福袋やセールを通して考える「お店の売り方」「お客の買い方」

■あなたは買いたい? 買いたくない?
身近な「福袋」をテーマに、意見を述べる練習

さて、初売りの風物詩といえば「福袋」ですね。現在では住宅や宝石、車といった高額な福袋から、あらかじめ中身がわかっている福袋まで、いろいろあるようです。昨今では「お取り寄せ」用福袋を用意する百貨店や、中身を入れる袋が商品のバッグだったり、驚くような工夫がたくさん見られます。

もともとは売れ残りや半端品などをまとめて詰めてお得な値段で売った福袋ですが、現在では店によってはプロジェクトを組み、1年ほどかけて福袋用のオリジナル商品を企画するところもあり、その店の1年間の売れ行きを占う重要なアイテムとまでいわれています。テレビでは初売りの数日前から福袋目当てに百貨店前に並ぶ人や、初売り当日の大行列、売り場での福袋争奪戦の映像が毎年のようにニュースになっていますから、店側もその情熱にしっかり応える形で福袋を用意しているのですね。

さて、そんな福袋をテーマにして、「自分の意見を述べる」練習をしてみましょう。いわゆるディベートというものですが、自分の立場を明らかにし、その立場に基づいて一貫した意見を他の立場の人とやりとりする、という訓練です。



親子でやってみよう

●福袋を売る店の立場
●福袋を買う客の立場
●福袋を買わない客の立場
それぞれの立場から、福袋について意見と理由を述べてみましょう。


意見は、どれが正解でどれが間違っているというわけではありませんので、お子さまと一緒に取り組まれるさいは、意見と理由の筋が通っているかどうかを確認してあげてください。また、適性検査や面接などで、立場を指定される場合もあります。お子さま自身の意見だけでなく、逆の立場についても、取り組んでみてください。
意見を述べたり、相手の意見を聞くときに重要なのが、「意見」と「理由」の整理です。まず自分自身の頭の中で意見(結論)と理由とをしっかりと分け、一貫した内容を考える「論理の整理」、そして話すときの「表現の整理」…この両方がしっかりしていないと、なかなか相手にうまく伝わりません。
「こう思う、その理由はこうだから」という論理の筋道を立て、端的でわかりやすい表現を使えて初めて人に伝わる、説得力の高い発言となります。
ですから、おうちのかたがお子さまの発言を評価する場合も、意見(結論)だけでなく、きちんと理由が述べられているか、またわかりやすく伝えられたかも評価してください。


例)
【テーマ】福袋を売る店側と、買う客側に分かれて、それぞれの意見を述べましょう。


福袋を売る店の立場

(立場と目的の確認)
福袋をたくさん買ってほしい。そのためには工夫が必要であることを伝える。

(発言例)
「福袋はお得感を出したいから、できるだけ大きい袋を使ったよ」
「あらかじめ見本に中身を出したり、どんなものがいくつ入っているか書いてはりだしたりしました。そうすれば中身が想像できるので、お客さんが後で中身を見てガッカリすることが少ないと思いました」

福袋を買う客の立場

(立場と目的の確認)
買いたい側の気持ちを伝える。

(発言例)
「中身は欲しいものじゃないかもしれないけれど、ドキドキワクワクする開ける瞬間が楽しいから私は買うよ」
「みんなと並んだり、福袋を選んだりする時間も楽しいから福袋を買うことが好き」

福袋を買わない客の立場

(立場と目的の確認)
買いたくない側の気持ちを伝える。

(発言例)
「私は自分が欲しくないものはいらないから、同じ安いならバーゲンで選んで買いたいな」
「混雑していたり、並んだりして買い物をするのはいやだから、福袋は買いたくない」

さまざまな立場で、相手の意見を聞きながら自分の意見を述べるという練習は、論理力を養うには最適です。適性検査だけではなく、今からでもすぐ役に立つ力ですから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。


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「進研ゼミ小学講座」は2020年新課程に対応して、リニューアル。基礎から応用までの学力向上はもちろん、自ら学ぶ姿勢を身につける。
学んだ知識を使って、自分なりの答えを導き出す。そんな体験を繰り返すことで、「自ら考え表現する力」を育んでいきます。

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