洗足学園中学校2年生 S・Kさんのお母さま

妹さんの場合は、いかがでしたか?


娘は、転校してきた小学4年生のときに、自分から受験をすると言いました。そこで、自宅近くのSAPIXに入塾しました。私は、長男が通っていたような小規模のアットホームな塾もいいと思ったのですが、たまたま近くにそういう塾で実績もある程度出しているところがなく、また娘は与えられたことはやるタイプなので、「厳しく鍛えてもらえる塾のほうがいいのでは」という父親の意見でSAPIXを選びました。

入塾してみると、そこは9クラスの大規模教室で、娘は真ん中のクラス。でも、本人は復習テストでいい成績がとれなくても平気な様子でしたね。
私はクラス替えのテストがあるたびに最初はドキドキしていましたが、やはりこれも本人しだいかなとあきらめも早かったです。結局、3年間ずっと上のクラスには替われませんでした。


日常はどのように過ごされていましたか?


4年生のときは平日に週2日、5年生のときには週3日塾に通っていて、6年生の夏からは日曜も加わって週4日になりました。
通っていた小学校は地元の中学に進学する人も多く、放課後は友達と遊ぶのが楽しみだったので、塾のない日は5時までという約束で遊んでいました。
基本的には、塾のない日に塾の課題をこなし、塾のある日は帰宅後に見直しをする程度です。それでも塾が終わるのが9時で、帰ってくると9時半。それから食事をしたりお風呂に入ったりしていると、寝るのはたいてい11時から12時の間になってしまいましたね。


ご家庭では、日常の勉強を見ていらっしゃいましたか?


私は英語教室の仕事をしていて、夜に家を空ける日もあるので、私が仕事で留守のときには、家で留守番をしながら勉強をしていました。基本的には本人に任せていましたね。
時間があるときには、『デイリーチェック』という塾の復習教材をやったかどうかチェックしたりもしていましたが、私が勉強を教えたりはしませんでした。早くから自立していて、自分でやらなければならないことは、やっていたみたいです。

息子は、塾に行かないと勉強をしないので、教室が家のすぐそばだったこともあり、毎日塾に行って勉強していましたが、娘はやらなければならないことは放棄しないで、目の前にあるものをたんたんとこなすタイプです。だから、なるべく通塾日数の少ないところを選んだのですが、家で勉強をさせなくては、というような心配はありませんでした。もちろん復習をしていない日もあって、そういうときには「忘れちゃった」とか、「時間がなかった」とか弁解はしていましたが、こちらもあまりしつこく追及したりはしませんでした。

私は、もっぱら健康管理と時間管理と声かけに気を配りました。本人もあまり落ち込まないタイプではあるのですが、私としては、なるべくストレスを抱えさせないようにしていたつもりです。
しかし、この取材を受けるにあたって、改めて本人に聞いてみたら、「6年生の2月と3月がいちばん楽しかった」と言うので、本人にとっては、それなりに我慢もしていたのだと思います。一度だけ、「友達もみんな地元の公立中に行くのだから、自分もそこでいい」と言ったことがあります。勉強が大変になってきてストレスがたまっていたのでしょうね。


受験勉強中の息抜きはどんなことをしていましたか?


当時「花より男子」のテレビドラマがはやっていて、娘はそれをビデオにとって毎日見ていましたね。また先ほどもお話ししたように、平日の塾のない日には、5時までお友達と遊んでいました。
習い事は、兄妹共に小さい頃からテニスを習っていました。娘は、当時伊達公子さんのキッズテニスというプログラムがあって、3歳で始めて、こちらに引っ越してきてからも5年生まで続けました。
息子は、初めての子どもということもあっていろいろなことをやらせましたが、長続きしませんでした。一方、娘は負けず嫌いな性格なので、ピアノも4年間がんばりました。


妹さんの学校選びはどのように考えましたか?


共学の学校に関しては、息子のときに見ていたので、家から下りの電車で通える学校を中心に、女子校を見て歩きました。横浜には、石川町に横浜女子御三家ともいわれる、フェリス女学院・横浜雙葉・横浜共立学園という学校があります。塾の志望校別特訓も、横浜雙葉・横浜共立クラスに所属していました。

横浜雙葉のテニス部は伝統もあって強いので、そこにはひかれていたようですが、5年生の秋に洗足学園の文化祭に行ってみたら、本人が洗足をとても気に入ったのです。娘は第一には校舎が気に入ったみたいでしたが、親としても伸び盛りの学校だし、学校のカラーが本人に合っていると思ったので、そこを第一志 望にしました。
教育機関に勤務している友人も、「伸び盛りの学校は、いろいろチャレンジしていて可能性がある。そして、きちんと課題を出してくれる学校は、それをしっかりやっておけば最低限の力はつけてもらえる」とアドバイスをくれました。私も、中学生の間は学校のことだけやっていれば十分だという考えなので、その点でも洗足は安心でしたね。

実際には、1日にカリタス女子、2日午前に洗足、2日午後に普連土学園と受験して、すべて合格しました。
3日には慶應義塾中等部を受験。これは記念受験のようなもので、不合格でしたが本人も「やっぱりね」といった感じでした。
娘は、算数は得意なのですが国語が苦手。テストによっても科目によっても成績に開きがあったので、受験校の選択にも幅をもたせました。
6年生の後半は、個別指導も利用して志望校の過去問を解いていきました。苦手なところをピンポイントでフォローしていただけたので、これは功を奏しました。塾では下のクラスでしたが、結果的には力をつけてもらっていたのだと改めて思いました。


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

子育て・教育Q&A