「どこで学ぶか」が重要 受験校をどう決めるか[高校受験]
3年生は、そろそろ受験校を絞る時期になりました。学校は、どのような点を見て選べばいいのでしょうか? 4回にわたって、受験情報誌や塾などではあまり触れられていない視点での話をしていきます。
■高校時代の「精神的な影響」は、後の人生に大きく影響する
自分が教育関連の仕事をしているため特に感じるのかもしれませんが、今の自分のメンタリティーのかなりの部分が高校時代に築かれています。いろいろな場で話したり、書いたりしていることのベースが、高校時代の経験であったり、当時読んだ本だったりすることがしばしばあります。
部活で一緒だった友達を見ていても、やはり「思春期の文化をずっと持ち歩いている」ということをよく感じます。つまり、思春期をどのような文化環境で過ごすのか、高校時代にどのような精神的な影響を受けたのか、それがその後の人生に大きく影響するのです。
先生や友達から受ける影響……純粋な思春期だけに、その時代に接した人生観、世界観、価値観、読書傾向といったものの影響は決して小さくはありません。
乱暴な言い方をすれば、「勉強はどこでもできる。が、良質な精神的影響はどこでも受けられるわけではない」ということです。
■勉強以外の経験が、後の自分を支えてくれる
高校は「学力を伸ばし、いい大学に入れてくれることが最大の使命」ととらえている保護者のかたもいるでしょう。確かにいい大学に進むことは、「土俵に上がれる」条件を手に入れられるということで意味があります。ですから否定するものではありません。私が言いたいことは、それだけでは不十分だということです。
社会に出てさまざまな人間関係をつくっていく時、芸術科や家庭科で学んだこと、得意なスポーツがあること、人より少しだけでも詳しいことがあること……そうしたものが役立った経験は、保護者のかたにもあるはずです。
あるいは、人生には孤独を強いられる時期もあります。そうした時、自分を支えてくれるものは、続けてきた趣味などではないでしょうか。自分を支えるものを見つける、自分の心の内側に旅をする、自分の人生を豊かなものにしてくれるものを見つける、そうした時間をぜひ、精神がやわらかな高校時代に持ってほしいのです。
部活の厳しい練習、なかなか意見がまとまらない委員会活動、夜遅くまでがんばった文化祭の準備、グループで一つのことを成し遂げた経験……そうしたことの一つひとつが自然と人間関係の持ち方、社会生活を送るうえでのスキルを身に付けさせるのです。
高校生活では、このような面も重要であることを意識したうえでの「学校選び」が、本当の「学校選び」だと思うのです。