1月校で受験させる学校は?[中学受験]

冬期講習が終わると、すぐに1月校の入試が始まる。いよいよ中学入試が始まるわけだが、果たしてどのような学校を1月入試で受験すべきか、保護者としては迷うところだ。本命は2月校で、お試し入試で1月校を受験させることが多いと思うが、1月校と言っても学校の難易度に大きな差があり、さらに問題の難易度も相当な違いがある。

お試し受験は、その言葉どおり受験を経験したことがない子どもに、本番で失敗しないよう、事前に受験を試させておくための受験だ。中学受験で初めて受験を経験する子どものほうが多いと思う。たとえ小学受験をしたとしてもあまりにも幼すぎてそのころのことはよく覚えていない子どもが多いだろう。
また模擬試験は受験を模したものだが模擬試験と受験は確かに違う。受験のなんとも言えない、あの緊張した空気は独特なものだ。そのような雰囲気は受験生全体がかもし出すものだが、受験生本人はその雰囲気で緊張が高まり、あがってしまうのだ。もちろん本命の第1志望校ともなれば、どうしても緊張してしまうだろう。上がってしまうのは仕方がないかもしれないが、それを少しでも緩和させるために、1月入試をうまく活用するべきだ。

緊張しやすい子どもとあまり緊張をしない子どもがいる。子どもの性格によっても異なるとは思うが、これは模試のときの様子を見ればおおよそ見当は付く。緊張しやすい子どもは、問題が難しいと思うだけであがってしまう。あがってしまうと普段の精神状態ならば解ける問題も解けなくなったり、思いもよらぬミスをしたりもする。1月校であまり緊張せずに受験ができた経験をさせてあげると、その成功体験が本番で生きる。そのような子どもには、あまり難易度が高い学校や難しい問題を出題する学校は1月校としては避けるべきだろう。
逆にあまり緊張しない子どもは、程よい緊張感で問題に集中して、普段出せない力を本番で出すこともある。そのような子どもには、緊張を緩和させる必要はないので、志望校よりも難易度が高い学校や難しい問題を出題する学校にチャレンジさせると良い。その学校に合格すれば、自信となるだろうし、落ちたとしてもチャレンジ校なので、あまり傷つかないだろう。むしろ、不合格になったことで奮起し、本番でその経験を生かすことができると思う。

本来、お試し受験の1月校は狙っている学校となるべく近い状況で受験させるべきだ。問題の難易度や傾向も、2月校で狙っている学校と同じような問題を出す学校を受験させるべきだろう。しかし、緊張しやすい子どもと緊張しにくい子どもでは、1月校を受験する目的が違う。2月校でも子どもの性格や状況によって第1志望校を中心に受験する学校は選定すべきだ。お試し受験で1月校を選定するときも、第1志望校をベストな状況で受験できるようにしてあげることを忘れてはいけない。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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