保護者が進学させたい学校に、子どもも進学したいと思わせるには?[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:大ざっぱ・わんぱくなタイプ)のお母さま


質問

私立では難関校(東大コース)、公立では難関中高一貫校に進学させたいと考えています。しかし、本人はいまひとつ乗り気ではありません。勉強はしっかりしていて、算数はこの数か月で成績がずいぶん上がりました。また、ケアレスミスが多いので、確実に得点してほしいと思っています。


小泉先生のアドバイス

お子さまがぜひここに行きたい、保護者も応援したいと思えるような学校をめざしたい。


性格的に大ざっぱなタイプは、一般的にのんびりしている子どもが多く、受験勉強にもなかなかエンジンがかからない場合が少なくありません。つらい受験勉強は少しでも先に延ばしたいというのが受験生の気持ちですから、保護者のかたが特にイライラしてしまいがちになります。

しかし、お子さまの場合は、算数の成績が数か月でずいぶん上がったとのこと、着実に努力されている様子がわかります。ケアレスミスも、ミスをしないようにという気持ちが強ければ、ミスをする箇所に注意したり、ミスをしないような工夫を心がけたりして、少しずつ改善していくと思います。

さて、質問の中で気になった点が1つあるので、そのことについてお話しします。
それは、「本人はいまひとつ乗り気では」ないというところ。中学受験は本人が希望して始めるよりも、親がすすめるとか、お兄さんやお姉さんが受験した、あるいは友達が受けるから、ということがきっかけになることが少なくないと思います。ですから、最初は親主導で「○○をめざそう!」となる場合が多いのですが、これは決して悪いことではないと思います。

なぜなら、小学3、4年生では中学受験をする・しないはもちろん、志望校選びは困難でしょう。また、5、6年生になっても将来のことを含めた判断は難しいと思います。しかし、最後の決断は子ども本人がすべきだと思います。それは、自分が選んだ学校だからこそ、つらい受験勉強をがんばれるのであり、また、中学に入ってからも誇りを持って学べるのです。もちろんまだ幼い判断になる場合もあるでしょうから、保護者のかたから見たら、「なんで?」という決断をすることもあるでしょう。危なくて見ていられないかもしれません。そのような場合は、進路の修正も必要でしょう。

しかし、そのような場合でもお子さまと十分話して、最後はお子さまがその学校に決めたのだ、と本人に納得させたいものです。そのような学校であれば、少しくらい嫌なこと、たとえば入学後に友達や担任とのトラブルが多少あっても、なんとか乗り越えていくのではないでしょうか。しかし、保護者のかたが無理強いしたような形になると、「だから僕は(私は)行きたくなかったんだ」と、考えてしまうことになると思います。つまり、保護者のかたのせいにしてしまいがちになるということです。

また、話し合ってお子さまが納得したと思っても、納得や理解が足りない場合があります。相手はなんといってもまだ小学生ですから、わかりやすく説明しないと十分に理解できないのです。たとえば、私の教えたお子さまで、なんと、学校に入学してから男子校であることを「発見した(!)」お子さまがいました。親はもちろんそのことを話しているはずですが、お子さまはよく聞いていなかったのでしょう。あるいは、第一、第二志望は十分に調べますが、第三志望以下になるとしっかり調べていない、理解していないのかもしれません。

志望校選びは、受験勉強をする時の重要なモチベーションになりますし、入学してからも楽しく充実した学生生活を過ごせるかのポイントになります。お子さまがぜひここに行きたい、そして保護者も応援したいと思えるような学校をめざしたいものです。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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