中学受験における父親の関わり度でわかること[中学受験]

父親が積極的に中学受験に関わっているご家庭では、入試の結果が良い、といううわさがある。本当にそうなのか? 既に受験を終えた保護者にアンケートを行って確認してみた。アンケートの設問は、「中学受験における父親のかかわり方についてお聞きします。あなたのご家庭では、お子さんが中学受験するにあたり、父親はどの程度かかわりましたか?」選択肢は、(1)積極的に協力してくれた (2)頼めば協力してくれた (3)頼んでもなかなか協力してくれなかった (4)いっさい母親任せだった (5)なんとも言えない であった。

(5)は不明確なので除外すると、結果は、(1)41%、(2)45%、(3)5%、(4)9%で非協力的な父親は少ないが、母親としては積極的には協力してくれない「頼めば協力してくれる」父親に対し、ストレスを感じることだろう。また、中学受験における父親の関わり度は、子どもの性別にもよるようで、子どもが男子の場合は女子の場合よりも、「(1)積極的に協力してくれた」父親が多く、「(3)頼んでもなかなか協力してくれなかった」「(4)いっさい母親任せだった」は少なくなる。

在籍している学校の難易度(四谷大塚の学校難易度)で分析すると、確かに、学校難易度の高い難易度ABの中学校在籍者は、「(1)積極的に協力してくれた」という回答が45%と高く、難易度CDでは36%、難易度EFでは0%となっている。また「(3)頼んでもなかなか協力してくれなかった」「(4)いっさい母親任せだった」という回答は、難易度ABは10%と低く、難易度CDでは18%、難易度EFでは50%となっている。学校の難易度の高い学校在籍者の回答で、父親が積極的に中学受験に関わっているご家庭では入試の結果が良い、という傾向がある。

確かに、子どもの教育は両親で行うべきだが、中学校入学後の子どもの満足度を見ると、どうも受験で父親が前面に出てしまったケースでは結果はあまり良いとは言えないデータがある(たとえば、不本意入学の割合が大きくなる)。特に子どもが女子の場合は明確だが、全体的にも母親が主体になるほうが良い結果となっている。
しかし、母親一人では、中学受験に対処するのは困難で、母親は積極的な父親の協力を要望している。また、データからも積極的な父親の協力が重要で、父親の関わり度合いが受験結果に反映している。母親の心理としては、「自分たち二人の子どもなのだから積極的に協力してくれなければおかしい」と納得できないのではないか?

これらのことから、父親はあまり子どもの前面には出ないようにしつつも、うまい形で中学受験に関与し、母親に積極的に協力しながら、中学受験を乗り越えることが、良い結果に結びついていることがわかる。同様に、中学校入学後も、子どもの教育に対する父親の関与が、子どもの成長にプラスになることが予測される。当たり前といえば当たり前なのだが。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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