どうすれば塾の時のように、学校の授業中に先生の話をじっと耐えて聞いていられるようになりますか[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4男子(性格:強気なタイプ)のお母さま


質問

塾の授業にはとても熱心に取り組んでおり成績も上位ですが、半面、学校の授業の内容がかなり退屈なようです。授業中に先生の話をじっと聞いていることができず、ノートもほとんどとっておりません。そのため、授業態度やノートの内容で判断を左右される学校の成績は、不本意な(=悪い)評価となってしまっています。都内の難関校を受験する予定ですが、内申書の内容がどのように書かれてしまうか今から心配です。どうすれば、学校の授業中に先生の話をじっと聞いていることができるようになるでしょうか。


小泉先生のアドバイス

さまざまな場面でいろいろなことに興味を持ち、知識を培っていくようにお子さまに助言する。

塾で成績が上位の子どもであれば、学校の授業内容が退屈に感じるかもしれません。その結果、授業に集中することができず、授業態度やノートの内容を含めた成績評価が悪くなる場合もあるでしょう。しかし、中学受験を考えている子どもや保護者の皆さんにとって、内申書は気になるところだと思います。

それでは、中学受験において内申書の重要性はどのくらいなのでしょうか。中学校によっては、小学校の成績を提示させないところもありますし、通知表をコピーして提出させるところもあります。あるいは、小学校から報告書を提出させるところもあります。このように、中学校によって対応はさまざまですが、お子さまが志望している難関校は、かなり報告書を重視する学校のようです。
この学校は、算数、国語、理科、社会、各教科100点に報告書100点を加えて選抜を行います。4教科の試験の他、小学校の内申も点数化して総得点に加えるということです。首都圏では最も難易度の高い学校のうちのひとつですが、問題は原理・原則を大切にした素直なものが多く、高得点での勝負になると予想されます。そのような状況の中で、20%の配点である内申がよくないのであれば、最初からハンデを背負うことになります。この学校を受験する子どもたちは、塾の勉強もしっかりやるが、学校でもまじめに勉強しているというイメージです。もし、内申を重視する学校を受けるのであれば、授業態度を改める必要がありそうです。

とはいっても、報告書がどのように数値化され、評価されているかは定かではないようです。「報告書では差が付かない」という人もいれば、「音楽や体育などを見ている」という人もいます。内申書は小学校ごとに、あるいは先生の判断によって、点数に付け方に甘い、辛いが出てしまうので、それを点数化するのはなかなか難しいということもあります。結論として、他の教科のように点数化して使っているわけではないかもしれない、かといって問題にしなくてよいと断言できるだけの根拠はないといえます。ですから、ここは、「内申書もよくしておいたほうが得策である」と考えて、学校の授業にも能動的に参加するようお子さまに言い聞かせるべきだと思います。

それからもう1つ。塾では難しいことを学ぶため、学校では易しいことしか教えないと思い、ついつい学校の授業を軽視するようになりがちです。しかし、難関校や超難関校でも基礎・基本を重視した問題が出題されます。たとえば、理科では教科書に載っている昆虫や草花の細かい内容がくり返し出題されます。あるいは、学校で行われる理科実験に主体的に参加していないとわからないような問題も頻出しています。塾で学ぶことだけではなく、学校生活や家庭生活を含めたさまざまな場面で、いろいろなことに興味を持ち、知識を培(つちか)っていくような子どもたちを中学校は求め、それに応じた問題を出題しているのです。ですから、そのような態勢で学んでいくようにお子さまに助言してあげるとよいと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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