中学受験への父親の関わり度と入試結果[中学受験]

中学受験への父親の関わり度が、どれだけ入試結果に反映するかについての問題は、これから中学入試を迎える子どもの父親には、参考になると思う。父親が積極的に中学受験に関わっているご家庭では、入試の結果がよい、という話を聞いたことがある。子どもの中学受験に一人で支えている母親の側では気になるところだと思うが、本当にそうなのか? 受験を終えた保護者にアンケートを行って確認してみた。アンケートの設問は、「中学受験における父親の関わり方についてお聞きします。あなたのご家庭では、お子さんが中学受験するにあたり、父親はどの程度関わりましたか?」で、進学先の学校を学校難易度別(四谷大塚の学校ランク別)に集計することで、父親の関わり度と入試結果の関係を分析できると考えた。

グラフは、進学先の学校を学校難易度別に分類して、中学受験の父親の関わり度との関係をまとめたものだ。グラフを見ると、学校難易度の高いABランクの中学校在籍者は、「(1)積極的に協力してくれた」の割合が45.2%と高く、CDランクでは36.4%、EFランクでは0%となっている。また「(3)頼んでもなかなか協力してくれなかった」「(4)いっさい母親任せだった」では、ABランクは9.7%と低く、CDランクでは18.2%、EFランクでは50.0%と高くなる。確かに、難易度の高い学校の在籍者の回答で、父親が積極的に中学受験に関わっているご家庭では入試の結果がよい、という傾向があるといってもいいだろう。


 グラフ1


しかし、グラフ2で進学後の学校満足度を見ると、受験で父親が主体となる「志望校決定者が父親」では、結果はあまりよいとはいえないデータがある。特に、子どもが女子の場合は明確で、母親が主体になる「志望校決定者が母親」のほうがよい結果となっている。親が主体になると、子どもの受験勉強に自主性がなくなることもあるので、受験生本人に志望校を選定させているご家庭が多いようだが、実際には母親は主体的に見えないように工夫している面もある。
志望校の決定方法を調べてみると、学校情報に詳しいのは母親である傾向が高く、母親がアドバイスをすることになる。子どもにアドバイスする形をとりつつ、実質的には母親が志望校を決めているご家庭が多い。子どもの自主性を尊重し、受験勉強のやる気を高め、併願校に進学することになっても自分で決めた学校ということで、「1.ぜひこの学校に入学したかった」学校という気持ちにさせて、入学後も前向きに学校生活に取り組めるようにしている。

父親が積極的に中学受験に関わっているご家庭では、入試の結果がよいということは本当のように感じられる。特に、息子に対しては、父親が積極的に関わることでプラスになっているようだが、娘に対してはあまり積極的になると反発を受けることもあるだろう。問題は、進学後の学校満足度は、父親が主体になることで低下していることだ。この問題の解決方法としては、父親も、母親と同じように子どもの自主性を重視して入試をサポートする形で関わるのがよいと思える。


 グラフ2


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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