子どもの性別による、中学受験への父親の関わり度[中学受験]

イクメンが話題となって、中学受験への父親の関わり度も高くなっているようだが、子どもの性別によって、保護者の関わり度は異なるのではないか。近年、女子校の学校説明会に父親の参加者が多くなり、土日に父親対象の学校説明会を開催している学校も多くなってきている。それでも、男子校の学校説明会における母親の参加者数に比べると、少ないと言わざるを得ない。母親としては、中学受験への父親の関わりをもっと期待しているようだ。そこで、受験を終えた保護者にアンケートを行って実態を調査した。

アンケートの設問は、「中学受験における父親の関わり方についてお聞きします。あなたのご家庭では、お子さんが中学受験するにあたり、父親はどの程度関わりましたか?」とした。
選択肢は、(1)積極的に協力してくれた (2)頼めば協力してくれた (3)頼んでもなかなか協力してくれなかった (4)いっさい母親任せだった (5)なんとも言えない である。

「中学受験の父親の関わり度 学校種別(男子校・女子校・共学校)」のグラフを見ると、全体を示す「計」が、(1):40.9% (2):45.5% (3)(4):13.6% であった。(5)は父親の関わり度が不明確なので除外する。(1)の「積極的に協力してくれた」父親は40%程度で、アンケートに回答した母集団が有名中高一貫校在籍者の保護者であったせいか、意外に多い。(3)(4)の非協力的な父親は少ないが、父親が積極的には協力してくれないため母親としては多少不満が残る(2)の「頼めば協力してくれる」父親が45%程度と最も多い。

また、このグラフでは男子校、女子校、共学校別の中学受験への父親の関わり度がわかるようになっている。目的としては、子どもの性別による父親の関わり度を分析するためである。グラフを見ると、男子校は(1)の47.6%が比較的多く(2)の42.9%と(3)(4)の9.5%が比較的少ないようだ。女子校は(1)の33.3%が比較的少なく(2)の46.7%は中間で、(3)(4)の20.0%が比較的多いようだ。共学校は(1)の37.5%と(3)(4)の12.5%は中間で、(2)の50.0%が比較的多いようだ。以上から、男子校と女子校を比べると、子どもが男子の場合は女子の場合よりも、「(1)積極的に協力してくれた」父親が多く、「(3)頼んでもなかなか協力してくれなかった」「(4)いっさい母親任せだった」は少なくなることがわかる。また、共学校は(1)と(3)(4)で男子校と女子校の中間となっている。つまり、父親の関わり度は、子どもが男子である場合は高く、女子の場合は低いのだ。しかし、見方を変えると、父親は娘の受験には、積極的に関わらないほうが円滑に進められるとも考えられる。



下の「入学したかった学校(第一志望校)と志望校決定権者」のグラフのように、父親が志望校決定権者のご家庭では、入学したかった学校に進学した割合が低いという、父親が関わることに否定的なデータもあるので注意すべきだ。



特に娘の受験には、関わり方を工夫する必要があるということなのだろう。子どもが息子であれば父親の関わり度が高く、進学後の学校満足度も高くなる可能性がある。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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