保護者の目で入試問題を確かめておきましょう[今年は中学校が大きく変わる年 第4回]
ウェブ上から入手できる都道府県もある
いまのうちに、ご自分の県の公立高校の最近の入試問題に目を通されることをおすすめします。そうすれば、これまで述べたことが実感としておわかりいただけると思うのです。
公立高校の入試問題は、その都道府県の教育委員会のホームページに公開されているところもあれば、教育委員会では公開しておらず、かわりに地元新聞社や、模試や対策問題集を提供している会社のホームページで見ることができるところもあります。なかにはウェブ上では見られない都道府県もありますが、書店に行けば「〇〇(都道府)県公立高校入試問題」という印刷物で手に入るはずです。
引用されている文章をよんでみましょう
国語の入試問題は、説明文(論説文)と物語文(小説)の大問2つから構成されていることが多いのですが、ぜひこの説明文を読んでみてください。どの都道府県でも、内容と文章のいずれも優れた文章が使われています。日々仕事を抱えている保護者のかたは、本全体を読むことは難しいかもしれませんが、入試問題に引用されている一節なら短時間で読めます。
これらの文章を読むと、現代社会のいろんな課題を端的に把握でき、またそれぞれに対しての各筆者の考えがわかるので、私もとても勉強になっています。お子さまが中学生の今こそ、保護者のかたも一緒になって読まれる(勉強する)ことをおすすめします。
記述問題こそ差が開く
ここからは少し現実的な話になりますが、記述問題に力を入れていただきたいのは以下に挙げる理由からです。
○第1回の「1週1時間増加で、変わる授業内容」でもお話ししたように、公立中学校は生徒の学力幅が広いこと、先生が一段と多忙になることもあって、手間がかかる「記述力」をつけるための授業はなかなか行えないという現実があること。
○記述問題は配点が高いにもかかわらず無回答率が高く、ここで大きな差がつきやすいこと。
これらに付け加え、記述について、勉強のアドバイスをしておきましょう。
理由を問われている場合は、「○○だから」「○○のため」と答えなければならないのですが、実は文末がそうなっていない答案が多いのです。ですから、最初は問題集の解答例を書き写すことで、そうした書き方に慣れるといいかもしれません。
また、ご自身がお住まいの都道府県では、例年どのくらいの字数の記述なのか調べておくとよいでしょう。60字なら60字、200字なら200字で書く練習をさせて、その字数で的確にまとめる感覚をつかむようにするのです。
次に、記述問題の採点は、○○が書かれていれば加点するといった具合に行われることが多いので、設問文から必ず入れなければならないキーワードは何かを判断する訓練も大切です。
第3回で取り上げた埼玉県の問題もそうでしたが、入試問題の記述は作文ではないので、単に自分の考えを書くものではありません。踏まえた事実と意見を明確に分けるという書き方がポイントです。
ちょっと細かな次元まで入ってしまいましたが、あまり神経質にはならず、これまで述べたような背景があることを頭に置きながら、お子さまと積極的に会話されることから始めてください。