脳は筋肉のように鍛えられる？ 脳の仕組みと「脳トレ」効果を専門家が解説
雑誌やテレビでよく目にする「脳トレ」。「脳トレ」で実際にどのような力が鍛えられるのか？ そしてその力を、日常生活の中で鍛えることは可能なのか？ 脳科学の専門家、諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀氏にお話を伺った。
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脳は筋肉のようにトレーニングして鍛えることで、その働きを維持したり、向上させたりすることができます。まず大まかに脳のしくみをご説明しましょう。人間の脳は大脳・小脳・脳幹に大きく分けられます。知的活動に関わる大脳には4つの部位があり、それぞれ異なる機能を持っています。
●大脳の4つの部位
前頭葉：思考、運動をつかさどり、言語を発する
頭頂葉：手足などの感覚、動きを知覚する
後頭葉：視覚、イメージをつかさどる
側頭葉：言葉を聞き分け、人の顔を認識する
特に大脳の「前頭葉」を鍛えることが、お子さまの能力アップには非常に効果的です。前頭葉はほかの3つの部分から得た情報をまとめ、状況を判断する役割を担っている総指揮官です。ここには、ワーキングメモリーと呼ばれる「脳のメモ帳」のような機能があります。ワーキングメモリーは作業記憶ともいわれ、「話す」「聞く」「計算をする」などの知的な作業をする際に、一時的に必要な情報を記憶します。
わたしたちは人と会話をするとき、相手の言葉を理解したうえで次の言葉を発します。空気を読んで発言ができるのは、脳のメモに相手の発言を一時的に記憶して、的確な言葉を選び発することができているからです。保護者の皆さんが、夕食の準備をしながら子どもの話を聞く、締め切りが異なる複数の仕事を同時に行うといったことを楽々とできるのも、脳のメモを上手に使っているからなのです。
ワーキングメモリーの機能は、思考力の基礎になり、賢く生きていくうえで欠かせません。これはトレーニングをすれば鍛えられる脳の機能の一つであり、脳のほかの部位よりゆっくりと成長を続けていくことがわかっています。
