( 3 理由15字 )( 4 相手5字 )( 2 キーワード5字 )( 1 文末5字 )

順番は1234の順に考えていきましょう。最初は「どんな気持ち」ですから、「文末」は「~気持ち」で決まり、次はその時の気持ちを本文から考えていって「腹立たしい」を導き「キーワード」とします。さらに「理由」はなぜ「腹立たしい」のかであり、「相手」は誰に対して腹立たしいかという具合に次々に考えていきます。「書く内容」「書く場所」「書く字数」が決まっているので、たいていのお子さんが不安なく書き始め、仕上げることができると思います。もちろん慣れてきたら、どんどんヒントを少なくしていきましょう。たとえば、下記のように字数を削除すると少し難しくなります。

( 3 理由10字 )( 4 相手3字 )( 2 キーワード3字 )( 1 文末3字 )

そして、最後はノーヒントで答えられるようにするのです。こうした書式がなくても、無意識にこの書式を思い浮かべ、頭の中で字数を計算しながら書き直すことなく書けるようになっていくと思います。特に質問者のお子さまの場合は「自分が記述したいことは頭の中でまとまっている」のですから、ここまでのステップを用意してあげればすぐに上達すると思います。


プロフィール

小泉浩明

小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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