「日本の食料自給率」から、食について考える

今回取り上げるテーマは「日本の食料問題」です。
先ごろ発表された2008(平成20)年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は41%。前年度から1ポイント上昇したものの、ここ数年は40%台の低い水準のまま横ばいで推移しています。また、近年の輸入食料や飼料の世界的高騰もあり、これからの「日本の食」の問題は深刻なものとなっています。
この「食」に関する問題は適性検査でも度々取り上げられていますので、この機会に日本の食料自給率や食について考えてみましょう。
※2009年8月時点での農林水産省発表のデータをもとにしています。


クイズde基礎知識

日本の食料自給率が最も高い生産物は? 食料自給率を上げるためにできることは?


Q1

2008(平成20)年度、日本のおもな食料のうち自給率が最も高かった生産物は?


A. 米
B. 豚肉
C. 大豆を含む豆類


A1 正解は 「A. 米」 です。

多くの日本人が主食としている「米」は、1993(平成5)年の冷夏による米不足を除き、1966(昭和41)年以来44年間もずっと自給率100%以上(主食用米。国産米在庫の取崩し含む)を誇っている優秀な国産食料です。一方大豆は、豆腐や味噌、醤油の原料として日本人の食生活に欠かせないものですが、実はほとんどを輸入に頼っており、2008(平成20)年度の概算では、わずか6%の自給率です。

主要14品目の自給率(平成20年度)


Q2

食料自給率がなかなか上がらない原因は?


A. 食料の生産に従事する人の増加
B. 食料の生産に従事する人の若年齢化
C. 食料の生産に従事する人の減少


A2 正解は 「C. 食料の生産に従事する人の減少」 です。

日本の食料自給率が大幅に減少し始めた20年ほど前から、政府は自給率を上げるためにさまざまな対策を練り、実施してきました。しかし、農業や水産業などに従事する人の数は、高齢化や若者の農業・漁業離れにより年々減少の一途をたどり、国内での食料生産量も減少し続けています。自給率が上がらない原因には、他にも食嗜好(しこう)の変化や食料の輸入の増加、燃料・飼料の高騰などがあります。


Q3

2008(平成20)年度の食料自給率は41%ですが、約50年前(1960年)は何%だった?<


A. 約80%
B. 約50%
C. 約20%


A3 正解は 「A. 約80%」 です。

日本の食料自給率(カロリーベース)は1960年時点では79%でした。しかし、その後ずっと低下しており、1998年に40%近くとなってからはほぼ横ばいで、国民が必要とする食料の約60%を毎年海外から輸入している結果となっています。
これまでは輸入に頼って食料需給をカバーしてきましたが、近年の異常気象や、人口の多い中国やインドなど経済新興国の食の変化により、輸入食料の価格高騰や輸入可能量の大幅な減少などが起こり始め、将来的な食料危機が懸念されています。

カロリーベース総合食料自給率の推移


Q4

将来、食料危機をまねかないために、自分たちでできることは?


A. 国産のものを食べる
B. 食べ残しをしない
C. 米や野菜を多く取り、バランスのよい食事をする


A4 正解は 「A.B.C.すべて」 です。

国産の農産物や水産物の需要が減れば、当然供給量も減り、それを作る生産者も減っていきます。農産物や水産物は、どれをとっても一朝一夕には得られない、生産などに時間と手間ひまのかかるものです。また、足りなくなったからといってすぐに補充できるものでもありません。
ですので、普段から食べ物を大切にし、国産の農水産物を食べるなど、私たちにできることから、日本の食料自給率向上を意識することが大切です。


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