学校を見る視点 その1 受験校をどう決めるか[高校受験]

■学習システムは、どの高校も工夫している

大学合格実績を上げないと、受験者が減少する、指定から外れる……という現実から、今はどの高校も生徒の教科学力を高めることに大変熱心です。どの学校説明会に足を運んでも、似たような内容が語られると思います。

・学力アップのために、このようなサイクルで効果が上がるような学習を毎日させている
・高3の1学期で高校課程は修了させ、2学期からは大学受験に向けた演習中心の授業にしている
・自習室を充実させ、夜20時まで学校に残って自習できるようにしている
・家庭学習がきちんとできているかどうか、「学習記録ノート」を担任と交換してチェックしている
・英数は検定教科書以外に、このようなレベルの高い副教材を使用している
・放課後や夏休み・冬休み・春休みには、このような受験講座を整備している

……といった学校側の熱い姿勢、驚くほどの面倒見のよさが語られます。

私は仕事柄たくさんの学校と接点があるのですが、このようなシラバス(いつ何を学ぶかということをわかるようにした工程表)を作成したり、教材を選定したり、学習システムを構築したり……といったことは、先生たちの努力・工夫の範囲ですから、どの学校もできるものなのだということを感じています。



■生徒をやる気にさせられる指導か

肝心なのは、生徒をやる気にさせられるかどうかということです。失礼な例えかもしれませんが、「馬を水飲み場に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」……ここに、高校の先生の難しさがあります。

ですので、学校側や先生の話の中に、

・「これこれを授業でやった」ではなく「生徒がわかるようにした」というレベルまで到達しようとしている
・生徒に自分の教科の面白さを伝えようとしている、伝えられている
・無味乾燥な知識ではなく、極力身近な生活に結び付けて、生徒が興味を持つように説明する工夫ができている
・「人の役に立とうと思ったら、自分が力をつけておかなければ役に立てない」という意識を育てようとしている

といったことが感じられるかどうかに、私自身は大きなポイントがあるような気がしています。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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